怪談・・・・受講料350,000円也の講習会

2008-02-13 15:36:24 | その他
[文言追加:18.07][更に文言追加:2月14日、9.58]

昨年12月3日(月)から今月2日(土)まで、つまり約1ヶ月で受講料350,000円という講習会があったらしい。会場は、東京一箇所だけ、年末年始、その他休日を除くと実質およそ25日だろう(長くても30日)。

何の講習会かというと、「食品衛生管理者」の資格認定のための講習会。
食品衛生法の改変によって、今年の四月から、食品や食品添加物などを生産する事業者は、かならず「食品衛生管理者」を置かなければならなくなったのだそうだ。

ところが、この法律は、頭から、食品や食品添加物を生産するのは大きな会社だと思い込んでいる気配がある。食品や添加物の生産者には、家族経営あるいは一人、という場合があることを忘れている。

こういう講習会の存在と、その問題点について、先日のTBSの報道で知った。
たとえば、豆腐づくりに必須な「にがり」を、沖縄の離島で海水から製造しているのは、歳のころ50~60代に見える男性(年齢も紹介されていたと思うが、見損なった)。何から何まで一人でやっている。国内の豆腐の製造業者の中には、この人のつくる「にがり」でなければつくれない、と言う人がいるほどの良質の「にがり」をつくっている。
しかし彼は、この法律の変更にともない、生産をやめるという。
東京の講習会へ行くとなると、受講料、交通費、宿賃などいれれば軽く100万を越える費用が要る。そんな金はない。第一、受講したら、その間、仕事ができない。なにしろ、一人で仕事しているのだ。[文言追加:14日 9・58]

要するに、これは、彼にとっては「やめろ」と言われているのに等しい。

考えてみるまでもなく、個人や家族経営の方々の方が、大きな会社などよりも、製造上の管理はしっかりしているはずだ。なぜなら、いい加減なものをつくれば、それでたちまち商売は終わりになるからだ。だからこそ、近江商人は、金儲けよりも「信用」に重きを置いた。
かつては、大きな会社でも、その「信用」が第一、しっかりしていたものなのだが、金儲けが優先になった最近では、「信用」ではなく「ブランド」だけ第一、その上、大きいゆえに責任の所在も不明確、言葉は悪いけれど、ごまかしがきく。あるいは、幹部が勢ぞろいして《お詫び行脚》やTVの《お詫びの時間》に出て済ます。
おそらくそんなところから生まれたのが、食品衛生管理者を置くことを義務付ける制度なのではないか。
しかし、管理者を置けば品質が良くなる、という保証があるわけではない。

その上、大きな会社だけが頭にあるから、沖縄の離島で一人こつこつと良い品をつくっている人がいる、など思いも及ばない。だから、平気で、ただ一箇所、東京で講習会を開いて済ます。

TBSは、この不条理について問うべく、管轄の厚生労働省に取材を申し込んだところ、拒否され、現在に至っているという。

建築基準法や建築士法の改変も、結局のところ、中小、弱小排斥・排除に連なるのだが、こうしてみると、いたるところ、構図は同じようだ。
ある派の経済学者たちは、大きなところが利益を挙げれば、それが、小さなところを潤すことになる、という至極《楽天的な》発想をお持ちのようだ。行政の方々もおそらく同じ発想なのだろう。
江戸時代の商人やお役人には、中には悪いヤツもいただろうが、現在に比べれば、こういう発想の人たちはきわめて少なかった。

現在のお役人たちの「質」をよくするため、「役人の品質管理者」でも置かなければならないのか?もっとも誰が決め、誰がなるのやら・・・。
つまり、そんなことでは「質」は良くはならないのだ。

ところで、先の講習会、定員約70名、主催は厚生労働省の委託を受けた同省の外郭団体「日本食品衛生協会」「日本食品添加物協会」。当然、厚労省の天下り機関なのだろう。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする