熟年の手習い

熟年老い易くチェロなり難し

浮世絵めぐり

2017年12月08日 | アート


もうどちらも終わりましたが、チケットをいただき行ってきました。
北斎展は大混雑もいいところ。
夕方が比較的見やすいとありましたが、とんでもありませんでした。
浮世絵は小さくて細かすぎるので、満足に見られずストレスたまるばかり。
広重展も、いつもはガラガラ閑散とした美術館ですがまあ入っていました。
それでも北斎に比べたら何と楽に鑑賞できることでしょう。
図書館で雑誌も借りてしまいました。
何だかお腹いっぱいに。
数年前、年賀状に北斎の作品をパロったのですが、その時の方が浮世絵観て面白がっていました。
ブームになると天邪鬼にも冷めてしまったような。

エルミタージュ展というこれまた人気の(北斎の混みようではありません)展覧会にも行きました。(自腹で、笑)
同時に開催されている地元ゆかりの企画展に友人、恩師が取り上げられているのでそちらが主たる目的でした。
でもエルミタージュ展、予想以上に楽しめました。
大量の西洋画を観続けていると、江戸ののっぺりした絵ばかり観続けたせいか、その表現力にやっぱり圧倒されました。
江戸の人達が初めて西洋画を観て仰天し自分たちの文化を過小評価し始めたムードが何となくわかります。

追記

BSでまたまた北斎の番組がありました。
北斎の娘のお栄さんについて、近年になって明らかになったことがあり注目されているようです。
前にも同じような特集やドラマ仕立てを見ました。
当時、女性浮世絵師は結構いたらしいですが歴史には残されていません。
北斎の作品に多く関わってきたのが娘のお栄さん。
父親並みの画才があり、いわばゴーストライター。
謎解きのように、画面に秘めた形跡を残しているといわれています。

バッハの妻も作曲の才能があったという説を思い出しました。
無伴奏チェロ組曲は妻の作品!?というBBCのドキュメンタリーを見たことがあります。
秀でた女性の歴史はことごとく抹消されてきたのは古今東西同じなんですね。

おまけ↓北斎展の美術館のあるビルの57階レストランから。大阪一望。

見たもの

2017年08月24日 | アート
毎日暑い!
駅までバスやタクシーを利用しがちで歩く時間が激減、運動不足。
そうだ、美術館へ行こう!
広い美術館を歩きまわろう。

「怖い絵」展へ。
珍しいことに、若者で混雑。
ベビーカーまでチラホラ。
アテがあずれ、歩きまわれません。

目玉作品は「レディ・ジェーン・グレイの処刑」。
イギリス王室も血生臭い歴史に彩られております。
ナショナル・ギャラリーにあるこの作品、てっきりイギリス人画家作かと思ったら、フランス人でした。
余計なことですが、ギャラリーが洪水に襲われ一時行方不明になっていたそうですが、こんな大きな作品がなぜ行方不明になるのか不思議で気になって。。。
同じような大作が1万枚くらいある場面を想像してみたり。。。

それにしても、何と美しいリアリズム。
肌、血管、指先、布の質感の描写力に見入ってしまいました。
近くに、描写力では他を圧倒するはずのダヴィッドの作品がありましたが、
エスキースのせいもあるのか、冴えない印象でした。
帰って、画家ドラローシュを調べてたら、なんとダヴィッドの孫弟子でした。

テーマ別に6つの章に別れ、ヨーロッパのたくさんの絵を見ましたが、
結局、美術館ではスマホの万歩計はあまり進みませんでした。

全体にそんなに怖くありませんでした。
「怖い音楽」のコーナーもあっても面白いかも。

久々にピラネージの作品に出会って、いつ見てもいいなぁと。
バッハ、マタイ受難曲あたり聴きながら見たいと思ったとさ。

駅までにもう一つ、小さな美術館があるのですが、そこはお客1人。
現代美術、鉄の作品です。
猛暑の中でも熱した鉄をああでもないこうでもないとひん曲げる作業に無上の喜びを感じる私より年上の作家さん。
熱い男の情熱に拍手です。
ヘタレの自分に活!

