木造建築と地震・・・・構造計算用データベース?

2008-02-08 11:36:17 | 構造の考え方
ここしばらくの話のついでに、一昨年(2006年)あった話を書いておこう。
同年7月、国交省住宅局木造住宅振興室なる部局が、各県の住宅担当部局にあて、上掲のような依頼をしている(担当者名等の部分は省略)。
そして、まわりにまわって、それについての「意見」を述べてくれないか、との依頼が茨城県建築設計事務所協会からあった。

そこで、国交省の「依頼」の趣旨を読んで、不明や疑義のある点をまとめ、当方の「意見・提案」を書き、提出したのが以下の文(表紙は省略)。
中味はかねて書いてきたことと重複し、少し長いが、お読みいただければ幸い。

もちろん、先回触れたごとく(例のごとく)、受け取った旨の連絡はなく、したがって、もちろん、当方の疑義や意見への応答はない。その後、どういう結果になったのかも不明。

   註 昨年には、今度は県の農林部局から、木材のスパン表なるものの
      作成依頼があった。スパンいくらのときの標準材寸はこれこれ、
      という表を、各県ごとにつくるのだ、とのこと。
      それはまったく意味がない、といってお断りした。
      いったい、行政のエライ人たちは何を考えているのやら・・・。



はじめに

「伝統的木造軸組住宅」(以下、「伝統的工法」と表記)への関心が高まってきた今、データベースを構築することは、時宜にあった試みであるとは考えます。
ただ、趣旨に若干の疑義と不明な点がありますので、意見を述べさせていただきます。

Ⅰ:「伝統的」の概念と「伝統的工法」の理解のされ方、その現状

「伝統的木造軸組住宅のための構造計算用データベース構築」にあたっては、先ず、以下の点について確認しておく必要があるのではないでしょうか。
 
1.日本各地で長年にわたり培われ、用いられてきた木造工法が、なぜ「伝統的」と呼ばれるようになったか、その経緯について。
2.現在、木造の「伝統的工法」、およびその工法による建物を具体的に知る人が少なくなっている(知る必要を感じない人が多くなっている)が、なぜこのような状況が生じたのか、その経緯について。

この点についての見解を以下に述べます。 

1.「伝統的」「伝統的工法」の概念について

建物をつくる技術・工法は、世界各地域で、地域なりの歴史があります。
そして、その技術・工法の歴史は、連続的で断絶がないのが普通です。
また、技術・工法は、世界各地域間での交流が行われますが、その際、他地域の技術や工法を鵜呑みにして採用することはなく、自国・自地域に適合するものだけを採用する、あるいは適合するように改変して採用するのが普通です(日本の場合、奈良時代の大陸伝来の技術への対応に、すでに見られます)。

このことは、国内に限っても同様で、地域に応じて、地域なりの特徴ある工法・技術として結果しています。
したがって、「伝統的」traditionalというとき、その概念は、元来、そのような歴史を顧みての概念、すなわち「その地域特有の」という意味であって、単に「古いもの」という時間的概念でないことは言うまでもありません。

けれども、日本では、「伝統的工法」とは「現行法令が規定する工法」と技術的に無縁な過去のもの:文化財的なもの(現在では無用なもの)であり、法令の規定する工法より劣るものとされてきたため、一般の間に、「古いものは知る必要がない」という考え方が根付いてしまいました(建築教育でも「伝統的工法」からの脱却が説かれてきました)。
実際、「伝統的木造軸組工法」と「現在法令が規定している木造軸組工法」とは、技術史的に見ると連続性を欠き、その間には大きな「断絶」があると言ってよいでしょう。
しかも、この「断絶」は、必然的に生じたのではなく、1950年制定の建築基準法および関連法令の規定策定によって生じた、いわば「人為的な断絶」である、との認識が必要なのではないでしょうか(Ⅱ-2、3項において、詳述します)。

