今年も大晦日を迎えた。
この大晦日、子供の頃は
とても寒い日という印象が残っている。
年々、寒さも年末の切迫感も薄れていく。
温暖化のせいだろうか、それとも
歳を重ねたせいだろうか?
墓園に行く途中にある湊川の市場は
正月の買出しに来た人たちで溢れていた。
何とか日が沈まない内にと墓参に向かう。
「今年は上の子が無事就職できました。
下の子は来年受験です。
合格するように見守ってください。
この夏、母がそちらへ行きました。
久々に二人で正月を迎えてください。」
「来年はよい年になりますように。」
手を合せてからふと遠くを見やる。
鵯越の枯れ木の向こうの空には
深くて濃い群青と残光の橙の
グラデーションが広がっていた。