「・・・の技術-25」の図版工事中のお知らせ

2009-02-19 15:41:34 | 日本の建築技術

[例の「震動台実験」の担当者からの「返答」に対する私の返答を、末尾に追加公表します。20.34]


「・・・の技術-23」で触れた「鎌継ぎ」の行方を捜しています。
「伝統技法集成」掲載されている中から、室町時代までの事例を捜索中です。
縮尺もまちまちで、小さい字もありますので、編集に手間がかかっていますが、なかなか興味深いところがあります。
もうしばらく時間をいただきます。

なお、例の「震動台実験」、担当者にブログのコピーを送ったところ、「構面」に他の面が影響を与えないように心がけている旨の返答をいただきました。本当は、返答全部を紹介したいのですが、一応私信であるので、それはやめます。
返答への私の返答は、公表しようかと考えています(これへの応答はいまのところありません)。

以下に公表することにしました。どのような「返答」があったかは、ご推察ください。

お忙しいところ、早速ご見解をお聞かせいただき
ありがとうございました。

貴下も、直方体を試験体とすることによる対象「構面」への
他の「構面」の影響を心配?されていることを知り、
少しばかり安心いたしました。

貴下が「心配」されているように、
直方体を構成する各面、各辺が互いに関係しあうのは当然です。

ですから、私がかねてから問題と考えているのは、
「互いに関係しあうという事実」を無視して、
なぜ、各面、各辺に分解して考えるのか、ということです。
必要なのは、「互いに関係しあうという事実」そのものを知ることのはずであって、
その「事実」は、「各面、各辺のデータの足し算」では解明できません。
「互いに関係しあうという事実」≠「各面、各辺のデータの足し算」ということです。


私は、いわゆる「伝統的」と言われる架構法について、
いろいろな建物を実際に観ること、
歴史的資料(主に、重文建造物の修理工事報告書)を観ることで、学んでいます。
そして至ったのは、
かつての工人たちは、常に「立体」で考え、「立体」で外力に対応することを
考えている、ということです。
「架構・立体」を構成する各部材に、相応の役割を持たせるようにしています。
もちろん、耐力上強い箇所、耐力の弱い箇所が生じないように考えています。
耐力壁だけで外力に対抗する=「耐力壁依存」ではないのです。

残念ながら、貴下の現在目指し進めておられると思われる「構築指針」は、
私の見る限り、強弱の部分をつくることに連なるはずです。
それは「伝統的」構築法を抹殺することになります。

「互いに関係しあうという事実」つまり架構全体をひとくくりに捉えることが
難しいことは百も承知です。
だからといって「便宜」に走るのは、おかしい、と私は思います。
そしてそういう「便宜」で「伝統的建造物」を観るとしたら、
そしてもちろん、指針など出されたら、かつての工人たちは嘆く筈です。

そして、今でも、代々受け継いできた技術で仕事をしている大工さんたちが、
基準法の諸規定で難儀を強いられています。
貴下のお考えの「指針」では、新たな「難儀」を強いることになるのは
間違いありません。

先日、兵庫・三木で行なわれた「実物大」実験についても、
主宰者に疑義を伝えましたが、返答はありませんでした。
今回は、早速返答をいただき、実のところは、驚きました。
ありがとうございました。

是非、「現場」の意見にも耳を傾けてください。そして、
「実験」だけではなく、
たくさん実例のある「伝統的建造物」、そしてその「資料」をも
参考にしてくださることをお願いいたします。
長い年月を経ても健在である、ということは、
いかなる「実験」にも勝る実験なのです。

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