29Lib 分館

図書館・情報学関連の雑記、読書ノート、音楽ノート、日常生活の愚痴など。

『亞書』問題と知人のテレビ出演

2015-11-06 10:29:03 | チラシの裏
  『亞書』なる一冊6万4800円の本が話題になっている。中身はギリシア文字の羅列で大半の日本人には読めない。シリーズもので10月半ばには96巻ぐらい発行されていたと思う。マスメディアに大きく取り上げられる前にはAmazon.co.jpにも出品されていたが、今月になって書誌を記載したページが無くなっている。

  中身からして日本国内に需要は無さそうなのにこの価格。当初からネットでは、国立国会図書館への納本に伴う代償金目当てではないか、と疑われていた。いろいろ条件はあるものの、納本すれば定価の半額と送料が国立国会図書館から支払われるというのが代償金である。この件について報じた朝日新聞の記事もそのような解釈に基づいたものだった1)

  で、僕の共同研究者、安形輝氏のテレビ出演である。日テレの朝番組『スッキリ!!』に、録画ではあったが短い時間登場して、この問題について解説を加えていた。最初に「亞書について調査をしていた専門家」と紹介されたので、長年付き合いのある僕には「そういう説明の仕方になるのかあ」と違和感があるのだが、一応これは真実である。先月、仲間内でこの件が話題になった翌日すぐ、彼は『亞書』頒布元であるりすの書房発行の書籍を所蔵する図書館を探してきて、わざわざ現物をチェックしに行ったのだから。そして、その結果を報告書に書くのではなく、プレゼン資料(素晴らしい出来ながら未公開)にまとめてしまうのが、プレゼンの達人らしいところである。

  収録に際して長くいろいろ話したとは本人から聞いているが、放映では「数千円の価値しかない本である」という主張が強調される編集になっていた。本の造作、製本や印刷の状態をきちんとチェックした専門家という位置付けなんだろう。いずれにせよ、図書館情報学のようなマイナー分野がテレビに採りあげられることなど滅多にないので、このテレビ出演は喜ばしい。僕は普通のテレビ受像機を持っていないので、型落ちで性能の悪いワンセグケータイを使って、電波が途切れ途切れになる中視聴した。出演にまつわる裏話についてはこれから聞く予定。

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1) 朝日新聞DIGITAL "1冊6万円謎の本、国会図書館に 「代償」136万円" 2015年11月1日
  http://www.asahi.com/articles/ASHBY3VSMHBYUCVL008.html
  記事の最後に僕の恩師田村先生のコメントも付いている。
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