29Lib 分館

図書館・情報学関連の雑記、読書ノート、音楽ノート、日常生活の愚痴など。

ラノベ仕立てで司書業務を紹介その2

2021-06-05 07:00:00 | 読書ノート
大橋崇行著, 小曽川真貴監修『司書のお仕事2:本との出会いを届けます』勉誠出版, 2020.

  2018年の『司書のお仕事』の続編。主要キャラはそのままに、三つの短編物語の中で、蔵書点検、郷土資料の電子化、企画展示、寄贈本の処理、採用と雇用形態、自治体との関係(主に議会と予算)などについて触れている。1巻が司書の仕事についてざっくり伝えるものだったとすれば、2巻は、図書館がどういう理念や仕組みのもとに動いているかと、1巻で触れなかった業務を伝える内容となっている。

  三つの短編のうち、一つ目は人事の話で、「図書館運営センター」なるどこを模しているかすぐわかる架空の会社が出てきたりして、読んでいてしんどい(ストーリーが問題だというのではなく、正規の図書館員となるのは狭き門で有期雇用の場合は待遇が悪いという現実が突きつけられるのが辛い)。二つ目は、図書館に理解の無い市議会議員がやっつけられる(言いすぎかもしれない)話で、公共図書館関係者は読んで留飲を下げましょう。三つ目は、図書館員の矜持というか志をしめす話で、著者の主張がよく出ているところである。

  なお、かわいらしいイラストはカバーと最初のカラーページだけである。本文中には説明用の写真も少々ある。それでももうちょっとイラストがあってももいいかな。もっと萌えたいから、というわけではなく、バックヤード系の業務についてはその様子を伝えるイラストがあったほうが読者にわかりやすいと思うからだ。3巻も出ることを期待したい。 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする