福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

非抜歯矯正の2例

2024-03-21 | 歯並び、矯正の話

昨日は祝日だったので休診。今日木曜は通常休診日ですが、昨日に替って通常診療です。
長期休みをタイミングに矯正治療開始する患者さんは結構多くて、今日も治療スタート前の検査診断の患者さんが2名。
お二人とも、たまたま非抜歯で治療可能な患者さんです。



向かって右上の側切歯が先天欠如、左側の側切歯も小さめ(矮小歯)です。
通常、歯が無い側に前歯がズレますが、この患者さんは向かって右上の犬歯が側切歯の部位に生えてきたこともあって、そのような傾向はありません。



横から見ると犬歯の後ろにむしろスペースがあります。
こちら側の奥歯は前方移動してスペースを閉鎖するので噛み合わせを変化させます。
犬歯は側切歯のように形態修正、反対側の矮小な側切歯は大きめに形態修正、そして上下真ん中を一致させることが治療ゴール目標です。

次は比較的軽度の歯並びデコボコで、やはり非抜歯矯正です。



上下真ん中が、結構一致していないのが気になりますね。
デコボコ部位の上下差や、犬歯小臼歯部の噛み合わせの左右差が主たる原因のようです。



左右奥歯の噛み合わせは対象的ですが、やや反対咬合系の骨格なので、それを理解して頂きスタートします。
上の骨格が小さめなので、非抜歯治療後は軽度に上の前歯が前傾したゴールになります。



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第1期矯正治療が望ましかったのでは?

2024-03-19 | 歯並び、矯正の話

新中学3年の患者さんで、反対咬合系ではないので全体的矯正治療をスタートします。





ご覧のように、中適度の歯並びデコボコ+上前歯の出っ張りがあります。
下から写すと、犬歯付近まで噛み合っておらず、開咬です。
初診は小さい頃ですが、その後の来院は定期的ではなく、噛み合わせの経過を観ることが不可でした。
もちろんお口ポカンで、下唇が上下前歯間に入り込んでいます。
奥歯の噛み合わせが中程度の出っ歯系で、一番奥の第2大臼歯もスペース不足で外側傾斜しています。
患者さんの3次元的骨格が歯並びかみ合わせに反映してはいますが、小学校後半程で何らかの第1期治療ができたのでは、と考えます。
現状解決には抜歯矯正にはなりますが、第1期治療介入で、全体矯正がシンプルになったのではないでしょうか。
開咬状態が長年続き定着していることが、治療後の安定と言う面で気になります。



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抜歯矯正に問題は?

2024-03-17 | 歯並び、矯正の話

中高生の全体的矯正治療の場合、なかなか重症症例が多いこともありますが・抜歯矯正例の方が多い現状です。
懇意にしている矯正専門のY先生も、3分の2くらいが抜歯矯正になっていると言っていました。







今度中学卒業の患者さんです。
この患者さんも上下左右第1小臼歯の抜歯で治療をスタートします。
健康な永久歯を抜いて問題ありませんか?という質問を時々受けます。
例えばこの患者さんでは、前歯と奥歯の一部のみがそれなりに噛み合っていますが、他は歯としての機能を果たしていません。
もちろん全部の歯が抜歯なしてきちんと並んで噛み合ってくれれば理想です。
歯の大きさも顎の大きさも変えることは出来ませんので、4本抜歯できちんとした歯並び噛み合わせになれば「ベター」ということになります。
「抜かない矯正が可能です」と謳っている歯科医院もありますが、非抜歯でOKな患者さんのみを受け入れているのかも?
ディテールは分かりませんので、治療後の後戻りのマネジメントも含めて、教えて頂きたい気持ちです。
ちなみにこの患者さんは、抜歯しても他の歯のズレが大きいので若干時間はかかると思いますが、左右奥歯の噛み合わせずれが無いので、比較的簡単な例になります。


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先天欠如歯がある1例の矯正治療計画

2024-03-15 | 歯並び、矯正の話

どこかの永久歯が欠如している場合は、日本の統計的研究では10人にひとりくらいです。
珍しくはありませんので、小児歯科&矯正歯科的立場では、どのような永久歯列が望ましいか、時間軸を考慮して検討します。



