陽だまりの旅路イスキア

あ、slice of life…日向香を感じる日々の暮らし…

秋の鑑賞Ⅱ ほろっと因幡晃

2008年09月30日 | slow culture

因幡晃アコースティックコンサート。
処は広島県民文化センター。
昨年、観に行けなかったので
今年はチケットを早々と押さえた。

ちょうど私と年代を共有する
シンガーソングライターである。
あの大ヒット曲“わかって下さい”
そして“別涙”も1976年のヒット曲だ。
学生時代、合宿で行った信州は
蓼科の貸し別荘で、これらの曲を
カセットでどれだけ聞いたことだろう。

席は前から三列目だった。
紙屋町のヤマハで買ったチケット。
三列目の通路側から三つ目の席が
一つだけ空いていた。それはきっと
二人連れの狭間のスペースが
緩衝地帯で一席だけぽつんと
空いていたんだろうなと思っていた。

仕事は早々に引き上げて会場へ。
この夜の聴衆のほとんどは
私と同年代前後の女性たちであった。
所謂、おばさんである。
きっと私と同じように、彼の歌を
青春時代に共有した人たちだ。

両隣はカップルだと思い込んでいたが
予想に反して
そのどちらの席も女性ひとりだった。
そしてその隣もまた
ひとりで聴きに来た中年女性であった。
今宵集まった大半の女性たちは
それなりの人生を過ごしてきた方たちだ。
ひとり静かにあの頃の自分を重ねながら
聴き入っている人が多かったように思う。
ときどき客席から舞台に声を掛ける
和気あいあいの女性たちも居たが
全体的に穏やかな女性たちであった。
男性は30人にひとりの割合だろうか。
ひとりで観に来た男といえば
私を含めてわずか数人のようだ。

この日は、伴奏のピアノと
因幡晃が奏でるギターだけという
アコースティックコンサートである。

懐かしい曲。
美しくも哀愁をそそる旋律。そして
叙情的で詩情豊かな言葉の数々…。
心の機微を唄い季節を奏でる因幡晃の声。

歌もそうだが、何より彼の
合間のトークが人気のようである。
ございますで結ぶ言葉の丁寧さと
わさびがぴりっと利いたジョーク。
中年期以降の女性たちが
何を求め、何を満たしたくて
ここに聴きに来ているかを
心憎いまで彼は知っているのである。

話す言葉もシンプルかつスローだ。
最近の若者の早口で滑舌の悪い言葉が
聞き取り難くてしようがないと感じる
年代者たちにとっては
因幡晃の歌の世界とその場は
心を惜しみなく開放できる
安心の空間なのである。

個人的には
“わかって下さい”や“別涙”はもちろん
時々カラオケで唄う
“夕映えを待ちながら”もお気に入りだが
“篠懸けの続く道”に
“人生終わりのない旅”が心に深く響いた。

帰りに会場でCD販売もやっていた。
買って帰ろうと思ったが
バーゲンのワゴンセールよろしく
おばさまたちが群がっていたので
恐れ多くも近づけず。
CDを買った方は因幡晃と握手ができる。
ということで
向かいの机で本人が待機していた。
この辺もアットホームであるが
CD販売コーナーの混雑振りと比べて
こちらは本人も手持ち無沙汰のようであった。
ここらあたりが同じおばさまファンでも
ヨン様ファンとは違うところだなあと
なんだか可笑しくもあったが得心。

今夜の因幡晃は、スタッフたちと
どうやら流川あたりで飲むらしい。
そっちの方も行きたいなあ
と思ってしまった私。

全国コンサートが始まるらしい。
これから秋の夜長。
因幡晃の世界にほろっとくるのも
なかなか一興であろうぞなもし…。
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秋の鑑賞Ⅰ オペラ座の怪人

2008年09月28日 | slow culture

“劇団四季の
オペラ座の怪人
は凄いらしい。”

のキャッチコピーに魅かれて
大阪・西梅田の四季劇場へ。
やっと観ることができた。

ミュージカル“オペラ座の怪人”
意表をつく始まり…そして
舞台装置といい、衣裳の数々といい
すべてが豪華絢爛。まるで
パリの本物のオペラ座に居るよう。
ロイド=ウェバーの美しい旋律に酔い
退屈しないストーリー展開と
実力派のキャスト陣に堪能した。
久しぶりに感じる
これぞ正にエンターテイメントの極致!

