陽だまりの旅路イスキア

あ、slice of life…日向香を感じる日々の暮らし…

料理と接辞 バランス考

2009年02月22日 | tete a tete

美味い板前料理が食べたくなった。
神戸でなかなか評判がよさそうな
中山手通りの和懐食の店かなやまへ
予約なく訪れる。週末なので
たぶん一杯だろうと思っていたのだが
意に反して今宵はこの店空いていた。

瓶ビールを注文して待つことしばし。
どうやらここは、夜は
一種類のコースのみらしかった。

料理が出る前に、女将さんが
最後に出てくる五種類の
炊き込みご飯(釜飯)について説明した。

「二~三分のお時間ですから…。」

と断わって説明するその口調に
正直やや異質な違和感を覚える。

この日の料理は、さすが評判通り
有名料亭で腕を磨いた店主だけに
自然で丁寧に出汁を取って作った料理で
優しい食味の申し分なく美味いものだった。

先付けは
いいだこ、こごみのおひたし
ほたるいか酢のゼリー寄せいくら添
うすい豆と大豆のかき揚げ
吸い物はれんこん饅頭。
向付の刺身は
よこわとひらめにとり貝。
後は骨切りしたでんすけ穴子に
鳴門金時の甘煮、みょうがの酢漬。
じゃがいもと鳥そぼろの饅頭
豆乳のソースかけネギ添え。

刺身はよこわもひらめも
すこぶるうまい上等ものであった。
饅頭ものは手の込んだ素晴らしい作品。
しめのご飯は
タイとふきのとうの二種類を頼んでいた。
鯛も丁寧に身をほぐし炊かれている。
量も十分過ぎるほどである。

大将は寡黙でひたすら作っていた。
別に愛想をするでもなく
ただひたすら…以外に
形容がないほど料理に専心していた。
きっと典型的な料理職人で
接辞っぽいことは
どちらかと言うと不器用なんだろう。
そう思わせるような感じを受けた。

奥さんかもしれない女将は
呼べば出てくるが、たぶん
レジ周りで腰を掛けているのだろう。
今宵は客が二組だけ。
それに私たちは所謂いちげんさんだし
だからゆっくりしていたのかもしれない。
この女将さんが、料理の給仕の都度
料理の説明をしてくれるのだが
その口調がどうも紋きり型というか
学校の先生口調というか
この業界特有のしなやかで謙譲な
テイストが感じられないのである。
早い話武骨なのだ。
えてして上から目線のような
ニュアンスを感じるのである。
きっと自店が供す料理に
並々ならぬ自信を持っているのだろう。

しかし、この店
出す料理の質と量という価値に比して
値段はとても良心的である。
価値と値段のバランスからいえば
間違いなく、株式で言えば買いである。
もっと高く値付けできるのにとさえ思う。
熱燗は久保田の千寿だといった。
これも850円だ。
それも湯せんの容器で供される。
安いではないか?

冷静になってみても
料理が抜群に良ければ満足か?
と問われれば、難しいところである。
判断が難しい店だ。
私はそう感じたが、来る客によっては
また全然接辞が違うかもしれない。
そうとしたらなおさら…?となってしまう。

人はいいものを気持ちよく
誇りを持たせてくれた上で
買い求めたいし、また味わいたい。
心の満足もやはり大切だ。
むしろ心の満足度の方が
年齢を重ねるに従って
勝ってくるのかもしれないと思う。

そう考えさせられる和懐食の店に
遭遇してしまったのである。
二度三度と通えば
また違ってくるのかもしれない。
こういうお店は…。
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駅の風景 松山市駅

2009年02月21日 | slow culture

伊予鉄道市内電車路線の松山市駅。
“いよてつ”は郊外電車と市内や
道後温泉行きの路面電車とがある。
坊っちゃん列車は路面電車のほう。
蒸気機関車の
ミニチュアみたいに可愛らしい。
いわば
遊園地で走っている子供列車の
大人版のような観光列車である。

ちなみに路面電車は150円。
広島と同じく安い。しかし
郊外電車は、いつも思うのだが
中四国のJRや私鉄の運賃は
阪神間に比してとても高いと思う。
やはり競合路線の有無の違いだろうか。

