乳歯の外傷は欠けたりするよりもグラグラなる場合が多いということは、先日のブログでもお話しました。
乳歯でも永久歯でも上の前歯の外傷が圧倒的に多いのですが、時々下の前歯をぶつけたということがあります。
上の前歯のグラグラの場合、弾力性のあるワイヤーをぶつけた歯の両側を含めた範囲で歯並びの形に合わせて曲げた後、歯の外側部分に接着して連結固定します。
ところが下の前歯の場合、外側に接着すると上の前歯が噛みあわせで当たって固定ワイヤーが外れやすくなります。前歯の内側に接着できれば良いのですが、乳歯の下の前歯というのはかなり小さく、さらに唾液も多く出てくる部位ですので、接着剤がうまく働きません。
そこで下の前歯の外傷の場合、または支えになる両隣の歯が充分に出ていない低年齢児では歯型をとって歯を覆うようなキャップ状のものを作製し、これを歯科用セメントで歯と接着することで安定した固定が得られます。固定期間は通常3週間前後です。このようなものを入れるとまともに食事が出来るの? と思われるかもしれませんが、小児は大人以上に適応能力があって、ほぼ問題なく食事できるんです。
これは1歳の幼児の歯型。実物はかなり小さいものです。1歳で歯型? 可能?とお思いでしょうが、ご覧のとおりわりとすんなり歯型はとれます。
入歯や外せる矯正装置の材料と同系統のアクリルレジンという材料でキャップ状の固定装置をつくります。
これは実際3週間位使用して外したもの。均等に噛めるように、あえて広範囲に左右対称につくります。グラグラだった左下の前歯はもちろんしっかり元に戻りました。
ふたつき子ども歯科 http://www3.coara.or.jp/~futam/
http://www.futatsuki-dental.com/