「いやあ、あんさん。
ほんま高いお金払ろて
なんぼのもんかいなと思うたけど
十分おつりあったなあ、ほんま。
よかったわぁ。」

大阪のおばちゃん風に
感想を言うとこうなります。

こういうハレの日の芸術鑑賞も
たまにはいいものです。
正装で出かけた甲斐がありました。

■オペラ座の怪人 この日の出演者

オペラ座の怪人  村 俊英
クリスティーヌ   苫田 亜沙子
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駅の風景Ⅱ 安芸矢口駅

2008年09月23日 | slow culture

JR芸備線。
広島駅から三次を経て
岡山県新見市の備中神代駅に至る。
芸備線は好きである。

“げいびせん”

その言葉の響き…。
語感が郷愁をそそるよ。

安芸矢口駅は、周りの
景色が抜けていて気持ちいい眺め。

ここから広島駅まで乗った。
しばらくして首にちくっとした痛みが。
振り返ると窓に虫がへばりついていた。
どうやらこいつに刺されたらしい。
別に腫れるでもなかったが…。

こういうことも
ローカル線ならでは…かな。
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駅の風景Ⅰ 阪急六甲駅

2008年09月20日 | slow culture

阪急電車神戸線・阪急六甲駅。
時は1970年代…六甲駅は
移動面もライフワーク面でも
僕の青春時代のハブであった。

十代後半から二十代初めにかけて
この阪急六甲駅から
高校や予備校に通い
そして大学にも通った。
通学帰りには駅ビルの南天荘書店や
レコードショップを覗くのが好きだった。

初めてジンフィズを飲んだのは
六甲登山口下の坂道にあった
ノースポールというお店。
阪急六甲駅を基点に
ダンヒル、フィオーレに“ん”
南に下がっては
ハプリにブルーマウンテン…etcと
界隈の喫茶店を片っ端から制覇した。

中でも入り浸ったのは超風変わりで
特異な喫茶店“カウボーイ”。
常連たちは皆自分のお気に入りの
珈琲カップを持ってきて置いていた。
黄色いホーローカップが僕のだった。
珈琲については
当時ほとんどの常連はブラック党。
いれたてに出くわせば幸運だったが
時間が経ったコーヒーは温め直し。
正直あまりうまい代物ではなかった。

講義がなく京都に行かない日
僕は昼ごろ起きて、それから
午後四時頃、ひとりでふらっと
カウボーイに行き
持ってきた本を数時間読みふけった。
そうしてもまったく気にならない店だった。

或る日、マスターのシンドウさんは
壁に徘徊するゴキブリを見つけると
手に持っていたトングで
すばやく掴んでガスコンロで炙った。
そしてそのトングで何食わぬ顔で
というか、何のためらいもなく
自分が食べる分のトーストを
そのコンロの直火で焼いたのであった。
そんなことが当たり前の店だった。
さすがにその或る日以来、僕は
それを注文することはしなかった。
ただ、年季の入った真っ黒な鍋で焼く
西部風お好み焼フラップジャックは
コンビーフとグリーンピースの
相性がなんとも抜群で腹持ちもよく
そして美味いので止められなかった。

人民服か学生服かわからないが
継ぎはぎだらけの万年制服を着た
変わり者で愛すべきシンドウ氏。
その氏がギターを片手、そして次に
アコーディオンを両手で演奏しながら
興に任せて唄うウェスタンが名物だった。

峠の我が家は好きな一曲…。

ちょっと音程のはずれる
うらぶれたヨーデルと楽器の音色は
今でも鮮明に
僕の脳裏に再現することができる。

夏。水泳好きのマスターは
日中、よく芦屋プールや
王子プールへ泳ぎに行っていた。
歳の割りには
結構逞しい体つきだったように思う。
マスターは店で寝泊りしていた。
痔が悪かったマスターは
時々便器を真っ赤に染めては
「調子が悪い。」と苦々しく愚痴った。
それも何か愛らしかった。

