「第Ⅳ章ー3-C2横田家」 日本の木造建築工法の展開

2020-01-06 21:13:45 | 日本の木造建築工法の展開

PDF「日本の木造建築工法の展開第Ⅳ章ー3-C2横田家」A4版7頁

C-2 横田家住宅  1794年(寛政6年)建設  所在 長野県 長野市 松代町 

松代 位置図 印  方眼1目盛:4km       関東圏道路地図 東京地図出版より

 佐久から流れてきた千曲川が、松本平からの犀川(さいがわ)と合流する手前一帯が上杉氏武田氏の合戦の場であった川中島。 その南側山際の平地に武田氏の居城:海津城が設けられた場所で、その後17世紀初めに真田氏の居城となり城下町が形成され、その概形は現在も見ることができる。

 横田家は眞田家の家臣。奥会津・横田の出ゆえに横田を姓としたという。 横田家住宅は、七代当主が1794年(寛政6年)に建てたことが墨書で判明。 敷地も当時の大きさを維持(約3600㎡:約1200坪)、表門隠居屋土蔵なども残っている稀有な事例。

 図、モノクロ写真および解説は、重要文化財旧横田家住宅修理工事報告書による。

 

黄色部分:接客空間・隠居屋に対応 (着色・文字は編集)

 

表門から主屋 式台を見る 左奥:隠居屋  

 式台 正面

 

        

復元 平面図 図の方位は上方が南    (着色・文字は編集)

 

復元 桁行断面図

 

  南面 全景 (竣工時)

                   

の間~座敷 南面 右手は隠居屋 南面(竣工時)

 

  勝手~茶の間~南の間 南側(近影)

 

 勝手~茶の間~南の間 正面(近影)

 

 

                      

復元 梁行断面図 上:客待の間~南の間  下:式台~玄関~茶の間   文字は編集

使用材料  土台:ツガまたはクリ  幅3.4寸~5.3寸 高さ3.5寸 追掛け大栓継ぎ、金輪継ぎ各1箇所、他は腰掛け鎌継ぎ  柱:式台まわり ツガ4.5寸角  座敷、客待、玄関、南の間 スギ3.7寸角  土間、勝手、茶の間 スギ3.5寸角  便所 スギ3.0寸角 根枘 深さ3寸×幅1寸

 

下の架構模式図と断面図で架構の全体がつかめる。  梁・桁の類を柱位置から持ち出して継いでいないことが分る。

 

 

 

について材寸が詳細に記入されている。材種は、式台まわりがツガ、他はスギ(前頁参照)。材寸の詳細は、通常は野帳どまりで、このような詳細が示されている報告書は稀有である。

 

 横田家では、間仕切のある通りには、すべて土台が据えられている。 この図は、土台材種材寸ならびに継手・仕口を明示した図。 これも報告書としてはきわめて珍しい。

足固貫内法貫、そして飛貫の入れられている位置を示した図。 これも、通常の報告書では見られない。上下の別、継手箇所などが記入されている。

図、モノクロ写真および解説は、重要文化財旧横田家住宅修理工事報告書による。

 

写真説明用キープラン                 (着色・文字は編集) 

黄色に塗った部分が接客用空間  横田家目加田家と異なり、北側に玄関があるため、接客空間の裏手にあたる居住空間が南面している。

 

玄関の間 西~北西面板戸どま境 北面障子式台

 

式台からの玄関間 正面襖:茶の間 左手襖:客待の間

 客待の間 東~南面 左手襖:座敷境              

  客待の間 西~北面 左側襖:茶の間へ 右側襖:玄関の間へ 

座敷 正面(東面) 右手障子:南面濡縁へ  

 座敷 西~北面 欄間付き襖:客待の間へ

 茶の間 西北どま 

 

 茶の間~南の間 茶の間には天井がない

南の間 北面 二階への階段 

南の間 東~南面 

 

座敷 南西隅柱の刻み 詳細           左の図を基に作成 敷居・鴨居・付長押 詳細

    

 

 

参考 一般的な鴨居の取付け法

 

 

 

参考 一般的な敷居の取付け法 1     柱に待枘(まちほぞ)を植え、敷居を上から落す。

 

 

参考 一般的な敷居の取付け法 2   待枘(まちほぞ)と込栓の併用

 

参考 一般的な敷居の取付け法 3    柱に樋端を刻み、敷居大入れにし、下部にを 打ち樋端部を密着させる。

 

 

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