松山市駅から銀天街という商店街を抜け
大街道方面へ。この辺りが松山の繁華街。

昼時なら
ことりやアサヒで鍋焼きうどんを食べたり
また、夕暮れ時なら
ホテルへチェックインした後は
二番町のネオン街へ。そして
ホテルに戻れば温泉の湯で疲れを癒す。

松山市駅界隈は
文化と温泉と美味しい料理があり
こじんまりとしていて
出張族にはとても心地よい街なのである。
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菜の花 春告色

2009年02月20日 | slow life

だんだんと
陽の長さを感じる頃。
彼方此方の植え込みに
菜の花の明るい黄色が
春の面取りをして咲いている。

菜の花は春告色。
そして
菜の花畑にはどれくらいの春が
出番を待って隠れているのだろう。

菜の花がしあはせさうに黄色して
             細見綾子
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わたしの酒呑録 梅錦

2009年02月15日 | eau de vie

四国の酒と言えば…?
土佐鶴とか…どうしても
高知の酒が浮かんでしまうが
どっこい、瀬戸内側にも
私好みの結構いける酒がある。

この所よく買い求めるのが
愛媛は四国中央市の銘柄、梅錦。
四国の霊峰石鎚山の伏流水から
醸造されるこのお酒…
舌や喉を引っかかりなく
すっと通る味わいがお気に入り。
所謂、清冽でソフトな口当たりかな。
どんな料理にも出しゃばらずに合う。

この酒で、松山の夜
ほうたれの造りなどを食らえば
嗚呼!幸せな感覚が
舌を通じて五臓六腑に染み渡るよ。
少し大げさかな。

それにしても“酒一筋”
いい名だなあ。

■酒一筋 純米原酒
 +0.5  梅錦山川
 1800ml 2743円

原酒ならではの濃厚な香りと
それに負けない押しの強い旨みを持ち
その昔から、梅錦の“黒ラベル”
として親しまれている酒。
(梅錦山川)
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駅の風景 東海道線 灘駅

2009年02月14日 | slow culture

JR東海道線 灘駅。
阪神間では最古の駅舎。
この駅も生まれ変わろうとしている。

灘駅は昭和9年に建築され
大きく開放的なアーチ窓と
1800年代の英国製のレールを用いた
ホーム上屋の骨組み、そして
ホームと駅の南北を繋ぐ
あの懐かしい木造の跨線橋など
大正レトロの雰囲気を至る所に残す
風情のある駅舎で、現役の駅舎としては
香川県の琴平駅、東京都の国立駅
などと並んで鉄道ファンからも
今も深く愛されている駅だとある。

新駅舎は
今年の秋から冬にかけて完成予定で
レトロな駅舎は、地元の要望はあれど
保存されることなく取り壊される。

私も小さい頃からなじんだ駅だ。
亡き母がいつも呼んでた“省線”
という言葉がとても似合う駅だ。

電車を降りて階段を上り
北へ行けば王子動物園へ。
南へ渡れば岩屋へ…。
木造のあの跨線橋を歩く
その皆の靴音がなんとも好きだった。

せっかく震災を生き残った駅なのに
また神戸の街から昔が消えてしまう。
懐かしい神戸は、どんどん
記憶の彼方へ旅立っていくのか。

“ふるさとは遠きにありて思ふもの
 そして悲しくうたふもの”
 室生犀星[小景異情ーその二]より

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水仙 春一番

2009年02月13日 | slow life

春一番が吹いたらしい。
雨となったが暖かい日。
JR神戸線では夕方の通勤ラッシュ時
新快速電車には冷房が入ってたと言う。
二月で電車内冷房とは。
これも地球温暖化の影響だろうか?

真白い水仙の花…。
これも春一番を感じさせてくれる。
なんかこの水仙さん、饒舌に
何やらおしゃべりしているよう。
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黄砂の休日

2009年02月11日 | slow life

建国記念の日、休日。
広島にもう黄砂がやって来た。

広島地方気象台では
午後四時に中区で観測。午後七時
水平方向の見通しを示す「規程」が
好天時の三分の一の8㌔まで落ちた
と発表されていた。例年より
1ヶ月早い季節便りらしい。