時々やってくるバー Crisの
ママのことを「美人だ。美人だ。」
と言ってほめそやしていた。
そして蛇足だが、僕のことも
男前だとよく言ってくれてたから
マスターの審美眼も定かではない。
Crisのママは見たことがなかった。
今でも看板はかかっているから
一度覗いて確めてみたいと思う。
けだし、当時妙齢?の美人ママも
今は幾つになっているのだろうか。

あれから…
三十数年の歳月が流れた。

シンドウ氏の消息はわからないが
今はもう、心の中でしか
あのヨーデルもギターも
アコーディオンの音色も聴けない。
店があった建物は
取り壊されてすでにない。

僕の大好きな阪急六甲駅。
そのプラットフォームだけが
こうして今写真を撮っても
あの当時と、見た目は
変わってはいないんだな。

一番変わったのは
きっと僕自身かもしれない…。
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街で見つけた!毛糸屋さん

2008年09月18日 | slow culture

街で見つけた面白看板シリーズ
今回は毛糸屋さんのネオンサイン。

街の毛糸屋さんのネオンは珍しい。
そんなに規模の大きい店は少ないから。

電車の中や公園で
毛糸を編む人を見かけなくなった。
電車では危険だからだろうか?

手編みのセーターが三着。
もうここ何年も着たことないけど
タンスに眠っている。

毛糸を編む女(ひと)…。
時代が進んでも
未来に残したい風景のひとつです。
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生活日記 食と減量作戦

2008年09月14日 | tete a tete

秋口になってから
やっと体重が減ってきた。

二十歳頃は70キロ。
長らく76キロ台を維持してきたが
中年も佳境に入ってから
78~9キロ台から落ちなくなった。
それでもわたくし的前人未到の
80キロ台突入は何とか防いできた。
そして最近やっと
76キロ台にすとんと落ちたのである。

身長が178㌢はあるので
肥満というほどではないが
この春のメタボ検診では
メタボラインぎりぎりであった。

昨春から単身赴任して
食事量の割りに体重が増えた。
「なんでだろう?」と思っていたが
ある本を読んで目からうろこ。

その本いわく
“これまでのダイエット指導で
「カロリーの摂りすぎ」が原因で
太った人はわずかに一握り。
残りは栄養不足や加工食品の
過剰摂取による代謝の悪化
体の冷えが原因であった。
必要な栄養素をしっかり摂り
体を温めて胃腸を活性化すれば
糖や脂肪を
ガンガン燃やせる体になって
代謝効率が上がってやせる”
(引用)伊藤友美著扶桑社新書
夜中にラーメンを食べても太らない技術
男のための「食べやせ」革命より

つまり
毎夜スーパー等で買って帰る
出来合いの揚げもんや惣菜等に
含まれる添加物や油脂等で
体内ホルモンバランスが崩れ
体の代謝系が悪化したと結論づけた。

それからというもの
できるだけ旬の素材を買って
それを焼く、煮る、炒めるという
シンプルな調理で食べることを心がける。
肉も良質のたんぱく質として
積極的に摂ることにした。
たんぱく質を取らないと
筋肉のすき間に
脂肪が入り込むのだとも書いてあった。
肉は近所で評判の肉屋さんで買った。
鮮度のいい生肉は冷凍もきく。
昼も外食をできるだけ避け
けなげに男やもめが弁当も作った。

そしてやはり運動!
週2回はスポーツクラブで
中年男女やOLさんに混じって
簡単エアロとハートビクスに参加。
これで必然的に週2回は休肝日となる。

これらが功を奏してきたのか
やっと体重が減り始めたのだ。
次は70キロを目指して引き続き精進も
そうなると今の服が合わなくなる。
それはやや心配の種。

赤裸々なわたしの独り言でした。
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ファーニチャーの海

2008年09月13日 | slow life

神戸・ポートアイランドのIKEA。
駐車場に入るまでしばし並ぶ。

こりゃ、すごいなあ!
ものすごい集客力。
他府県ナンバーが多い。

ええっ、またまたすごいなあ!
巨大な倉庫。さながら
ファーニチャーの海を回遊するよう。
小さい子は、しっかりと
手をつながないと迷子になるよ。

そして圧巻はその価格!
これでは、街の家具屋さんは
とても太刀打ちできないだろうね。
まさしくカテゴリー・キラーだ。

しかし
この家具の群れと人ごみに
見て回るだけで疲れてしまった。

大きい梱包を車に積んで持って帰り
家で組み立てるのも、工作が
苦手な私にはちょっと辛い…。

“どうして…Why”

