私の闇の奥

藤永茂訳コンラッド著『闇の奥』の解説から始まりました

Alexandra Valiente (Internationalist 360)

2023-12-08 18:30:18 | 日記
 ほぼ9年前にこのブログでこの女性アレクサンドラ・バリエンテの事を取り上げました:


この人はウェブサイトLibya 360あるいはInternationalist 360 の基礎を確立した重要な発言者であることは確かです。先月末、彼女が、突然、Libya 360にガザ大虐殺について激烈な檄文を掲載しました。その結びの言葉は「もし我々が抗議の行動に立ち上がらなければ、我々は加害者となる」といった激しい呼び掛けでした。私はそのアドレスを保存したのですがその翌日には消えていました。意図的に消されたのでしょう。しかし、その後、バリエンテさんの名の付いた記事が、久しぶりに、Internationalist 360 に何度も出て来るようになっています。最近のものを二つ上げておきます。



Internationalist 360 には翻訳プログラムが末尾についていて日本語で訳出できます。訳文は十分良好とは言えませんが、便利です。気になるところがあったら英文をチェックして下さい。参考材料として、最初の記事の冒頭にあるバリエンテさんの編集者としてのコメント部分だけの英文と日本語への翻訳文を、以下に掲げます:

Predicting Pestilence

Posted by INTERNATIONALIST 360° on DECEMBER 7, 2023

EDITORIAL COMMENT: WHILE THE FACTS IN THE ARTICLE MERIT REPUBLICATION, IT IS TEDIOUS HEARING THE REPETITION OF SLOGANS THAT ARE WITHOUT MEANING. WHAT DO THOSE USING THEM IMAGINE WILL HAPPEN WHEN THEY REPEAT, “CEASEFIRE NOW” OR “PERMANENT CEASEFIRE”?
HOW PRECISELY DO THEY IMAGINE A CEASEFIRE WILL HAPPEN THAT IS BOTH ENFORCEABLE AND LASTING IN THE CURRENT CONTEXT?
THESE “WISHES” CAN ONLY BE FULFILLED IF THE PROPER LEGAL STEPS ARE TAKEN THAT TRANSFORM THEM INTO DANGEROUS DEMANDS WITH TEETH – MOVING THEM FROM THE REALM OF THE IMAGINARY TO THE REAL.
THE APARTHEID AND GENOCIDE CONVENTIONS MUST BE INVOKED.
·International Appeal to Invoke the Genocide and Apartheid Conventions to Protect the Palestinian People
Only once this is done will the way forward be cleared of present obstacles.
·Why the World Court, Not the ICC, is the Right Place to Try Israel for Genocide. The Genocide Convention Must Be Invoked!
·The International Commission of Jurists Appeals to the International Community: Invoke the Genocide Convention
If you must create and repeat slogans, at least let them have meaning, genuine force and intelligent clarity that no official can misconstrue, deny or escape from.
                           Alexandra Valiente
疫病の予測

インターナショナリスト 360°による投稿2023 年 12 月 7 日

編集者コメント: 記事内の事実は再掲載に値しますが、意味のないスローガンが繰り返されるのは退屈です。それらを使用している人々は、「今すぐ停戦」または「永久停戦」を繰り返したときに何が起こると想像していますか?
彼らは、現在の状況において強制力と持続性を兼ね備えた停戦が実現するとどの程度正確に想像しているのだろうか?
これらの「願い」は、それを危険な要求に変換し、想像上の領域から現実の領域に移す適切な法的措置を講じた場合にのみ実現できます。
アパルトヘイトと大量虐殺の条約は発動されなければなりません。
·パレスチナ人民を守るために大量虐殺とアパルトヘイト条約の発動を求める国際アピール
これが完了して初めて、前に進む道は現在の障害から取り除かれるでしょう。
·イスラエルの虐殺罪を裁くのにICCではなく世界法廷が適している理由。大量虐殺条約は発動されなければなりません!
·国際法学者委員会が国際社会に訴え:ジェノサイド条約の発動を
スローガンを作成して繰り返す必要がある場合は、少なくともそのスローガンに、いかなる役人も誤解したり、否定したり、逃げたりすることができない、意味、本物の迫力、そして知的な明快さを持たせる必要があります。
                         アレクサンドラ・バリエンテ