芸術の秋

2016年11月09日 | アート
秋は友人知人の音楽会や個展がいろいろ。

お2人のアラ古希先輩の個展、それぞれのレベルの高さ、踏ん張りに脱帽。
1人でスペースを埋めるだけでも恐れ入ります。
どこからそんなパワーが生まれるのかと圧倒されるアラ還でした。

お1人は織物、ファイバーアートでものすごく根気のいる仕事。

もうお1人は今開催中で新聞記事はコチラ
音楽を絵にするというアイデア。

ちなみにバッハ、チェロ無伴奏組曲を絵にしたのとかないのかしら。
検索したけど(←病気ですな)該当なし。

楽器暦はまだ4年だそうで、BGMのCDをかける前にちょっと吹いてもらいました。
CDを聞く前の方がいいのでと言うと「はっきり言うね。」とムッとされ、
いつも自分が言われている「難しそうですねぇ。」を連発したら嫌がられました。
そばにいらしたお仲間達、いつも演奏会でこれを聞かされて辛くて眠くて、とボヤき大爆笑。
義理堅く聴きに行かれるのに感心しましたが、ちゃんとお礼のご馳走つきだそうです。
身につまされました。

私もこの方々にはご馳走付で聴きにきてもらわないとだめでしょう。

ともあれ演奏は問題ありでも、これだけ絵のイマジネーションが生まれるなら本望ではないでしょうか。

音楽関連では、高校のクラスメートが参加するコーラスグループのコンサートで受付をしました。
地元名門ホールの使用申し込み抽選会で出会ったことがきっかけ。
(彼女達は2回目で当選したけど、我々は12回目!?)

出演者12名ほどで、330人以上もお客を集めるとは、どんだけ顔が広いのかと驚きです。
受付は、お花や贈り物の預かりで大忙し。
開演から終演まで、預かり業務は続き、品物の山脈ができました。

どうやってお持ち帰りするのかしら。
チェロ弾きには到底持ちきれません。

結局、私はほとんどホールに入れずモニターで拝聴するのみでした。
声が大きく、テンション高いオバチャンパワーに疲れました。
大盛況のコンサートのお手伝いで、疲れ甲斐もあるというものです。

篠田桃紅展

2016年10月17日 | アート
テレビのドキュメンタリーで凄みのある超老女っぷりが衝撃でした。
作品展ははじめて。

ご高齢芸術家の作品展の記憶は堀文子さんのものが鮮烈です。
その時、時間をかけて描かれたであろう緻密な作風を見て、
ドローイングや抽象などの体に楽そうな制作に移行されないことに感服でした。

桃紅さんの作品はまさに、その楽そうと勝手に思っていた作風。
但しお若い時から一貫されています。

それにしても100歳であんな揺るぎのない線を引けますか?
一本一本が超絶技巧に見えました。
作品を見ただけで近作か旧作かまったくわからない不変な筆致です。

勝手な思い込みをお許しください。
凡人は中高年から次第に字に線に、勢いなくなることを実感中。
(ボウイングもヨロヨロしてくる気がしています。)

線をひくだけなら単に職人芸ですが、あんな早い時代に独自の抽象芸術に高めらたことは凄すぎます。
建築家との仕事も多く、関係者も歴史に残る面々ばかり。
ほんとうに長く生きられてこられたのだと実感します。
ずっと和服で通されていることといい「ひとり」ということといい延々首尾一貫の極みです。

彼女の芸術は先にアメリカで評価されました。
1950年代ボストンでの初個展に、なんとヴァルター・グロピウスが訪れ、彼女を自宅にまで招いたというエピソードが、とある本の抜粋記事として展示されていました。
グロピウス夫人のことも何やら書いてありますが、会場では落ち着いて読めません。

ちなみに若きグロピウスは、マーラー夫人アルマと熱愛関係に陥り、悩んだマーラーはフロイトに診てもらうという話は有名です。

前述のグロピウス夫人はアルマではありません。

帰って本のタイトル「風土から文学への空間」を図書館で調べたら「ありません」と。
買うしかない?と調べたら激安の古書がヒット。
桃紅さんの甥に当たる建築家が書かれた本でした。

いろんな知らない世界が興味深いです。

展覧会に行ってよかった!

穴場

2015年10月12日 | アート
蔡國強展:帰去来


久しぶりの首都圏。
どこもかしこも人が多いですねぇ。
疲れます。

フリーの日ができて横浜美術館へ行きました。
人すくな~~い!うれしい~!
90年代から美術好きの友人たちが評価していた中国人の芸術家。
そのころあまり売れなかったようですが、実にビッグになられました!

