再び、設計図で何を示すか・・・・伏図の重視

2008-02-26 19:06:21 | 設計法

ある頃まで、設計図を、配置図、平面図、断面図、立面図、矩計図、展開図、天井伏図、建具関係図・・といわゆる「意匠」にかかわる部分をそろえ、次いで伏図や軸組図などの構造関係図、そして各設備図を並べる、といった形式でまとめていた。要するに、教育で教えられた形式である。

しかし、そういう形式でまとめた設計図は、いざ現場で「ある部分」について見ようとすると、大きな製本図面のあちらこちらをひっくり返さなければならない、という場面に遭遇する。ときには、食い違いまで見つかって、どれが正しいのか頭をひねる事態まで生じる。

そこで思い至ったのは、こういう形式の図面のまとめ方は、図面を見る立場で考え出されたものではない、という「事実」であった。
たしかに、こういうまとめ方は、あたかも辞書のごとく整然としていてきれいだ。
しかし、辞書ならばそれでもよい。設計図面はそうではない。三次元として出来上がる建物を、二次元で表現する以上、一定程度は対象を分解して示さざるを得ないのはたしかではあるが、問題はその分解の仕方にある。
先に触れた一般的な形式の図面の整理は、現場での仕事の進め方・手順:過程とは無関係だ。だから、施工の手順・過程に見合った整理をすれば、ずっと見やすくなるはずである。
ある大工さんに、図面の数はなるべく少なく、図面の大きさはなるべく小さい方がよい、A3判で二つ折りにするとA4になる、持ち運びも楽で、見るのも楽ではないか、と言われたことがある。もちろん、すべてがそうなるわけではない。これはあくまでも理想形。
この大工さんは、設計図とは別に、A3判の紙に設計図を記号化した図に置き換えて仕事をしていた。一種の施工図とも言えるが、通常の施工図とは意味が違う。


現場を見る機会が増えると、ますます設計図は現場を考えてまとめなければならない、施工手順を考えて描かなければならない、と思うようになった。
上掲の図は、先のTo邸設計図の伏図を抜粋したもの。用紙はA3判の上質紙、鉛筆描き。材寸や継手・仕口も描きこんである。ここでは、下から「一階床伏」「二階床伏」「小屋伏1・2」と高さ順に掲載。

なお、紙面に余裕があるときは、図の一画に、材料表を書き込むことがある。

こういった図を基に大工さんと話をして、よりよい方法があれば教示願う、というのがいつものやり方。言わばこれは、設計側からの一提案書、という位置づけ。

   註 図面に書き込む寸法等も、現在一般的な方法は、
      確認申請に必要な表示法を採っている例が多い。
      たとえば、GLからの床高を表示する。
      しかし、床位置が決まるのは、仕上げ段階。
      やむを得ず、施工者は、躯体:構造体の位置を
      床高から逆算しなければならなくなる。
      床高は構造体から〇〇上がりという指示が妥当なのだ。
      設計図は、確認申請のためにあるのではない、という
      認識が必要だろう。
      私は、それはそれ用につくることにしている。

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