この患者さんは、特に上の前歯の歯並びが気になって矯正治療ご希望です。





上下とも歯並びの幅が狭めでスクエアな歯列弓形態、下の小臼歯部は内側傾斜がみられます。
比較的歯列の側方拡大が可能なパターンです。
また下の切歯は、1本先天性の欠如があります。



横から前後的噛み合わせをみると、下顎大きめで前方位です。
もし下の歯の欠如が無かったら、反対咬合かそれに近い噛み合わせになったと思われます。
このような患者さんで、奥歯のニュートラルな噛み合わせ、上下真ん中が一致することなどを重視するとどうしても抜歯矯正になります。
理論的には3本抜歯です。
もちろん上記のことは考慮しますが、まずは抜歯なしでスタートして、途中で再評価を考えています。
上下真ん中は一致しませんが、0本抜歯で終われる可能性が高いと予測しています。



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奥歯の噛み合わせの問題

2024-03-11 | 歯並び、矯正の話

第1大臼歯や第2大臼歯が逆に噛んでいたり(交叉咬合)、上下が噛み合っていない場合(鋏状咬合)がありますが、特に鋏状咬合は奥歯噛み合わせ部分が噛んでいない状況です。
奥歯の咀嚼に影響があるので治療が望ましいのですが、外から見ても分からないので、矯正相談は稀です。



この患者さんは小学校高学年で出っ歯系の噛み合わせを、プレオルソ使用で改善しました。
現在高校入学時で安定して良好ですが、向かって右上の奥歯(第2大臼歯)が、すっかり外向き傾斜しているのが見えます。
今まで定期健診のなかでチェックしていて、自然治癒は難しそうです。





上から見ると、左右奥歯とも同様で、横から見ると下側奥歯は内側傾斜しているのが見えます。
当院では、上下どちらの要素が大きいか判断して、大きい側からアプローチしています。
この患者さんは上の位置異常が大きいので小臼歯大臼歯部のみにブラケットを付けて、一番奥歯を内側移動します。
それで治癒しない場合、下の奥歯を外側に起こすことになります。
下は内側のリンガルアーチにループを組み込んで起こせばOKなので、比較的簡単です。
内側傾斜の奥歯は上の奥歯が噛み込んでいて、外側にブラケットが付けられないということもあります。
クロスエラスティックと言って、位置不良の上の歯の外側と下の歯の内側にボタン状の引っ掛けを接着して、矯正用ゴムで引っ張り合う方法もあります。
教科書的には掲載されていたりしますが、噛み合わせゆえにゴムが切れやすく実際的ではありません。
第1大臼歯の場合、後ろの第2大臼歯が出て来る時期になると、動きにくくなります。
第2大臼歯では、第3大臼歯(親知らず)が出る時期になると同様ですので、治療時期を考える必要もあります。



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歯のズレ、噛み合わせのズレ

2024-03-05 | 歯並び、矯正の話

乳歯の時期の反対咬合を第1期治療で改善した患者さんです。
それから4年ほど経過して、永久歯前歯が出揃いましたが、同様の傾向が見られます。



向かって右側半分が上下逆に噛み合っていて、下顎も同方向にズレて噛んでしまいます。
この年齢では下顎の左右非対称はあまりないので、口を開けると下顎ズレはほぼ改善します。
歯の位置が噛み合わせを誘導しているわけです。





上の歯並びを見ると、向かって左側の乳犬歯が早めに抜けてしまっていて、永久歯前歯はその方向にズレています。
こちらは顎のズレではなく、歯のズレです。
上下のズレが反対方向にあるため、前から見ると随分上下真ん中が不一致です。
治療方針としては、上の歯並びを側方前方に拡大して、下顎のズレを改善します。
拡大することで、向かって左側の犬歯スペースも拡大できます。
反対咬合系の患者さんでは、相対的に上の歯並びが小さいので、本来はまだ抜ける時期でない乳歯(例えば乳犬歯)が早めに抜けることはあるあるです。
歯のズレは後程、ブラケットで配列すれば改善します。
この時期は、顎のズレの改善を優先することで、後程の全体的矯正治療がシンプルになります。



