福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

無痛歯科治療 MIの話

2006-10-30 | 虫歯治療の話

歯医者は、むし歯治療にしても歯石を取るにしても、「痛い」というイメージをお持ちの方がほとんどですよね。痛ければ注射麻酔、注射は痛いしそのあとしばらくは痺れていやだ、という具合に、やはり「痛い」イメージが付きまといますよね。では、むし歯治療で注射麻酔をせずに削ってこれが痛くなくて、さらにはその日のうちに治療終了したら、これは良くありませんか? 
ここ数年ですが、歯科業界でMIという用語をよく聞きます。MIはMinimal Intervention の頭文字で、「最小限の介入」と直訳されますが、歯科的には、虫歯の治療で歯を削る量や範囲を最小限にするというポリシーに基づいた治療法です。やたらと歯を削りたがる歯医者は実際はあまりいないと思いますが、 以前は強度が充分でかつ歯に良好に接着する材料がなかったため、金属が丈夫ですので、詰めたり被せたりした後に外れにくいように、どうしてもむし歯意外の部分も便宜的に深く削ったり、削る範囲を広げたりというのが通常でした。その典型が奥歯の金属の詰め物、インレーです。
歯の色をした詰め物であるコンポジットレジン(硬質の樹脂)とその接着システムの最近の発展で、むし歯があまり大きくない場合は、最小限に削って詰め、その日のうちに治療終了というのが可能になってきました。実は理屈的には、むし歯部分のみ除去するのには痛みは伴いません。むしろ虫歯でない部分を便宜的に削るので痛みが出ると考えられます。前回のブログで紹介した5倍速エンジンを使って削り、さらに虫歯以外の削る部分を最小限にすれば、無痛治療もより現実化します。さらに詰め物にトラブルが発生して再治療が必要な場合でも、コンポジットレジンではインレーのように削り直してやりかえというのではなく、問題のある部分のみ削って、新しい材料を追加接着する、いわゆる「修理」が可能です。
ただし元のむし歯が大きい場合は、セラミックやハイブリッドセラミックという歯の色をした材料も随分良好になって来ましたが、従来の金属での詰め物がやはり基本です。



 う蝕検知液でむし歯部分が染まります。このような奥歯の噛み合わせの部分的なむし歯でも、以前は溝の部分を全部予防的に削って、さらにインレーが外れにくいようにある程度均一な深さに削るのが基本でした。

最近はPRR(Preventive Resin Restoration、予防的レジン充填)といって、まずむし歯部分のみ削ります。

そこにコンポジットレジンを詰め、その他のむし歯になりやすい溝部分は、同系統の材料であるシーラントで溝を封鎖することで予防効果が得られます。以前とすると格段に歯を削る量は減っています。治療もまず無痛で1回で行えます。

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