“歩いても歩いても出口がなく
歩いても歩いても退屈しない
そんな人の匂いのする路地を
あみだくじのように歩いた”
(路地の記憶“あみだくじ”より)
私の書架に「路地の記憶」という一冊がある。
佐藤秀明さんの写真とエッセイ、そして
阿久悠さんの詞という共著である。いろんな
日本各地の路地の風景がカラーで紹介されている。
なかでも尾道が一番多いように思う。
私もやはり尾道の路地の風景が一番好きだ。
どうして路地に惹かれるのだろうか?
やはり自分が約半分の年月を過した昭和への
ノスタルジーだろうか。何より路地には
人びとの暮らしが見える。今の時代のような
分断化された社会ではなく、皆等しく貧しかった。
それ故の人情があった。そこに今の時代にどこか
疲れている自分がいて、そしてどこかあの時代に
回帰したい心がきっと無意識化で叫んでいるのだろう。
それが懐かしさの源泉かもしれない。
(写真)仙台・いろは横丁にて