今日は一日おさんどん。
掃除、洗濯に、久しぶりに
カレーでも作ろうと買い物へ。
美味しい肉屋さんと評判の
井筒精肉店へエコバック下げて行く。
“本日は休業させていただきます。”
シャッターに張り紙が…。
ショック。せっかくの心意気で
繰り出したのに…(ーー;)
仕方なくスーパーでカレー肉と
ジャガイモ、しんじん、たまねぎ
そして葉が隠し味のセロリを買う。
ルーはジャワカレーの辛口。

まず米を洗い、ご飯を炊く。
お米は広島は安芸高田市向原町にある
こだわり農法時川プロファームのお米。
自然と向き合いながら愛情で育てた
体にやさしい食味のお米で、最近
気に入ってずっと注文している。

カレーの仕込みの完了を見届けて
今宵は銭湯へ行こうと思った。
“土橋温泉”は昔ながらの
番台があるお風呂屋さん。
四百円を番台に置いて入る。
番台の人はおばあちゃんと
おばちゃんの中間くらいだった。
難しいところ…。

「サウナ入りますか?」
と尋ねられる。
「入りません。」
と答える私。サウナは
追加料金がいるみたいだった。

先客は三人ほど。タイルに描かれた
小さな冨士山を眺めながら
気泡風呂で体を温っためる。
これで同棲でもしていれば
神田川の世界だなあ…なんて思いつつ。

さて、手作りカレー。
じゃがいもが溶けてしまったのは
残念だが。うむ、なかなかいい味。

明日は西日本一帯に黄砂だそうな。
これでは洗濯ものは干せないな。
ランプストーブで乾かすとしよう。

ごちそうさまでした。

※写真は黄砂とは関係ありません。
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一輪の陽気に誘われて

2009年02月08日 | slow life

天気がよい日。
大阪城公園の梅林を歩く。

ちらほらと咲き始めの梅花。
一輪一輪がどこか愛らしい。
この梅林で一番好きな梅の木がある。
“朱鷺の舞”である。
しかしこの“朱鷺の舞”
まだ早いのかほとんど開花しておらず。
それでもこの木蕾がことのほか美しい。
まるで蛍光ペンを蕾に塗ったよう。
あざやかなピンクは見惚れてしまう。

道知辺(みちしるべ)が
可憐な花を咲かせていた。
梅は桜と違って一気に来ない。
ちらちらと、そっと咲くかのよう。

この陽気に誘われて出てきたが
夕暮れが近づくと冷えてきた。
まだまだ
一輪ごとのあたたかさである。

梅の花も、日長も。
いと、あわれ…。

梅一輪 肩寄せあって 余寒かな
               拙私有

お粗末です。
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食いしん忘備録 アカシア蜂蜜

2009年02月07日 | slow gourmet

美味しい食品に出逢えると嬉しい。
このルーマニア産アカシア蜂蜜
我が家のお気に入りの逸品。

「料理とかに使うはちみつで
いいのありますか?」

と尋ねたらこれを薦めてくれた。

料理のコクが違うと言う。
きんぴらごぼうとか肉じゃが
などのシンプル料理には
抜群の味を醸し出してくれる。
まさに和魂洋才の融合である。
(ちょっと大げさ…?)

会社の匠みの技術と品質管理の姿勢
そして何より哲学がしっかりしていれば
いいものは国内外を問わずいい。

これはアフィリエイトではありません。
でも、今回はちょっぴり贔屓があります。
それでもいいものはいいです。

■熟成アカシア蜂蜜 1㌔瓶入り3465円
 山田養蜂場

※穏やかな味と香りが人気のアカシア蜂蜜。
養蜂先進国として世界でも有数の
養蜂技術をもつといわれるルーマニアで
ドイツ純正法に準拠してつくられた逸品です。
(山田養蜂場)
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立春 春待つ未来

2009年02月04日 | cocoro

“未来!
それは 砂にねて
無心に仰ぐ青い空であろうか
人いきれで絶え入りそうな
満員電車の行手に待つ
夕暮れの停車場であろうか
それとも 未来というのは
給料の尽きたひとの待つ
次の給料日のようなものであろうか
そのまた次の給料日でもあろうか
雨ふりにも霧の夜にもはいてでかける
たった一足きりの靴の
寿命のようなものであろうか”

■「微風のなかで」より抜粋 黒田三郎

春が立つ日。
私の未来!は
どれだろうか
青い空だろうか?
それとも一足きりの靴か?
未来を考えること
すなわち…
春を待つ気分なのです。
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