これに続く記事本文は十分読み応えがありますので、英文か日本語訳で是非お読み下さい。
 現在、INTERNATIONALIST 360あるいはLIBYA 360 は、世界情勢を考える上で、私が頼りにしているウェブサイトの筆頭です。

藤永茂(2023年12月8日)

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1 コメント

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Unknown (桜井元)
2023-12-10 11:50:19
藤永先生が教えてくださった以下の動画ですが、発信元サイトの書き起こしを参照しながら視聴しました。

Jeremy Scahill: Israel's "Lethal Lie" About Al-Shifa Hospital as Hamas Base Was Co-Signed by Biden
https://www.youtube.com/watch?v=f-Tfkz33-sE

Jeremy Scahill: Israel’s “Lethal Lie” About Al-Shifa Hospital as Hamas Base Was Co-Signed by Biden
https://www.democracynow.org/2023/11/28/jeremy_scahill_israel_palestine_gaza_war

イスラエルは、ガザの病院を空爆する理由として、ハマスの軍事的拠点である指揮・統制室が病院の地下にあるからだと言い続け、米国(バイデン大統領)もその主張を支持し、その結果、なんの罪もない、最も保護が必要な病人・乳幼児たちの命が多数、奪われましたが、その攻撃の正当化根拠がいかにいいかげんなものだったかがよく伝わる内容でした(もちろん、仮にイスラエル側の主張が正しかったとしても、病院空爆など決して許されることではありませんが)。

イスラエル側は、証拠を見せようとメディアを引き連れ、病院のMRI装置の脇にある銃器を示しましたが、それがいかに馬鹿げた主張であったかについても語られています。MRIと銃器については、以下のような記事がありましたので、ご参考までに。

「MRI検査室に拳銃を持ち込んではいけません!」注意を無視して、磁場による誤射で死亡
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/02/mri-1.php

以前、コメント欄に、岡真理先生(早稲田大)の講演の動画を紹介させて頂きましたが、そこでも、イスラエル側の主張を真に受けてはいかないという警告が発せられていました。例えば、以下の動画の再生時間13:03あたりから語られる、ハマスの人質となったYasmin Poratさんの証言に関するところなどです。

③「緊急学習会 ガザとはなにか」―登壇 岡真理 早稲田大学文学学術院教授
https://www.youtube.com/watch?v=BhUQV7JRBxQ

Yasmin Poratさんの証言に関しては、以下の記事も参考になります。

Israeli forces shot their own civilians, kibbutz survivor says
https://electronicintifada.net/content/israeli-forces-shot-their-own-civilians-kibbutz-survivor-says/38861

また、ネタニヤフ政権に批判的なイスラエル軍のNof Erez大佐による以下の発言も、Yasmin Poratさんの証言を軍中枢にいた人物が裏付けるものとして、同様に参考になります。

We blew up Israeli houses on 7 October, says Israeli colonel
https://electronicintifada.net/blogs/asa-winstanley/we-blew-israeli-houses-7-october-says-israeli-colonel

このなかに出て来る「Hannibal Directive(ハンニバル指令)」については、以下をご参照ください。

Hannibal Directive
https://en.wikipedia.org/wiki/Hannibal_Directive

What’s Israel’s Hannibal Directive? A former Israeli soldier tells all
https://www.aljazeera.com/features/2023/11/3/whats-the-hannibal-directive-a-former-israeli-soldier-tells-all

人質をとられることで、敵に交渉の材料を与えてはならない、敵の士気を高めてはならない―。そんな理由で、人質にとられた自軍の兵士の命をも軽視し、敵・人質の区別なく徹底的に攻撃を加えるというものだそうです。今回は兵士のみならず民間人の人質も含まれましたが、同様に、この指令が適用された可能性があるという発言でした。