作品もさることながら制作風景の映像が印象的。
大作の数々に目を見張り、心揺さぶられ、熱くなってしまう展覧会。
行ってよかった。

友人たちの目利きぶりにあらためて感服。

ヒマなので美術館内アチコチ探検。
図書室がありました。
だ~れもいません。司書さんおひとり。

広々とした空間で、本を物色。
ちょっとアカデミックすぎるし、画集が年寄りには重量級すぎる。
でも学生時代お世話になった今は亡きセンセの軽めの本を見つけて、
懐かしい思いで斜め読みしてきました。




90歳越えて

2015年06月07日 | アート

先週テレビをつけてみたらスゴイお婆さんが写っていて思わず途中から録画。
書道家、篠田紅桃さんでした。
その前の辰巳芳子さんと川瀬敏郎さんの対談は録画予約していました。

川瀬さんの「一日一花」が欲しくなって、密林に行ったら売り切れ。
テレビの力ですね。
あとで考えたら、今は「捨て活」中で衝動的にポチするのは慎むこと、のはず。

90歳で手間隙かけたスープを作られる辰巳さん、ただただ頭が下がります。
先に102歳の方の録画を見たので、すごくお若く見えましたけど。
篠田紅桃さんは、ちょっと幽霊みたいで怖かった。

昔、とあるモダンな作品を見て(書とは思っていなかったかも)
画面構成とかに衝撃を受けて、スケッチブックに写し取ったことがありました。

それが今頃彼女の作品とわかって超ビックリ。

昨日、堀文子展へ行きました。

1918年生まれ!

お美しい!お若い時より柔和で美しいと個人的感想。

69歳で単身イタリアに住んでみたり、82歳で青いケシを探しにヒマラヤに登ったり。
ここまで好奇心旺盛で勇敢な女性がいるでしょうか。

篠田さんとも共通する名言がいくつかあって、アラ百芸術家の本音に触れた気分です。

70年以上の画業が一覧できるのですが、同時に日本画自体の揺らぎみたいなのも感じました。
欧米では歴史的に活発な美術の動きがあったので、心穏やかではなかったことでしょう。

意外なジャンルにもご活躍されていたとは存じませんでした。

思わず声を上げたくなるほどステキな絵本の挿絵の数々。

ちょうど私が3歳くらいから発行された絵本シリーズです。
くるみ割り人形は音楽も聴けるセットになっています。
こんな水準の高い絵本が、当時の貧しい日本に存在していたとは!

今見ても全然古臭くないのに驚きです。
(なんと復刻版が出ていましたが、さすがに手が出ません)

我が家では、ダッサーい絵のついた桃太郎くらいしか記憶にありません。

さて、この日ミュージアムコンサートがあり、ソプラノ・チェロ・ピアノのトリオでした。
珍しいトリオですが、はやり楽譜はオリジナルでご苦労されたようです。
しいていえばソプラノが主役ですが、歌の力に圧倒されグイグイ引き込まれます。
すごいですね、やっぱり歌える“人間”の生の声の力というのは。

90歳以上最後のとどめは、寂聴さん。
図書館から予約の本が用意できてますと連絡が。

ものすごく前に予約した「死に支度」
びっしり文字がある!!!

シツレイながらご高齢の方の著書は、文字がスカスカしている場合が多いけど、
若い作家の本となんら変わりません。

まだまだ死に支度は先のお話ではないでしょうか。


追記
名前がすっと出てこない昨今。
美術館で絵を見ていて「あ、あの画家!?フロッタージュとかデカルコマニーの。。。」
「このお花の色合いも、え~~っと誰だっかな?デュフィではないし。。。」
2人の名前が思い出せなくて、や~~~っと思い出したのでメモしとこ。
エルンストとルドンでした。


お花の絵を見に

2014年03月28日 | アート

昨日、サクラが開花しました。
開花当日の桜並木の下は、桜餅の香り。
初めて気がつきました。

今週始め、母の体調が珍しく良かったので、行きたがっていた「御所の花」展へ連れて行きました。
アクセスが良くなったので会場のデパートまで楽に行けます。

御所のお庭は、ヨーロッパの王族の作りこんだお庭とは正反対。
自然のままの姿で、様々な可憐な野草がひっそりと根をおろしています。

安野光雅氏はなんと母より4才も年上の88才で、ガンとも共存されているそうです。
130点もの水彩画を1年で描き上げるお元気さからは、年齢も病気も想像できません。

いつかテレビのインタビューで、描いている時は楽しくて夢中、とおっしゃっていた。

思えば私が若い頃、彼の絵本がブームで、よくプレゼントしたものです。
売店で久々に見ましたが、時代を越えて、素晴らしい絵本でした。

あれから、いえもっと前から「楽しくて夢中」が延々と続いて、
面白くて楽しくて美しい膨大な作品群が生み出されてきたのですね。
御所のお庭とともに、彼の業績にも目を見張る思いです。

