陽だまりの旅路イスキア

あ、slice of life…日向香を感じる日々の暮らし…

十八年目のマイライフ・アンソロジー

2023年05月25日 | cocoro

2005年5月の玉川上水の景から始まったmy blog“陽だまりの旅路イスキア”もまる十八年を迎えました。

ここまでの掲載本数は3722本。正に塵も積もれば山となるの感がいたします。その塵のひとつひとつがそのまま我が十八年間の軌跡。と言ってもこの地球上の人口80億分の1という、これも塵のようなものです。

この一年も色んな出逢いがあり別離もありました。チャンスもありロスもありました。風のように気儘に生きたいと思っているのですが、そうもいくまい。いやそれでも風になる。そんな葛藤も生きている証拠。ただ社会に生きるものとして、引き受けたことやその時々に出会う様々な世事に対しては、自分なりに出来ることを、真面目に真摯に取り組むことだけは心がけて参りました。今年はやっとコロナという暗いトンネルの出口が見えてきました。旅もどんどん再開したいなと思っています。

今年も変わらずに「今、ここ、我」のコンセプトで、確かに生きているその証としてこのブログを綴って参ります。この世界のどこかでリアルに呼吸しているあなたと共に。

心より感謝を込めて…店主敬白

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天王寺七坂の初夏

2023年05月23日 | slow life

“しかし年少の頃の私は口繩坂といふ名称のもつ趣きには注意が向かず、むしろその坂を登り詰めた高台が夕陽丘とよばれ、その界隈の町が夕陽丘であることの方に、淡い青春の想ひが傾いた。”(織田作之助 木の都より)

天王寺七坂は大阪の中でも歴史の佇む界隈である。久しぶりに吟行をする。真言坂を上って生國魂神社へ入る。新緑の杜に佇む西鶴と織田作の像に久しぶりに出会う。

神社を抜けて源聖寺坂から口縄坂へ。七坂はどの坂もそれぞれ表情があるが、中でもこの二つの坂が一番風情があるのではないかと思う。特に口縄坂は石畳から石段へ、高い木々の木洩日を踏みながら白壁沿を上っていくと、ふと作之助の居た昭和初期の時代にワープするようである。

“私は知つてゐるが向うは知らぬ美しい少女がゐたので、私はうろたへた。水原は指導選手と称する私が指導を受ける少女たちよりも下手な投球ぶりをするのを見て、何と思つたか、私は知らぬ。それきり私は籠球部をよし、再びその校門をくぐることもなかつた。そのことを想ひだしながら、私は坂を登つた。”

夕陽丘女学校跡地の碑の裏手には棕櫚の生い茂った木下闇が広がっている。ふとそこにあの作之助が淡い恋心を抱いた女学生の影を追う…。

磴を登り切ったら冒頭に紹介した作之助の短編小説「木の都」の一節を紹介した碑がある。その碑(いしぶみ)を読み終えて、ふと口縄坂の坂下を振り返る。猫たちが退屈そうに屯していた。あの船員上がりの主人の名曲堂があったのはこの坂上のどの辺りだろうか?名曲堂のあの大人しい坊やは毎日この坂を駆け上がってきたのだろうか?なんて思い浮かべながら坂を見ていたら、ふと作之助が過っていったような気がした。

坂薄暑織田作の世に迷ひ込む

 

 

 

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はつ夏のハーブ園

2023年05月14日 | slow life

初夏の神戸・布引ハーブ園を吟行しました。

ハーブ園の五月と言えば絶好の季節ですが、この日はあいにくの天気予報とあって人出は少なく、ゆったりと吟行することができました。

雨も少しパラパラした程度で、例年に比べて若葉冷という気温。例年なら日差もきつく汗ばむほどなのですが、清々しいほどの気候でした。当日開催していたハーブガイドツアーにも参加して色んなハーブの香りを楽しめました。

こんな近場に山があって行楽を楽しめる神戸は本当にいい街だと改めて実感しました。

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季語の花たち 春~初夏篇 杜若

2023年05月12日 | nonoka

杜若(かきつばた)は燕子花とも書きます。花の姿がどこか飛ぶ燕を連想させるからとか。渓蓀(あやめ)と違って水辺が好きなようです。

杜若といえば、あの尾形光琳の屏風絵「燕子花図」が有名ですね。そのモチーフになった「伊勢物語」、在原業平の歌にある八橋の杜若も有名です。

神苑の水辺なんかに咲いていると、どことなく気品を感じさせる花です。

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生成AIとシンギュラリティ

2023年05月11日 | tete a tete

ドローンが様々な場面で社会を変えている。ウクライナでは戦争にまで使われている。ドローンが世の中のインフラを変えたが、今話題は生成AI。これも世の中に変革をもたらすのは間違いない。いやもう来ているのだ。

今日の新聞で興味を引く記事が目に留まった。見出しは「ハリウッド、15年ぶりに大規模スト」

一万人以上の脚本家が待遇改善と共に、AI(人工知能)が原作づくりに関与しないように製作会社に要求とあった。AIは既存の作品を学習した上で新たな作品を作るため「与えられた物の再利用だ」として、著作権侵害や盗作への懸念を表明、作品の原作づくりにはAIを関わらせないよう求めたとある。

これは脚本家に限ったことでなく、音楽や写真、芸能の分野でも同様だという。音楽界では大手レコード会社がAIの学習に楽曲を無断で使用しないように求めたとか、写真分野では、ある会社の写真を許可なくAIに学習させて、改変した画像を生成したとしてAI企業を提訴したとか。

