唐松林の中に小屋を建て、晴れた日には畑を耕し雨の日にはセロを弾いて暮したい、そんな郷秋の気ままな独り言。
郷秋<Gauche>の独り言
はしる まがる とまる
今日はポール・フレール著「はしる まがる とまる」(2004年8月26日初版 二玄社刊 税別1,200円)を紹介したい。
ポール・フレール(1917年生まれ。以下、敬愛の念を込めてPF先生)は世界で最も著名かつ信頼されているモーター・ジャーナリストである。PF先生は1955-56年にはフェラーリF1チームのドライバーを務め、1960年には「ルマン24時間」でフェラーリチームを優勝に導くなどドライバーとしても超一流の経歴を持っている。
「はしる まがる とまる」はそのPF先生が書いた、言ってみれば「クルマ運転の教則本」である。彼のレーシングトラックでの経験をはじめ、ドライバーとしての長い経験を基にして説かれる運転のテクニックは実に合目的的であり、これをそのまま実行すれば公道上での安全でスマートかつスピーディーなドライビングが出来るようになること請け合いである。
PF先生のアドヴァイスの一部をご紹介しよう。
1.正しい運転姿勢
安全かつハイスピードなドライビングの第1歩はまずシート合わせから。
女性の多くのシートポジションは前過ぎであり、運転に自信がある男性の多くのシートポジションは後ろに過ぎる。
→ ステアリングの一番上を持ったときに肩がシートバックから離れないこと。シートのスライド、リクライニングだけではなくて、ステアリングのチルト、テレスコピック機能がないと完璧なポジションを取るのが難しいことは事実だが、基本に近づける努力をすること。またシートベルトのアンカーの調節もお忘れなく。
2.カーブでの走り方
道幅をいっぱいに使ってできるだけ大きな回転半径で旋回する。
→ 右カーブの例:カーブの手前でクルマをできるだけ左端に寄せカーブの頂点もしくはその直後をかすめ、左端しまでクルマを寄せていく(勿論反対車線にははみ出さない範囲で)。これがコーナーをより早く走り抜けるテクニックだが、より遅いスピードでこの走り方を実践すれば、例えばコーナーの頂点に砂が出ていたり濡れていたりする場合の安全性が高まることになる。
3.ペダルの踏み方
AT車のブレーキは左足で踏む。
→ 右足でアクセルとブレーキの両方を操作する場合に、とっさの場合、アクセルペダルの上にあった右足をブレークペダルの上に移動し踏み込むまでどれほどの時間がかかるか考えてみればよい。右足でアクセルペダルを、左足でブレーキペダルを操作していれば、足の踏み替え(移動)なしに、瞬時にブレーキペダルを踏むことが可能になる。50Km/hで走行している場合、仮に0.2秒踏むのが早ければ2.8m手前でとまることが可能なのだ。ただし、左足ブレーキのためには安全な場所で十分練習を積むこと。ちなみに現代F1のマシーンはすべて2ペダルのセミATであるが、すべてのドライバーが左足でブレーキを踏んでいる(ジャン・アレジが右足でブレーキを踏んでいた最後のドライバーか)。
「はしる まがる とまる」には、普通のドライバーが普通の道路をより安全に走るためのアドヴァイスが書かれているが、その基本はサーキットをより早くより安全に走るためのテクニックとまったく同一であるから、本書は安全に走りたい、早く走りたいすべてのドライバーにお勧めすることができる。
更に、より安全により早く走りたいという方には同じくPF先生の「新ハイスピード・ライビング」1993年12月10日初版 二玄社 税別1,553円(オリジナル版「ハイスピード・ドライビング」は1966年7月16日初版)をお勧めする。
PF先生が語るドライビングの理論と実践。感覚だけでなく、物理法則で解説される車の運動理論は高い説得力を持ち、クローズドサーキットおよび公道におけるスポーツドライビングのための最良のテキストとなるであろう。
ポール・フレール(1917年生まれ。以下、敬愛の念を込めてPF先生)は世界で最も著名かつ信頼されているモーター・ジャーナリストである。PF先生は1955-56年にはフェラーリF1チームのドライバーを務め、1960年には「ルマン24時間」でフェラーリチームを優勝に導くなどドライバーとしても超一流の経歴を持っている。
「はしる まがる とまる」はそのPF先生が書いた、言ってみれば「クルマ運転の教則本」である。彼のレーシングトラックでの経験をはじめ、ドライバーとしての長い経験を基にして説かれる運転のテクニックは実に合目的的であり、これをそのまま実行すれば公道上での安全でスマートかつスピーディーなドライビングが出来るようになること請け合いである。
PF先生のアドヴァイスの一部をご紹介しよう。
1.正しい運転姿勢
