「う蝕有病者率」という言葉があります。むし歯が1本以上ある人の割合を示す用語です。小児歯科分野に関連するところでは、1歳6か月健診と3歳児健診はほとんどの子ども達が受けますので、もっとも集団が大きい統計ということになります。
1歳6か月健診ではむし歯がある子どもの割合は数%(5%未満)、これが3歳児健診では25%近く、すなわち4人に1人はむし歯が出来ているということになります。ひと世代前は60%以上でしたから、低年齢でのむし歯減少は明らかです。
とは言え、1歳6か月から3歳のわずか1年半の間にかなりむし歯が増えることも事実です。何がそうさせるのか? まずは、まさにこの時期は虫歯菌が感染増加する時期であること、卒乳後、食のレパートリーが増えて食生活が豊かになるのは良いのですが、甘いおやつも覚えてしまう時期でもあります。甘いおやつの摂り過ぎは。感染した虫歯菌を一気に増やして虫歯菌の多い子どもになってしまいます。
3歳近くまで甘味食品の制限は可能でしょうか? 我が家の場合、親が甘いものをほとんど摂らないので(酒飲みということです)、努力せず可能でした。これはむしろ特殊で、家庭環境として親兄弟も甘いものが好きな場合は多々あるわけで、言葉で言うのは簡単だけれども現実的には難しい場合も多いのでは。
そこでヘルプしてくれるのがフッ素の応用です。歯科医院で定期的に塗ってもらうのに加え、家庭用のフッ素ジェル、スプレーや泡状フッ素を使用することでかなりのむし歯予防効果が期待できます。
歯周病予防はやはり基本はプラークコントロールということになりますのである種努力の継続が必要ですが、むし歯予防はフッ素という強い味方がありますので考えようによっては楽です。
これは東京都の3歳児健診の経年的データです。むし歯を持っている子どもの割合は減少してきていますが、なぜでしょう? その謎の答えはいずれ。
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