JAのTPP1420億円被害論は疑問

 



 TPPは来年の6月ごろに大枠が決まるだろうといわれている。それから細かい交渉をやり、条約の内容が決まるとそれぞれの国が国会で批准にかけて、国会の承認を得た後にTPPは始まる。TPPは10年をかけて徐々に拡大していく予定だという。
 そのことを念頭においてTPPは考えるべきである。

 JAなどの農業団体は関税が撤廃されれば580億円の打撃を受けると試算している。本当に580億円も被害をうけるのか検討してみよう。

 さとうきびの被害は197億円としている。197億円はさとうきび生産額の全額である。
 JAの試算によると砂糖は安価な海外産に変わり、さとうきび生産額197億円は壊滅するという。輸入関税を財源に農家へ交付金を支給しているから、関税がなくなれば交付金がゼロになるという理屈である。その理屈はおかしい。関税以外から交付金の財源を確保すればいいし、政府は農業を保護するといっているのだから、さとうきびへの補助金は必ず出すだろう。さとうきびの197億円はそのまま維持できる。それにブラジルではさとうきびからアルコール燃料を産出する産業のほうが盛んになっていて、一時期世界の砂糖が高騰したことがある。関税がゼロになったからといって極端に低下な砂糖が入ってくるとは考えられない。
 ただ、沖縄のさとうきびには将来性がない。他の作物への転換を目指していくべきである。

 沖縄にはアグーという豚のブランドがある。その他にも牛肉や豚のブランドが登場するようになった。ブランドものの知名度を高くして、観光客や本土、海外に売り出せばTPPの被害をかなり押さえることができるはずである。地産地消の発想では農業は発展しない。牛肉や豚肉の知名度を高めて輸出戦術に転換しない限り農業の発展はない。TPPは農業が輸出をして発展するチャンスである。
 キクの生産額は90億円、鶏卵47億円、マンゴー21億円である。TPPの打撃をそれほど受けそうにない作物もけっこうある。そのような作物の生産量を増やすのもいい方法である。

 農業生産額は全体で約920億円である。TPPが始まったら農業生産額920億円のうち520億円が被害を受けるとJAは試算している。しかし、具体的に検討していくと、さとうきびの197億円はほとんど被害を受けないし、政府の農業支援を考慮すればTPPの被害額は少ないだろう。
 関税撤廃をしてTPP契約国との交流がやりやすくなれば沖縄の農産物を輸出することができる。むしろTPPは農業の夢を広げる。

 JAは関連産業への影響を1420億―580億=840億円と計算している。しかし、840億円の内訳を具体的には書いていない。恐らくJAの損失を高く見積もって出しているのだろう。

 TPPをきっかけにJAの支配する地産地消の小規模農業から脱して、輸出を目指した企業農業へ転換したほうが沖縄の農業の将来は明るい。
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Unknown (Unknown)
2011-11-01 04:21:08
個人的には放射線フリーな野菜とか食べたいのでTPPには賛成ですが、今TPPに参加すれば沖縄は死にます。
アグーなんてないちゃーですら殆ど知らないですし、海外でとなるとまさに無名です。知名度を高めるなんて、資金的にも技術的にも沖縄では不可能です。
TPPに参加するにしても、沖縄の人が広告を出せるくらいの資金と宣伝技術を蓄積してからでないと、メキシコの二の枚になることは目に見えています。
 
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