ハマスの今回の決起の前には、イスラエル側による長年にわたる不当な支配と占領、自治領内への入植地の拡大、分離、封鎖、差別、暴力、破壊、法の支配を無視した不法な逮捕・拘禁・虐待(女性や子供までも)、食料・水・ライフラインの制限、聖所への冒涜など、ありとあらゆる非道があったわけですが、イスラエル側は、自分たちの非道を棚に上げ、自分たちの非道が招いた結果だという事実には目をつむり、ハマスを残虐なテロリストと断罪、そして罪もない人々への虐殺行為を前代未聞の規模で展開し、それを「自衛のためだ」「ハマス掃討のためだ」と正当化し、この主張を米国も支持し続けてきました。この正当化の根拠さえも、こうまでウソにまみれたものであったとは、その罪深さは測り知れないものがあります。

イスラエル側のウソとしては、以下のような記事もありました。

Biden lied about seeing photos of beheaded Israeli children
https://electronicintifada.net/blogs/ali-abunimah/biden-lied-about-seeing-photos-beheaded-israeli-children

ハマスが子供たちの首を切断しているというウソです。米国のバイデン大統領は、自分もその写真を見たと、早々にイスラエル側の主張にくみする発言をしましたが、「見た」というその発言自体ウソだったらしく、ホワイトハウスもさすがに大統領の発言を訂正したそうです。

記事のなかに、Alan MacLeodという方がSNSに投稿したイギリスの新聞各紙の画像が挙げられていますが、どれもセンセーショナルにハマスが子供たちの首を切断したと報じています。そもそも、イギリスの三枚舌外交(フサイン・マクマホン協定、サイクス・ピコ協定、バルフォア宣言)こそが、パレスチナの悲劇の元であったわけで、イギリスあるいはイギリス人としては、過去を反省し、かの地に平和が訪れるよう、誠実に振る舞うべきところ、あろうことか憎悪と紛争の火をあおるような報道に走っていたとは、呆れてものも言えません。

グテーレス国連事務総長が国連憲章99条に基づいて安保理にはかった停戦の決議案は、けっきょく米国が拒否権を行使して反対、イギリスが棄権に回るという結果に終わってしまいました。イギリスという国も本当にひどいものだなと感じます。

過日、NHKで「映像の世紀バタフライエフェクト イギリス王室の百年 大英帝国の栄光と贖罪」という番組がありましたが、それは「贖罪」などというものではなく、世界秩序の変化、旧植民地独立を前にしての「戦略転換」に過ぎないものでしょう。完全にミスリーディングなタイトルでした。

https://www.nhk.jp/p/butterfly/ts/9N81M92LXV/episode/te/XKRZQN4765/

藤永先生が最近アップしてくださったAlexandra Valiente (Internationalist 360)の記事を読みました。

ガザの虐殺を止めるには、単に「停戦を」というスローガンだけでなく、相手がその行動を変えざるを得なくなるような実効性のあるものが必要だという訴え、まったくその通りだなと感じました。

しばらく前に、NHKのEテレ「こころの時代」で、以下の特別再放送があり、視聴しました。

アーカイブ・シリーズ ガザに暮らして(1)ガザに“根”を張る
https://www.nhk.jp/p/ts/X83KJR6973/episode/te/LP6QP9X8RP/

アーカイブ・シリーズ ガザに暮らして(2)紛争の地から声を届けて
https://www.nhk.jp/p/ts/X83KJR6973/episode/te/BLK6JVJPNE/

このなかで、イスラエルの記者アミラ・ハスさんがこんな趣旨のことを言っておられました(これは今現在ではなく初回放送時2017年時点での状況についての発言です)。イスラエルの非人道的な政策によって、ガザでは深刻な水不足が続いており、各国が支援の手を差し伸べてくれている。それはありがたいことなのだが、しかし各国は根本的なこと、もっと大事なこと、ガザの立場からすると、一番してほしいことをまったくしてくれていない。それは、イスラエルによる非人道的な水供給制限をやめさせるよう、イスラエルに対して外交圧力をかけることだ。ビザの発給を停止することでもいいのだが、それすらも行われていない、と。

非人道的な状況に「No !」と声を挙げることも大事だし、困っている人たちに支援の手を差し伸べることも大事だが、一番大事なのは、そういう非人道的な状況を作っている側の行動を止めさせるために実効性のある取り組みを展開していくことなのだと、アレクサンドラ・バリエンテさん、アミラ・ハスさん、お二人のメッセージが重なって聞こえてきました。
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