2.「伝統的工法」を知る人が少なく、誤解も多い
 
「建築士のための指定講習会」などの受講者で、「伝統的工法」でつくられている建物を知っている、「刻み」(部材の加工作業)の現場を見たことがある、「継手・仕口」について知っている、という受講者は、全体の10%にも満たないのが実情です。
これは、現在建築実務にかかわる建築士の多くが、すでにほとんど1950年以後に生まれた世代であり、教育の場面で「法令が規定している木造軸組工法」のみを学び、「伝統的工法」については建築史上の過去の単なる一事例として知るだけで(それさえ知らない人もいます)、疎遠な存在になっているからです。

さらに、枠組工法の導入後、木造軸組工法を《在来工法》と通称するようになってからは、「伝統的工法」と「法令が規定している木造軸組工法」との区別さえ、分らなくなっているように見受けられます。

このことは当然、建築関係者以外の一般の人びとの木造建物についての見方にも影響を与えています。
たとえば、「筋かい」がない建物は危険、あるいは「筋かい」さえ入っていれば安全、という見方は、一般の人びとの間にも広く流布し、昔の建物は、どれも地震に弱いとさえ思われています。
この原因は、一に、建築関係者の発言によるところが大きいのです。最近の「耐震補強」の推進にあたり一般向けに出されている広報や「簡易耐震診断法」も、大きな誤解を生みだしているように思えます。
たとえば、茨城県下では、どう見ても強固な、差鴨居を使用して丁寧につくられている農家住宅が、耐震診断法に従うと壁量不足で危険な建物に該当してしまい、説明に苦慮している事例が多数あります。
   
以上のことから、データベース構築にあたっては、「伝統的工法」とは何か、「伝統的工法」と「現在の法令の規定する工法」とはどのような関係にあるのか、そして、今、なぜ見直しの機運が生じているのか、その経緯等について、客観的に整理し、広く世に開示することが先ず必要と考えます。


Ⅱ:「データベース化の必要性」の論拠について

「依頼文」中に述べられている「データベース化の必要性」についての論拠には、下記の点で、疑義があります。

1.「地域特性に即した多様性こそが特徴である」との認識から「全国一律の仕様が必要である」との結論を導く論理は、はたして妥当か。
2.「全国一律の仕様が定められていない」ことが「伝統的木造軸組住宅」の普及を阻害している、との理解・解釈は、はたして妥当か。
3.「伝統的木造軸組住宅」の工法を「現行法令の軸組木造についての考え方、規定」で解釈することは、はたして妥当か

この点ついての見解を以下に述べます。

1.「全国一律の仕様が必要」とする認識の問題点

「依頼文」中にある「伝統的木造軸組住宅は、地域特性に即した多様性こそが特徴であり長所である」との認識については、まったく異論の余地がありません。
これまで、なぜこの点についての認識を欠如していたのでしょうか。

しかしながら、この「認識」から、「個別に構造耐力上の安全性を確認するための構造計算を容易にするために、全国一律の仕様策定のための構造計算用のデータベースを整備する」という考え方に、なぜ至り得るのでしょうか。論理的に無理があります。
「全国一律の仕様」が設定されたならば、「伝統的木造軸組住宅がもつ地域特性に即した多様性という特徴・長所」は、「一律」の中に埋没し、それぞれの地域の「特徴・長所」が消失してしまうことは明らかで、「本計画」の趣旨にも反することになります。

実際、現行の法令は、風や断熱(保温)、地盤などについては地域別の規定を設けてはいますが、構造にかかわる基本的な条項は全国一律で、かならずしも地域の特性に適しているとは言いがたいのが実情ではないでしょうか。
たとえば、台風に遭遇することの多い沖縄地域では、軸組の基礎への緊結が規定されてから、台風による建物倒壊の事例が増えた、というのが、地元の建築技術者の間では常識だと言います。
その他にも「全国一律の規定」により生じる問題は、多々あるのではないでしょうか。

大事なことは、「伝統的木造軸組住宅は、地域特性に即した多様性こそが特徴であり長所である」ことを、歪めずに、ありのままに理解することなのではないでしょうか。

2.「伝統的木造軸組住宅」の普及を阻害している真の要因

「依頼文」では「伝統的木造軸組住宅」普及の阻害要因として、「全国一律の仕様が定められておらず、構造計算のための必要なデータ収集に多額の費用を要する」ことが挙げられています。
この「構造計算」とは、現行法令の規定している「構造計算」のことと思われます。
しかし、木造建築についての現行の構造計算の考え方は、はたして、「伝統的工法」の特徴に即したものなのでしょうか(3項でも触れます)。

