埋まって出て来ない歯は埋伏歯と呼ばれ、第3大臼歯すなわち親知らずは埋伏は珍しくありません。
出るスペースが無いので出て来ないというのが一般的で、埋まった状態でも症状がなければ放置、痛みがあれば抜歯というのが普通です。
第3大臼歯以外は普通に生え変わって出て来て欲しいわけですが、何らかの原因で乳歯とうまく交換せず、永久歯があるにもかかわらず出て来ない、埋伏状態になることがあります。
頻度が相対的に高いのは、上の中切歯、犬歯、上下の第2小臼歯などではないでしょうか。
元来出るべき歯ですから、できれば処置をして何とか生やすことができれば、と思いますよね。私自身は成長発育期の患者さんを多く診て来ましたので、埋伏歯に外科的にアプローチして(開窓といいます)、矯正装置でけん引した例は珍しくありません。
この患者さんは矯正治療をご希望で来院されました。
パッと見には前歯のすきっ歯の治療? と思いますが、実はすきっ歯には明らかな原因あり。
ご本人から見て、左上の犬歯がありません。埋まって出て来ないので、抜歯ということになったそうです。
その後に矯正希望で来院されたわけです。前医からの紹介状が無いので、どのような埋伏だったのかな~?と、知りたい気持ちが正直なところ。
埋伏が上の方とか深くて水平に倒れているとか、けん引が難しい例もありますが、私自身の経験でも上の犬歯の埋伏、けん引は頻度が高いと思います。
できるだけ手を尽くして、抜歯にならないようにしたいものです。
矯正医の野田先生が最近、これだ!という本を出版してくれました。
当院の矯正治療のベースとなっているスライディングメカニクス。野田先生の影響大です。
すべての例でけん引ができるわけではありませんが、ギヴアップ症例は減らしたいものです。
ふたつき子ども歯科 http://www3.coara.or.jp/~futam