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生きること:過去と未来とエスペラントと

古い切り抜き帳Ⅱ

2017-06-03 07:14:17 | 
 石井桃子さんは"子どもの心 子どもの本"と云う題で4回にわたって書いています。
①秘密の世界
②記憶とよばれるもの
③環境は訴える
④新しいおとな
 彼女はその中で子どもでない大人が子どもが共感を示すような本を書けるかと云うことを論じています。
 私は中学生の時に、彼女の作品"ノンちゃん雲に乗る"や他の作家の"51番目のザボン"を読んで驚いたのでした。それまで私が接してきた物語は民話とかいわゆる世界名作物語と云うものばかりで、現代の話が童話になるなどと思いもよりませんでした。もしかしたら私にも童話が書けるかもしれないと、見たこと聞いたこと空想したことなど毎日毎日、1冊の大学ノートを横にして書き続けましたが、それは物語とは程遠く、人に見つかると恥ずかしいので風呂の窯に入れて燃やしました。石井さんによれば書くということは大変な年月を要することなのです。人はいろんなことを記憶します。しかし、記憶は写真と違い年月を経る中である部分は希薄になり、ある部分は情緒的に積み重なってゆきます。そこから童話が生まれることもあるが、どんなに情緒的蓄積があっても生まれないこともあるだというのが石井さんの記事の要約でしょうか。

 世の中に名作が氾濫する理由を彼女は書いています。出版社は出版した本が売れないと困ります。名作と云うのは年月をかけて、時には最近のものであっても違う国で爆発的に人気を呼んだ物語には人心を掴むという保証が付いているから出版し易いと。なるほどと思います。
コメント
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