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噛み合わせの改善は早期に

2024-03-02 | 歯並び、矯正の話

小学校中ほどの患者さんで、上の前歯の出っ張りが強い状況です。





下から見ると前後的に上下前歯が全く嚙み合っていません。
この間に下唇が乗っかった状況で、さらなる悪化が予測されます。



ご覧のように上の歯列形態はV字型で、幅は狭い状況です。
上の歯ならび幅が狭いため、下顎が後方に誘導されて、より噛み合わせが悪化する循環をつくってしまいます。
時期的に、プレオルソ(タイプ1SSソフト)が適切で、上記の複数の問題点にそれぞれ対応できます。
今後の発育もあり、1期治療のみで完結しないかも知れません。
ただし、この時期の介入が有効であることは、間違いありません。




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萌出誘導のための保隙装置

2024-02-29 | 歯並び、矯正の話

小学校高学年の患者さんで、若干生え変わりが遅めです。
虫歯が多く、早めに乳歯抜歯が必要な場合が過去にもありました。



この患者さん、もともと向かって右上の犬歯位置が不良で経過を観ていました。
X線評価で、犬歯の生え変わり時期が近づいて来つつありますが、位置の改善が見られません。
そのため生え変わり時期の乳歯歯根吸収も不良です。
今回、乳犬歯を抜歯して永久犬歯の萌出誘導を試みています。
通常は虫歯や外傷で乳歯を早く失った場合に、永久歯が出て来るまでスペースを確保するのが保隙装置です。
この患者さんでは計画的に乳歯を抜歯していますが、永久歯が出るまで時間がかかりそうなので、リンガルアーチと呼ばれる保隙装置を装着しました。
順調に出てこない可能性もあるので、場合によっては外科的開窓、矯正的牽引処置が必要になるでしょう。




この患者さんは、もともと出っ歯系ですが、下の前歯数が1本少ないため助長されています。
まずは出るべき歯が出揃って、その後の矯正治療が望ましい患者さんです。



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上唇小帯の処置が望ましい例

2024-02-28 | 歯並び、矯正の話

上の前歯真ん中にスペースがある場合、いくつか原因があります。
多くは噛み合わせが深いため、上の前歯が前傾、バラけてスペースがある状況になります。
永久歯列になる前だと、プレオルソ(タイプ1)を就寝時に使えばほぼ改善します。



この患者さんも、噛み合わせが深く出っ歯系で真ん中にスペースがあります。
プレオルソを1年近く使用してかみ合わせ深さは改善しましたが、真ん中のスペースは完全には閉じない状況です。
上の前歯真ん中の、上唇小帯が太く口蓋側まで伸びています。この小帯の太さが改善を妨げている要素が考えられます。
なので、最近小帯形成術を行いました。
小帯が太い場合は短いことも多いので伸展術も必要ですが、この患者さんでは、口蓋まで伸びる太い小帯自体を除去する必要もあります。
CO2レーザーで、両方の処置を行いました。
治癒を待って、プレオルソを再開し、経過を観ることとしました。
因みにこのような患者さんでは、矯正治療なく小帯の処置のみでスペース閉鎖は望めないのはもちろんです。
通常前歯が出て来る時期は、小帯に関係なくハの字に広がっていますが、次第に改善します。
また低年齢では小帯が低い場合が多々ありますが、歯槽の縦方向の発育で、見た目には小帯が上に移動して改善します。
この例のように小帯が原因の例は稀なので、小帯処置の判断はほぼ永久歯に生え変わるまで待ってOKです。



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噛み合わせ改善のタイミング

2024-02-27 | 歯並び、矯正の話

初診の患者さんで、幼稚園健診で噛み合わせの問題を指摘され来院されました。



向かって左側の噛み合わせが逆になっており、交叉咬合と呼んでいます。
交叉している側に下顎がズレて噛んでます。
通常お口を開けると、この年齢では上下の真ん中は一致します。
このままの噛み合わせで思春期成長期を迎えると、下顎形態の左右的ゆがみが出て来ます。



横からの写真で、より噛み合わせの問題がクリアです。
上の歯並びを拡大してズレを改善する矯正治療がいずれ必要になると予測されます。
前歯の生え変わり時期で、さらに上下歯並びの拡大時期でもあるので、まずは1年ほど上下永久歯前歯が出揃うまで経過を観ます。
基本的に反対咬合系の患者さんなので、特に上の永久歯前歯のデコボコも予測され、歯並びかみ合わせ一緒の改善が必要かも知れません。
このようないくつかの理由で、即矯正治療ではなく、少し待つことになります。



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