確かにAIによって創作家たちの著作権や仕事が侵食されることはあり得ると思う。ゴールドマン・サックスは生成AIにより世界で3億人の雇用に影響が及ぶと予測している。

俳句界でも、AIが過去の膨大な俳句作品を学習して、その集積を基に俳句の指導というか添削をするというサービスがやがて登場してくるだろう。リアルな句会などでの場ではまだ現実的ではないが、ネットの世界ではそうしたサービスが早晩登場してくるかもしれない。シンギュラリティの問題は、もうすぐそこに来ているのだと実感させられた今日の記事であった。

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食いしん忘備録 くまモンの人形焼

2023年05月10日 | slow gourmet

人形焼きは昔から東京土産として有名である。発祥は東京・日本橋の人形町と言う。

これはくまモンの人形焼でござる。ということは熊本土産ということだ。なんでもくまモンかいな。と斜めに見ていたがこれは美味しゅうございました。

熊本と言えば火の国、水の国、そして阿蘇の国。もうずいぶんと訪れていない。震災で大変だったけれど、また行ってみたい。

◇モナリオ 熊本市中央区二の丸1-1-2

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季語の花たち 春~初夏篇 渓蓀

2023年05月09日 | nonoka

渓蓀(あやめ)や杜若(かきつばた)が咲き出している。

おや?なんか派手な花だなあ?

見たことのあるような無いような花姿。GoogleLensで調べてみたらドイツアヤメと出てきた。ふむ。確かにアヤメのようにも見える。ジャーマンアイリスとも言うとある。

派手で見映えはするけれど、私はやっぱり日本の渓蓀の方が好きである。

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季語の花たち 春~初夏篇 紫蘭

2023年05月05日 | nonoka

紫蘭(シラン)があちこちで咲いている。ホトトギス新歳時記では六月の候に載っている季語である。玉ねぎ状の鱗茎は薬用になるという。

薬用と言えば、五月五日は「薬の日」である。これも季語である。五月五日は端午の節句であり、子どもの日であり、そして薬の日でもあるのである。

今日の日経新聞の一面コラム「春秋」によると(以下抜粋)、“推古天皇が611年5月5日、臣下を率いて「薬猟」に出かけたと日本書紀にある。生薬になる鹿の角や、菖蒲などの薬草を集めるのだ。旧暦五月はすでに夏。高温と多湿の運ぶ疫病は、そのまま命への脅威だった。”とある。香気の強い菖蒲はとりわけ邪気を払う力が強いと考えられていたようだとあった。ちなみに今年の旧端午は6月22日だ。

「菖蒲のかずらをしない者は宮中に入れてはならぬ」というお触れまで出たそうだ。昔はそれほど疫病が恐ろしかったのだ。このGW、観光地は恐ろしいほどの人で溢れかえっているとニュースは報じていた。人類はもう疫病のコロナを克服したというのだろうか?まさに隔世の感である。

最後にこの紫蘭の花でしっかり記憶している幼少の頃のことをひとつ。まだ幼稚園か小学一年生位のことだったと思う。友達の家で植物図鑑を見ながら名前を言い当てる遊びをしていた。ほとんど名前を知らないのだが、図鑑が面白くて名前当て遊びをしていたように思う。その友達が紫蘭を指して私に尋ねた。勿論私は知らないから「知らん。」と答えた。そしたら友が「当たり!」と言ったのである。しょうもないことだがなんか鮮明に覚えていて、この紫蘭を見る度にそのことをたまに思い出すのだ。昭和三十年代のことであった。肝心なことは忘れてしまい、どうでもいいことを覚えている。人間の記憶というものは不思議だなと思う。

君知るや薬草園に紫蘭あり 虚子

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季語の花たち 春~初夏篇 姫卯木

2023年05月04日 | nonoka

姫卯木は日本原産の花と言う。古来万葉集などでも詠まれてきた花である。

唱歌「夏は来ぬ」にも歌われてる卯の花と姫卯木とはどう違うのか?「卯の花」と言われるウツギよりも樹高が低くて、ガーデニングでよく植えられるとありました。まあ似たものでしょうね。卯木(ウツギ)は空木とも書きます。幹や枝が空洞になっているのでそう呼ばれている。

ちなみに「おから」のことを「卯の花」と言うのは、おからの形状が卯の花の咲き様に似ているかららしい。

万葉集に詠われている一句を紹介。

霍公鳥 来鳴令響 宇乃花能 共也来之登 問麻思物乎

“霍公鳥(ほととぎす) 来鳴き響(とよ)もす卯の花の   共にや来しと問はましものを”                石上堅魚(いそのかみのかつを)

意味は霍公鳥が来て鳴いてるよ。卯の花と一緒にやってきたのかと聞くことができたらいいのに。

夏は来ぬの歌詞は、♬卯の花の匂う垣根に 時鳥(ホトトギス)早も来鳴きて忍音(しのびね)もらす夏は来ぬ♬

卯の花と霍公鳥は定番の取り合わせらしい。

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季語の花たち 春~初夏篇 海芋

2023年05月03日 | nonoka

海芋(かいう)も季語。歳時記では五月の候に載っている。和蘭海芋(オランダカイウ)とも。

サトイモ科に多年草で漏斗状の白い花をつける。厳密に言えばこれは苞(つと)で、その中にある黄色い穂が花なのだ。洋名はカラーと言う。

この花を眺めていたら丹精に育ててるご主人が嬉しそうに説明してくれた。花を育てている人は見てくれていると嬉しいものであるらしい。大概丁寧に説明してくれるのである。

曇天に染まらぬ真白海芋咲く

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