安いには理由があります。
と看板に書いてあった…。

デザインといい、システムといい
これは北欧の合理なのでしょう。
見ているだけでも楽しかったし
いろいろ参考になりました。
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断魚渓の廃屋

2008年09月11日 | cocoro

帝釈峡の断魚渓に
木造の食堂があった。
今は廃屋となっていた。
かつて紅葉の季節には
訪れた多くの観光客たちが
飯を食らい酒を飲んだんだろう。

賑わいも今は昔。

引き戸の硝子の破れた所から
中を恐る恐る覗くと
食器やビール瓶とかが
そのままに置かれてあった。
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新カテゴリ始めます

2008年09月07日 | tete a tete

“tete-a-tete”

今月より
新しいカテゴリー始めます。

テーマはもっと自由に
素顔のままに…。
ありていに言えば日記のように
最近思っていることや
朝起きてから何したような
日常を綴ってみようと…。

差し向かいでのおしゃべり
ちょっと内輪な話という意味です。
少し今までの
ブログコンセプトとは違うので
あえて仏語にしました。

不束ですが、これもよろしく!
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下町のエスプリ B.O.F

2008年09月06日 | slow gourmet

お気に入りの遊食地
天神橋筋界隈にある
フレンチ・ビストロはB.O.F。

このお店
何故かほっと落ち着くのだ。
席数も少ない。
こじんまりしすぎの店だが
窮屈な閉塞感は感じない。
全体にどことなくゆったりしている。

何がそう感じさせるのか…?
はてと気づく。

店のレイアウトや調度と
オーナーの雰囲気が
妙にうまく溶け合っている。

茫洋としたオーナーが
たったひとりで切り盛りしている。
そこなのだ。そこがいい。
オーナーシェフの癒し系の容貌
一見ぶっつきらぼうそうだが
装飾がなくて間合いのいい
ふわっとした口調…。
店全体に
スローが醸し出す寛ぎの中で
何のてらいもなく食事ができる。
その雰囲気がこの店のよさだ。
言うなれば、ちょと失礼だが
シェフ付きのセカンドハウスに
来たような気分である。

マキコレワインなんてのも売りらしい。
「何や、それ?」と思ったが

“マキコレワインとは
金井麻紀子氏が、自分が一生
飲み続けたいと思える優良ワインを
日本の市場に紹介したもので
マキコレワインの最大のテーマは
日本人の舌で選んだ、日本の
食文化にマッチするワイン”とな。
(かない屋HPより抜粋)

今宵のアラカルト…。

前菜は
・田舎風パテ
一番人気です。
・穴子と夏野菜のショー・フロワ
・ニース風サラダ
・さんまの燻製の酢漬けと
 ジャガイモのサラダ
メインは
・牛ほほ肉の赤ワイン煮込み

ビールで喉を潤した後
赤を一本。前は次に
白を一本飲んだが
今宵は控えめに…ね。

前菜は800円、メインは1500円。
ハウスワインは2000円!
これはお得。
あと濃い目のコーヒーを。
デザートは500円。
料金体系といい
すべてシンプルな明朗会計です。
ここは。

あまり人に教えたくない店だが
いつも空いているので
こういう店ずっと続いて欲しい…
との気持ちをこめてエントリー。

あっ!
デジュネもやってます。

9月19日の週末は
Musette Jazz Bandライブがあるとか。
下町の天神橋筋で
フランス庶民料理を食べながら
パリに居る気分に浸れるなんて

「いいなあ。」

■ビストロB.O.F
大阪市北区天神橋3-9-1
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