中学生の患者さんで、数か月前に歯並び噛み合わせの相談に来院されました。
初診時におおまかな診査と、原因や治療方針などを説明し、検討いただくことにしました。そして、この春休みに再来されました。
下の歯並びは余裕ありで良好ですが、上の前歯がデコボコですね。
上の前歯が向かって左側に傾斜して、左側のデコボコ度合いが強く、その分上下の真ん中が一致しない噛み合わせになっています。
矯正治療のご希望ももっともです。
上の歯並びを見てみると、上の犬歯の後ろ側に乳歯の犬歯が残っており、向かって左側は歯根のみ、右側はなにげに並んでいます。
簡単に言えば、両側の犬歯の生え変わりがうまくいかず、歯の数が2本多い状況で、デコボコになるのも当たり前と言えます。
下の歯並び、そして奥歯の前後関係の噛み合わせは良好ですから、元来は歯並びかみ合わせに問題がないタイプと言えます。
上の犬歯は最も高い位置で歯が形成され、出て来るまでの経路が長いこともあって、X線チェックで方向が良くない(通常、隣の側切歯方向に傾斜)ため、乳歯の犬歯との生え変わりの問題が予測されることは少なくありません。
そのような場合、定期健診のなかで生え変わりが良好に進むかモニタリングしながら、問題があればタイムリーに乳犬歯を抜歯することで、犬歯が良好な位置に誘導され出て来ます。この概念、処置を萌出誘導といいます。早期発見、適時介入ということで、時間軸を考えながら小児歯科のプロが対処すべき内容です。
この患者さんの場合、両方の乳犬歯を抜歯して矯正治療をすれば綺麗な歯並びかみ合わせになります。
多分小学校高学年の時期でしょうか、萌出誘導が良好に出来ていれば、矯正治療のための時間と費用は不要だったかも知れません。
ふたつき子ども歯科 http://www3.coara.or.jp/~futam
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