熟年の手習い

熟年老い易くチェロなり難し

豚に「真珠とり」

2005年05月12日 | 音楽


オペラは高嶺の花だ。
来日中のフェニーチェ歌劇、S席で4万以上。最低でも1万5千円。

数年前来日の時、なんと、なんと!ゲネプロを観ることができた。
近くに元文部大臣の赤松女史が座っておられた。

友人の幼馴染が団員(日本人)にいる関係で、友達の友達で入れてもらった。
ヴェルディ「シモン・ボッカネグラ」
何もわからないまま、4時間の長丁場。
丁々発止と舞台を作っていく様子を見た。

覚えているのは、簡素にシンボル化したモノトーンの舞台。
中央のオブジェは印象的だったし、ライトの使い方も感心した。
ものすごく現代的な舞台美術だ。
衣装も服というより全員白っぽい布をまとっているだけ。

一番圧倒されたのは指揮者が、歌も所作も自ら実演して出演者に指示していること。
あらゆるパートの人をチェックして注文をだしていく。
かと思うと、オケの方を見て演奏の指示。
指揮者一人が4時間立ったまま、休むヒマもなくぶっ通しだった。
すごいタフ。

ここの指揮者が2月に亡くなられたそうだが、この方だったのだろうか。

そして今回、友人が行ったゲネプロは「真珠とり」だったが、人数が制限されているので私まで無理だった。(大勢にタダでみせるわけにいかんでしょうね。)
またもや馴染みのない演目なのでワタシなんかには、まさに豚に「真珠とり」だ。

周囲は音大関係の人ばかりだったらしい。
かなり酷評してたけど、よくわからなかった、と友人のコメント。
楽屋口から入らされたので近くで出演者が見えて、年配のおっちゃん、おばちゃん、ばっかりで驚いたとか。
熟年が第一線でがんばっているのがうれしい、というのが一番の感想だったようだ。
友人は前回、椿姫の方はチケット買って観たそうだが、今回はゲネプロだけだ。
やっぱり知らないものを観るほどオペラ通ではないみたい。
というか、あくまでも幼馴染の出番があるかないかですね。

オペラで思い出すのは中学入学してすぐの音楽祭だったか、文化祭だったか…
今まで観た、そしてこれから観るであろうどのオペラよりもインパクトが強いかもしれない。

女子校だったのだが、オペラハイライトとして高3のお姉さんがカルメンや、椿姫、蝶々夫人の名場面を熱演した。堂々と‘オンナ’を歌い上げていた。
チイチイパッパの学芸会しか知らない新入生は、いきなり惚れた腫れたのオペラの舞台を目の前で観てそれはもう、大騒ぎだった!
宝塚歌劇のノリ!でもレベルの高さも大人の間で評判になったらしい。

毎年恒例ではなく、音大進学するような出来のいい子達を徹底指導した賜物だった。
東京芸大出が自慢の先生も、この特別な舞台のことはずっと語り草にしていらした。
舞台に立ちたい、声楽をやってみたい、と生徒達の進路にも大いに影響を与えたようだ。

功績を讃えられてきた先生ですが、私の場合、お蔭様で音楽的才能のないことを思い知らされましたね。
しっかり選別して教育されましたから。残念!