独り言と独白

 恥ずかしながら浅薄を晒せば、郷秋<Gauche>は昨夜まで、「独り言」と「独白」は同じ意味の言葉だと思っていた。ところが、寝しなに読んでいた「宮沢賢治の世界」(吉本隆明著、筑摩選書、2012年8月15日初版第一刷)に「宮沢賢治の独り言から出てくるようにもおもえるし、独白らから出てくるようにみえるときもあります。」(74頁、「宮沢賢治の陰―理論の中性点」)と書かれているのを発見。「独り言」と「独白」とは、別の意味を持つ言葉であることを知った。

 「会話の相手なしに一人で云うことは共通だが、「独り言」は誰かに聞いて欲しいと云う意図を持たぬままに口をついて出る言葉。「独白」は誰かに伝えたい、と云う明確な目的を持って(一方的に)語ること、のようである。言葉の世界は深い。深いから面白い。しかしだ、こうして「独り言」と「独白」の意味の違いを知ると、このblogのタイトルが果たして適切なものなのかどうか、いささか心配になって来る郷秋<Gauche>であるが「まっ、いいか」と独り言。いや、独白か。

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