周知のように、「伝統的工法」は、「仕口・継手によって部材相互を一体の立体に組上げ、外力に対しては、その立体全体で抵抗する」点が特徴です。

この方法は、長年にわたる現場での経験から得た「木材は同種同寸の材でも性質が異なるが、一体の立体に組み上げると異なる性質は相殺され、また相乗作用によって外力に対して一層強固になる」という事実についての知見を前提に生まれたものと考えられます。
このことは、日本の建築の歴史を振り返ると明らかで、掘立て方式から礎石上に軸組を据える方法に転換して以来、足固め、長押、貫、土台、通し柱、そして差鴨居の活用へと、段階を踏んで「架構の一体化・立体化へ向けての技術」が発展し、それとともに「継手・仕口」も各種の工夫・考案が積み重ねられてきたのです。
特に、貫や差物が、全国各地の建物にくまなく、しかも早く普及している事実は、「架構を一体の立体に固めることの利点」を、人々が強く認識していたからに他なりません。

なお、「伝統的工法」は、部材相互が、いわゆる「相保ち(あいもち)」であるため、一部材が損傷しても直ちに全体の破損に至ることはなく、しかも当該部材を修復できるという特徴がありました。これが「伝統的工法」を長持ちさせてきた大きな理由でもあるのです。
これに対して、現行の法令の規定する工法では、一部の損傷(特に耐力部の損傷)が、直ちに架構全体の破損へと至る可能性が高く、また修復も容易ではありません(むしろ不能と言ってもよいでしょう)。

ところで、「伝統的工法」の体系化へ向けての技術的な革新は、現場における数々の経験で培われた技術者の「直観」に拠っています。その蓄積の結果、近世初頭には、この技術・工法は、体系的にほぼ完成の域に達していた、と見てよいでしょう。
これは、当然、構造力学や構造計算が確立する遙か以前のことです。
鉄材を使う建築工法において、I型断面の梁が考案されたのは(J・ワットが最初の考案者とされています)、「断面二次モーメントの概念」が確立する半世紀も前であることと通じます。
近代建築学は、この「直観」に支えられて体系化した「伝統的工法」を、「構造計算により構造耐力上の安全性を確認する」ために「定式化」して理解しようと試みました。
そのためには、軸組架構内の力の伝わり方を数値化して解析しなくてはなりません。

ところが、木材は力学的性質が使用木材ごとに異なり、さらに「くせ」の違いもありますから、個別架構ごとに、使われている各材料の性質や「くせ」などを調べ上げなければならず、それゆえ、得られる結果も「一般解」ではなく「個別・特殊解」です。
「依頼文」中にも「・・・(全国一律の仕様がないため)個別に限界耐力計算等の構造計算を行う必要があり・・」とあります。
そこで、「一般解を得ること」を目的に、「一体に組まれている木造架構」を各面に分解し、「耐力を有する部分」と「耐力を有しない部分」とに分け、「耐力を有する部分の量:壁量」で架構の強さを定量的に測定する方法が考案されます。
たしかに、こうすれば、木材の性質いかんにかかわらず、数値化:定量化が可能になります。これが現在の「法令の規定する軸組工法の考え方」の基本に他なりません。
しかし、このときすでに、「一体の立体に組むこと」に意味があった「伝統的木造軸組工法」は、「似て非なる」姿に置き換えられてしまったことになります。
さらに、この考え方が推進された結果、「耐力部分さえ一定の量さえあれば架構の強度は確保できる」と考えられるようになり、「架構全体を一体の立体に組む」ことは重視されなくなりました。
現在進められている「耐震補強」も、「耐力壁」部分にかかわる軸組の補強が主で、架構全体の一体化・立体化について考慮されているとは言えません。 

