陽だまりの旅路イスキア

あ、slice of life…日向香を感じる日々の暮らし…

夏の弔ひ

2010年08月30日 | cocoro

“逝いた私の時たちが私の心を金にした
傷つかぬやう傷は早くなおるやうにと
昨日と明日との間には
ふかい紺青の溝がひかれて過ぎてゐる”

 ■立原道造 夏の弔ひより

今年の夏は暑かった。
逝く夏の弔ひ…。

多くの同志が去ることとなった。
私も広島を去ることになった。
別れの数だけ出会いがあるという。
それでも歳とともに
別れ>出会いのような気がしてならない。
そのように思えるのも、やはり今年の
この暑さがそう思わせているのだろうか。

残暑は厳しくとも
それでも雲は高くなり
光りの色が変わってきた。
秋の気配が漂うこの頃。

職を辞す友と親しむ秋灯下 拙私有
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はじめての句会 天の川

2010年08月22日 | slow culture

天の川は
初秋のこの時期が一番見やすいと言う。
夜空に南北に流れる星屑の川。
古今東西、人々はいろんな想いを抱きながら
この蒼茫にかかる天の川を眺めてきた。
都会ではなかなか見えないが、南の島で
白馬の谷で、またモンゴルの草原で
見た人もいた。悠久の時の流れに
しばし我を忘れて眺めたことだろう。
季語は天の川、銀河、銀漢である。

今回も5句投句しました。そのうちの
鄙の里の天の川を読んだ句が互選で初めて
最高得票、8人のお方に取っていただけた。
その度に名乗るのが、嬉しいような
気恥ずかしいような気持ちでした。

・もてなしは天の川とや鄙の里(互選・先生入選)
・縄文も飛鳥も越えて天の川(互選、先生特選)
・湯けむりに見え隠れして天の川(互選、先生入選)
・吾もまた銀河に生きる星ひとつ(互選)

羽田ターミナル第2ビル天上の銀河絵(写真)
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お好み焼き 日和

2010年08月21日 | slow gourmet

広島は土橋にあるお好み焼きの店。
私の御用達のお好み焼き屋さんだ。

日和のおばちゃん、元は関西の人だ。
広島に嫁いで四十数年。
今やもう立派な広島人なのだが
私の関西弁に釣られると、関西弁の
イントネーションが出てくる。

ここのお好み焼き“肉玉そば入り”を
時々食べるのが習慣になった。
焼そばもいい。ここのはオムそばだ。
そしてそばめしも。神戸っ子には
そばめしは懐かしい一品なのである。
日和のおばちゃんのお好み焼きは
油を一切使わないで焼く。
だからカロリー的にはヘルシーだ。
油のこってりさはないが、それでも
十分美味しい。店で食べる日には
自ら漬けたらっきょうやしょうがを
サービスでよそってくれる。前回は
菱正宗のにごり酒をふるまってくれた。
下町のお好み焼屋さんの風情がいい。
おばちゃんの広島での来し方を聞きながら
食べるお好み焼きは忘れられない味。
お皿を持っていってよくお持ち帰りもした。

本当にお世話になりました。
わたくし転勤で来月で広島を引き払います。
冬になると、おばちゃんが取り次いでくれた
大野の牡蠣はとても大粒で美味しかった。
冬になればまた関西から注文しますから
また送ってください。よろしく頼みます。

お元気で。ありがとね。おばちゃん。。

■お好み焼き 日和
広島市中区土橋町5-21
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はじめての句会 流星

2010年08月10日 | slow culture

猛暑が続く。夏の盛りだ。
しかし暦の上ではもう立秋である。
俳句の世界も季題は秋に移っている。

今回の兼題は“流星”だった。
流れ星、星飛ぶ、星流る…。
流れ星と言えば、願いとなる。
それでは通俗的すぎてつまらない。
流れ星…季題の心は、哀れさや儚さ。
それをどう表現するか。

俳句の肝。先生によれば
それは芭蕉の弟子の去来の言葉
「謂応せて何か有」にあるとか。
「いひおほせてなにかある。」と読む。
これは全てを語ってしまうのではなく
詠んだ後で余情余韻をじわっと感じる。
それを読んだ人に任せるように詠みなさい
ということなのだそうだ。

情景を説明しただけでは、それで…?となるし
叙情に過ぎれば独りよがりになる。
難しいなあ…俳句って。と思うこの頃。
言わずして語るとは
シンプルだが深いに通じているのだ。

今回も5句投句して、そのうち
4句を互選で取っていただけた。
冒頭の1句はなんと初めて5票も。
この句は先生の特選もいただきました。
人生を曲がること知らず、一直線に駆けて
そして逝った人を偲んで流星に喩えた句。
この句は一読して、私の句だと判ったと
先生は言われました。…知らずと言う表現が
若い人の表現とか。へえという感じです。

・曲がること知らず流星駆け抜けり
        (互選、先生特選)
・星の町流星群来(くき)となり来たる
        (互選、先生入選)
・灯り消しそっと待つ夜や流れ星(互選)
・星の飛ぶ夜のしじまに君と食(は)む(互選)
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はじめての水彩画 民族衣装のモデル

2010年08月08日 | slow culture

今回は初めてのモデル描写。

台の上に椅子を置いて
民族衣装を纏ったモデルの女性を描く。
モデルの周りをぐるっと取り囲むように
皆思い思いの位置取りでイーゼルを構える。
私は横顔を描きたかったので一番端に
イーゼルを構えて準備しました。

モデルはハワイアンの衣裳である。
色が華やかで花やレイがとても美しい。
これを18色の絵の具を混ぜて描く。
20分じっとしたら、少し休憩をして
また20分。それを数回繰り返す。
その20分のインターバルで
描き終えないといけないので必死だ。

もう少しモデルさんの横顔を
もっと美人に、上手に描きたったのだが
それでも、今まで描いた作品の中では
私的には気に入った作品になったと思う。

「衣裳の花模様がとても上手に描けてますね。」
「影をうまく使ってるから
バックが白地でも全然違和感ないです。」
「とても上手に描けています。いいですねぇ。」

先生にも褒めていただけました。
人は褒められて上達する。納得です。
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65年目の八月六日

2010年08月06日 | slow life

“「ああ やれんのう、こがあな辛い目に
なんで遭わにゃあ いけんのかいのう。」

65年前のこの日、ようやくにして
生き永らえた被爆者、そして非業の
最期を迎えられた多くの御霊と共に
改めて「こがあな いびせえこたあ
ほかの誰にも あっちゃあいけん。」
(こんな恐ろしいことは
ほかの誰にもあってはならない)
と決意を新たにする8月6日を迎えました…”

今年の被爆65年記念式典での広島市
秋葉市長の平和宣言の言葉である。
冒頭はご覧の如く広島弁であった。
今日も晴れ渡り暑かった。今年は
国連事務総長も米国大使も参列の輪に
加わった。65年目にして初めてだった。

私の広島生活も今月で最後となる。
毎年この日を迎えることが出来たのは
私にとってはかけがえのない事だった。
平和の尊さを、失った者の人の悲しみを
そして、戦争の非業さというものを
この肌身にしっかりと刻んだ。
平和の尊さを忘れてはいけない。
核兵器の恐ろしさを忘れてはならない。
そして、それはそれだけでなく、永遠に
語り継いでいかなくてはならないのだ。

今回、原爆死没者名簿は
97冊、26万9446人となったと言う。
しかし、その死没者の周りには、いったい
いかほどの未だ悲しみの癒えない
人たちがいるというのだろう。
そのことも決して忘れてはいけないのだ。

 黙祷に陽も静まりて原爆忌  拙私有
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