疲れるので駆け足でしたが、母も満足気でした。

現代美術を見に

2014年03月23日 | アート

パリのポンピドー・センターは行ったことがありません。
その最新アート・コレクションが神戸だけで披露されると聞き、
パリより近いので行ってきました。

展示されている美術館は何度行っても苦手な建造物。
今回はなぜか急にお腹が痛くなってトイレ三昧。
なんか冷え冷えするんですよ~。

やはりソロでチェロを弾いた後だけに、このビデオ作品が一番気になりました。

写真拝借ごめんなさい
ヴェネツィア・ビエンナーレで金獅子賞なんだそうです。

サウンド・オブ・ミュージックみたいな風景です。

チェロでランダム?な音を鳴らし、そのこだまと掛け合いで弾いたりする映像作品。
作家自ら弾いているとあるけれど、ダイナミックでサマになっているボウイング。
音楽家でなく美術作家がなんでこんな立派なボウイング?
ちょっと落ち込みつつ、ヒジョーに気になる。
観点が全然ずれとります。

(帰って調べたらやっぱり専門教育を受けている方でした。)

こういうビデオの方が驚きだったりして。
Coldplay - Paradise (Peponi) African Style (ft. guest artist, Alex Boye) - ThePianoGuys


現代美術もトレンドや流派の世界ですかね。
ベネツィア・ビエンナーレ派とか?
権威ある美術館に収められたら、巨匠と呼ばれるようになる?

20年前にNYで初めて見た作品が巨匠コーナーにありました。
真っ白に塗ってばかりの人。
え~っ?ていう感じ。
名前も記憶に残っているということは、やはり巨匠だった?
一緒に記憶していた亡きマイク・ケリーの作品はありませんでしたが、
オモチャを並べる彼のような手法は別の作家で見受けられました。

帰り道にもギャラリーがあって、堀尾貞治氏の作品展でした。
独特なエネルギーに圧倒されます。
ポンピドー・センターがお買い上げになっても不思議ではないです。
ポンピドー・センターというブランドもいいけど、巷の芸術家にも光を!


陶芸展

2013年10月20日 | アート
あっという間に一週間。
前述のコンサートのあと、陶芸展を見るため梅田のデパートに立ち寄りました。
広々としたギャラリーで、ゆっくり堪能できました。

Click!

実はずっと以前から拝見したことはあったのですが、民芸っぽいテイストがどうも親しめないでいました。
それが、「ことり」さんで美味しいお茶を頂いて以来、一変。
絶品のお茶と、彼の茶器とマッチして最強の相乗効果。
棚に陳列されていた茶器が、何だか私に呼びかけているような気が。。。
阪神大震災後、ガラスや陶器にはどちらかというと無関心だったのに、
どういう心境の変化でしょうか。

お値段が私向きではなかったのでその時は断念。

ところがパールマンのコンサートの後では、気が大きくなってしまいました。
ヨーヨー・マやパールマン、はたまたスカラ座オペラとか行ったと思ったら、
どれだけ買える???

毎日ふれていたいと思って、ご飯茶碗を買いました。
一客、パールマンのチケット代とほぼ同額でした。

毎日うれしい。



ゆっくり観察

2012年11月17日 | アート
オランダからわざわざ近くまで出張して下さったので参りました。

ウィークデーの4時頃行きましたが、待ち時間なし。
混んでいるどころか、むしろ空いていてラッキー!

一部屋を占拠して鎮座なさる小さな絵でした。

列を作って移動しながら鑑賞するよう、グルグルと順路を仕切っていましたが、10人もいなかったような。

仕切りの中、思いっきりしつこく見てきました。
老眼が進んでいるせいか、暗いので見にくかったですけど。

遠巻きしか見られない時のためにミュージアムスコープまで持参。
仕切りの外側から拡大されたディティールもじっくり鑑賞。
一対一で見つめ合っている感いっぱいで、これ異性だったらメロメロになりそう。
神秘的かつリアリティのある美少女でした。

絵の価値観は時代と共に変わるんですね。
この絵がそんな人気になったのはいつかしらん。
フェルメールといえば牛乳のおばちゃんの絵というイメージを若い頃からなぜか持っていたんです。

この絵とか、フェルメールではありませんが「笑う少年」とか、モダンすぎて当時は前衛に見えたでしょうね。

当時人気の絵は凝ったモチーフに意味があって、それを解読すると面白さが全然違うでしょうが、そんなの存じません。

一つ、わかったこと。
足温器がさりげなく描いてある絵が2枚ありました。
1枚には実際に使っている場面が描いてあったので、足温器とわかったのです。
でなければ、箱にしか見えません。
中にミニミニ火鉢が入っています。

売店で「牛乳・・」の絵の写真があって、よく見たらまたしても足温器を発見!!!
それまでそれが何かわからなかったはず。

何か意味ありげ!!!

帰って検索したら「情熱」を表すとか。
ほんとかな?

当時の暮らしや考えとか垣間見て、想像してみるとちょっと興味深い。
電気もガスもなく写真もなく、どんな風だったのかしら。
精密描写も多いので視力を誇る若書きだったことがわかります。

なんか鑑賞より観察になってしまいましたわ。