以上のことから明らかなように、「伝統的木造軸組住宅」「伝統的工法」が普及しない原因は、「構造計算を容易に行うことができない」からではありません。
むしろ、「定量化できないものを、定量化・数値化し計算するように求める」という「無理」に原因がある、との認識が必要でしょう。

現在、書院造を範とした武家住居、農家住宅に多くみられるL型に縁をまわすなどの開放的なつくりの建物をつくることは、「法令の耐力壁量の規定」の下では不可能です。
しかし、このような「伝統的工法による建物」で、地震、台風などに遭遇しながらも、100年以上、架構に致命的な損傷を受けず、現存している例が数多くあります。

そこで、この事実を踏まえ、これらの建物では、技術者たちは、どのようにして「架構の安全性の確保、その確認」を行っていたのか、その事例を広く収集・研究し、そこから「伝統的工法の考え方」を抽象する、いわゆる「疫学的」研究・検討を行う方法があるのではないか、と考えます(後述、Ⅲ章参照)。

3.「伝統的工法」を「現行法令の規定」で律することには無理がある

2003年12月の告示第1100号改訂で、「小舞土塗り壁」等の壁倍率が見直されました。
この改訂についての解説書に、「差鴨居も改訂の対象として検討したが、耐力壁として扱うには無理があり、結論は持ち越された」旨の注目すべき文言があります。
これは、「伝統的工法」を見直すにあたり、「現行法令の木造軸組工法の考え方」、つまり「耐力壁の確保」を援用した、ということです(「小舞土塗り壁」などの実物実験も、当該「壁」部分だけを切取った部分模型で行われています)。

すでに2項でも触れたように、「伝統的工法」は、「部材を継手・仕口で一体に組上げ、一体に組まれた架構全体で外力に抵抗する」点に特徴があります。
したがって、部分だけ切り取って考察すること自体が、すでに、「一体に組まれた立体架構」という「伝統的工法の特徴」に反することになります。

「伝統的工法」では、軸組架構の強度を「耐力を有する壁」にのみ期待する考え方は採っていません。もちろん壁に耐力がないわけではありませんが、それだけに依存する考え方はまったく採らないのです。それゆえ、壁がほとんどなくても、地震などの外力に耐えられる建物をつくることができたのです。
東大寺南大門はその典型で、現行法令の規定によれば現在では建設が認められない建物ですが(高さ約25m、耐力壁に相当するものはなく、しかも軒の出約5mの瓦屋根で重心位置が高い・・・)、800余年も無事に建っています(ほとんどすべての部材が当初材です)。
この南大門をはじめ、東大寺の鎌倉復興の建物で初めて使われたとされる「貫の技法」は、その効能が認められ、以後広く全国に普及し、社寺はもちろん住宅建築でも用いられるようになります。
また、最近の大地震でも、壁のない四脚門が多数、被災を免れています。
それは決して偶然ではありません。
これらの明らかに現行法令の規定に反する建物が、なぜ地震に耐えることができるのか、その事実を認識するとともに、その理由を考えてみる必要があるのではないでしょうか。

以上のことから、「伝統的工法の見直し」にあたり、「法令の木造軸組工法の考え方」を援用することは妥当ではなく、これ以上の「矛盾」の拡大を避けるためにも、この考え方からの転換が、早急に必要なのではないでしょうか。 


Ⅲ:「伝統的工法」再考のためにデータベース化が望まれる資料

「依頼文」には、「データベース化にあたっては、国土交通省が実験等を通じて収集できるデータには限りがあるので、各地域の研究機関や木造住宅関連団体などが保有している『伝統的木造軸組住宅の新築』や『民家の移築・再生』のデータの提供により、データベースの充実を図る」旨、述べられています。

たしかに、これはデータ収集上の一方法ではありますが、「現在の具体的実施例」についてのデータに関して言えば、事例としては数量的に自ずと限界があり、さらにそこで得られるデータは、「伝統的工法:伝統的木造軸組住宅」のデータではなく、いわば「偏ったデータ」にならざるを得ないのではないでしょうか。