安全かつハイスピードなドライビングの第1歩はまずシート合わせから。
女性の多くのシートポジションは前過ぎであり、運転に自信がある男性の多くのシートポジションは後ろに過ぎる。
→ ステアリングの一番上を持ったときに肩がシートバックから離れないこと。シートのスライド、リクライニングだけではなくて、ステアリングのチルト、テレスコピック機能がないと完璧なポジションを取るのが難しいことは事実だが、基本に近づける努力をすること。またシートベルトのアンカーの調節もお忘れなく。
2.カーブでの走り方
道幅をいっぱいに使ってできるだけ大きな回転半径で旋回する。
→ 右カーブの例:カーブの手前でクルマをできるだけ左端に寄せカーブの頂点もしくはその直後をかすめ、左端しまでクルマを寄せていく(勿論反対車線にははみ出さない範囲で)。これがコーナーをより早く走り抜けるテクニックだが、より遅いスピードでこの走り方を実践すれば、例えばコーナーの頂点に砂が出ていたり濡れていたりする場合の安全性が高まることになる。
3.ペダルの踏み方
AT車のブレーキは左足で踏む。
→ 右足でアクセルとブレーキの両方を操作する場合に、とっさの場合、アクセルペダルの上にあった右足をブレークペダルの上に移動し踏み込むまでどれほどの時間がかかるか考えてみればよい。右足でアクセルペダルを、左足でブレーキペダルを操作していれば、足の踏み替え(移動)なしに、瞬時にブレーキペダルを踏むことが可能になる。50Km/hで走行している場合、仮に0.2秒踏むのが早ければ2.8m手前でとまることが可能なのだ。ただし、左足ブレーキのためには安全な場所で十分練習を積むこと。ちなみに現代F1のマシーンはすべて2ペダルのセミATであるが、すべてのドライバーが左足でブレーキを踏んでいる(ジャン・アレジが右足でブレーキを踏んでいた最後のドライバーか)。
「はしる まがる とまる」には、普通のドライバーが普通の道路をより安全に走るためのアドヴァイスが書かれているが、その基本はサーキットをより早くより安全に走るためのテクニックとまったく同一であるから、本書は安全に走りたい、早く走りたいすべてのドライバーにお勧めすることができる。
更に、より安全により早く走りたいという方には同じくPF先生の「新ハイスピード・ライビング」1993年12月10日初版 二玄社 税別1,553円(オリジナル版「ハイスピード・ドライビング」は1966年7月16日初版)をお勧めする。
PF先生が語るドライビングの理論と実践。感覚だけでなく、物理法則で解説される車の運動理論は高い説得力を持ち、クローズドサーキットおよび公道におけるスポーツドライビングのための最良のテキストとなるであろう。
コメント ( 5 ) | Trackback ( )
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本当に、「スマートに、安全に走る」というドライビングの基本は公道でもサーキットでも同じですよね。
ちょくちょく雑誌のCGで「PF先生」の記事を読むんですけど、豊かな経験とそれを的確に伝える文章力を併せ持つ希有な人だと思います。私も今度この本を読んで、疎かになりがちなドライビングの基本を学びなおしたいと思いますw
我が愛車ハイエースはオートマですがアクセルとブレーキペダルの間にハンドルポストがあり、したくてもヒール&トゥは出来ません(汗)
かといって左足ブレーキに踏み込む程の勇気もないのですが...
公道でもサーキットでも走行中一番大切なのは安全ですね。二冊目の本の方はサーキットでの走行について詳しく書かれています。これをマスターしておけば公道での限られた速度の中ではホントに安全に走ることが出来るようになると思います。
shinoさん、おはようございます。
確かに左足でデリケートなブレーキ操作をするのには慣れが必要です。カートをやっていた頃、私のカートは遠心クラッチが着いたタイプだったので、コーナー手前でブレーキング(勿論左足)しながらエンジンの回転が落ちないようにアクセルを煽ってコーナーに入ったりしたものです。
左足でブレーキ踏めればいいですね。
あたしは免許はあるもののペーパーなので
まずは車の運転に慣れる事からはじめないと…
今はどうかわかりませんが、少し前のトヨタのAT車のペダルは左足ブレークがしにくい配置のみならず、取説に「ブレーキ」は右足で踏みようにと書いてありました。同時期のホンダ車のブレーキペダルは左足で踏みやすい位置にあり、操作する足の指定はありませんでした。
それほど多くのクルマを知っているわけではありませんが、概して欧州車のブレーキは左足で踏むことを前提にして設計されているように思います。クルマ作りの思想により差なのでしょうね。