なぜなら、現在各地で行われている「伝統的木造軸組住宅の新築」や「民家の移築・再生」は、いずれも現行法令に適合するように設計施工せざるを得ないために、いかにして耐力壁量を確保するかなど、「法令に合わせるための策」が施されています。
すなわち、「伝統的工法で建物をつくっている」のではなく、「伝統的工法風の建物をつくっている」のです。したがって、それらから得られるデータも、「伝統的工法:伝統的木造軸組住宅のためのデータ」ではなく、「現行法令の下で、《伝統的工法風の建物》をつくるためのデータ」になってしまうのではないでしょうか。

こうして得られた「現行法令の下で、《伝統的工法風の建物》をつくるためのデータ」が、万一、「伝統的工法:伝統的木造軸組住宅のためのデータ」であるかのごとくに扱われ、流布してしまうと、「伝統的木造軸組住宅」:「伝統的工法」は、さらに歪められて理解されるようになり、取り返しのつかない重大な結果を生じてしまうのではないでしょうか。

すでに触れたように、「伝統的木造軸組住宅」:「伝統的工法」による建築の実例は各地に多数存在し、その多くは国指定、都道府県指定、あるいは市町村指定の「文化財建造物」として保存されています。それは、住宅に限っても、農家、商家、武家住宅・・と幅が広く、多くの事例があります(なお、近年の「登録文化財」制度によっても、多くの「伝統的工法」による建物が登録・保存されるようになっています)。
指定され保存・修理が行われた文化財建造物については、「保存修理工事報告書」が調査主体(国あるいは都道府県、市町村、建物所有者など)から刊行され、刊行総数(すなわち建造物数)は、すでにかなりのものになっています(ほぼ半世紀にわたる成果です)。

これらの「保存修理工事報告書」には、その建物の建設年代、使用材料や工法・技法、他の類似事例との関係などの解説が、詳細に調査され報告されています。
「保存修理工事報告書」から得られる「伝統的工法」についての知見は、具体的かつ実証的で、技術的な面に限ってもきわめて大きなものがあり、その考え方の多様さ、事例ごとの様々な問題に対する工夫などは、現在の設計・施工実務にも十分通用する、多くの示唆に富んでいます。

しかし、この「保存修理工事報告書」は一般に市販されていないため、大学の研究室や限られた大図書館以外では、直接手にとって見ることはできません(古書店で購入できる場合もありますが、すべてではなく、しかも高価です)。
その結果、この貴重な資料は、活用の機会を限定され埋もれてしまっていると言っても過言ではありません。「報告書」を閲覧する方は建築史学関係の方々が主で、現在設計・施工の実務に関わっている方は、ほとんど利用していないようです(むしろ、利用できない状況と言った方がよいでしょう)。
それゆえ、この貴重な資料が、より広く、共通の知見として活用される方策が考えられてよいのではないでしょうか。

そこで、今回の「伝統的木造軸組住宅のための構造計算用データベース整備」計画の一環として、関係各機関(国交省、文化庁、都道府県教委、市町村教委等)の連携による「文化財建造物保存修理工事報告書のデータベース化」の推進の提案をさせていただきます。
このような作業は民間では行いがたく、貴職をはじめとする行政に於いてこそできることではないかと推察いたします。このデータベース化が進み、広く一般に公開されることになれば、「伝統的木造軸組住宅」:「伝統的工法」の理解と普及促進にとって、計りしれない効果が期待できるのではないでしょうか。

現在、(財)文化財建造物保存技術協会から、協会が調査・研究にかかわった建造物についての「文化遺産オンライン・建造物修復アーカイブ」が、試験的にインターネット上に公開され、現在160事例が紹介されています。
広く一般に公開される点で、これまでなかった非常に注目すべき、そして歓迎すべき試みですが、ただ、現在のところ、当該建物の一般図、竣工外観写真、解体工事中の写真などに限られているため、技術・工法などの詳細について知るには、それぞれの報告書に接する必要があります。

「伝統的工法」について認識を深めるために、「文化財建造物保存修理工事報告書のデータベース化」の提案をさせていただき、「意見書」を終らせていただきます。

なお、内容に疑義、不明点等がありましたら、何なりとご連絡ください。[以上]
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする