陽だまりの旅路イスキア

あ、slice of life…日向香を感じる日々の暮らし…

5月の空 走り梅雨

2006年05月31日 | slow life

今年の五月は雨が多かったような気がする。
走り梅雨と言うらしい。
どうやらこのまま本梅雨に突入するのだろうな。

そういえばこのところ地震も多い。
ときどき部屋から南の空を眺める。
地震雲のような怪しい雲の形が見えると
胸騒ぎを感じてしまう…。
震災以来の習性になってしまったかな。
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かき氷一番

2006年05月27日 | slow life

陽が高くなるとどんどん気温が上がってきた。
スーツを着ていると暑い。
「まだ5月やのにな!」と一緒に歩く新人にぼやく。

と、道沿いに「氷」の文字が飛び込んできた。
レモン、いちご、みぞれにカルピスetc…100円!

「ちょっと休んでいこか?」

思わず入って今年一番の「かき氷」を食べた。
さくさく、さくさく、さくさく…。
プラスチックのスプーンで氷をつぶす音。
この音、その食感。懐かしいなぁ…かき氷。
食べ終わると体が冷えて涼しくなるのがわかった。

午後3時半。ぼーっとしていると
付近の高校生が次々と入ってきた。
店主の眼差しが温かい。
この店はきっと彼らの憩いの場所なのだろう。

ここは大阪・昭和町。
下町の初夏の風景に触れた気がした。

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追憶酒場

2006年05月21日 | slow life

まだ陽の高い3時頃から開いている。
ここは酒屋がやっている大衆酒場。
サイクリング帰りに久々寄ってみた。

店内には某製鋼所の勤務カレンダーが貼ってある。
4直3交替制の年間ローテーションが示されている。
ここはそこの工員さんたち御用達の店なのである。

テレビの前のバーカウンターのような席に座る。
アサヒのドライと冷やっこ、串かつを注文。
時刻は日曜の6時過ぎ。
もう先客たちは早くから飲んでいたのだろう。
結構店内は騒々しい雰囲気に満ちていた。
テレビを観るとはなしに眺めていたら
「チャンネル替えていいですか。」と
後ろの席にいる現業の若者が聞いてきた。
「いいよ。」
別に観たいテレビがあるわけではない。
ひとりで所在もないので眺めているだけだ。
若者は格闘技の番組にチャンネルを合わせると
相棒に格闘技の薀蓄を得意そうに語り出した。

この界隈は高炉のある街だ。
小さい頃、夜になると南の空が
暗く赤い色に染まっていった。訳を知っても
それは子供心に不気味で不吉な印象をもっていた。
また朝になると夜勤明けの工員さんたちが
ぞろぞろ駅に向かって北上してくる光景を見た。
みな無表情で列をなして歩いている。
その姿がなんとなく怖かったのを記憶している。
今思えば、現場の夜勤明けだ。重労働で
疲れた体で歩いていたことが解るのだが。

この界隈は工員さんたちに支えられた街なのだ。
駅へ向かう大通りにはパチンコ屋も並んでいる。
阪神の駅あたりでは立飲み屋や大衆酒場が多い。
そういえば昔は国道沿いに映画館もあった。
所謂、高炉が支えた企業城下町なのだ。
今もその面影は随所にあるが、
震災以来この地区も再開発の波にさらされ
駅前通りは高層のマンションやテナントビルが
林立してきている。この校区の小学校では
児童数が増加しプレハブ校舎も建てている。

「おばちゃん、お勘定!」
「え~っと、ビールが一本?やっこに串かつやね。」
ここではいちいち指差点呼で勘定する。
千円でおつりをもらって店を出た。
外はまだ明るい。ほろ酔いなので
自転車に乗ってもまだ大丈夫。ころびはしない。

高炉のある街から副都心構想の再開発都市へ。
時代とともに外観は変貌していく。
だが街の風情や人情はそう変わるものか?

夜のしじまに不気味に拡がった暗赤色の
あの高炉からのオーロラは
一体どこにあるというのだ?
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アンチエイジングライフ

2006年05月20日 | slow works

恒例の早朝会議が毎週末に行われる。
いつもより1時間40分早く電車に乗って出社する。
この営業連絡会なる会議、決して踊らないが、
いつものように判で押したように同じパターンで進む。
媒体部門から今週の新しい企画が説明される。
といっても斬新な企画や情報が毎週あるわけない。
だから大概は聞き流している。それでも
ときにアンテナに引っ掛かるような情報もある。
今週は何故か私の三半器官の奥にある
細い釣竿に引っ掛かったものがあった。

某ラジオ局の番組企画である。趣意書には
「48周年記念特別番組」と銘打ってある。
「48周年?か」。ということは
毎年何かにつけ記念特別番組があるんだなと
やぶにらみを利かせつつタイトルを眺めた。

「そろそろ本気で!アンチエイジングライフ宣言」
と銘打ってある。

7月某日で6時間のぶっ通し生放送らしい。
スペシャルゲストは秋野○○と佐伯○○女史という
世の女性が憧れる二人の美と健康のカリスマに
「美しく生きる」という
アンチエイジングライフを語ってもらう趣向だ。

「ふ~ん。」

で、次に私の眠い眼に留まったのは
そこに書いてあったアンチエイジングライフを
実現するための6ヶ条であった。

①運動しましょう
②良い食習慣を身につけましょう
③たばこを控えましょう
④プラス志向でいきましょう
⑤芸術に親しみましょう
⑥恋をしましょう

なるほど…。異存はありません、確かに。
お酒を控えましょうとは
書いてないところも気に入った。
いい6か条だなと何故か安心。

「うん、プラス志向?…か。」

仕事や部下の手前無理に志向しているが
もともとプラス志向は苦手な性分。
世の中プラス志向の手合いばかりだと
一生太陽に向かって走り続けているようで
そういうのばかりは正直疲れてしまう。
できれば堪忍して欲しい。

昼間の太陽も嫌いじゃないが
どちらかと言えば夜明けなら
「夜明けの珈琲」が飲める人生がいいし
黄昏ならトワイライトバーも悪くない。

とすれば、やはり恋をしましょうとなるのかな。
確かに恋をすれば身奇麗にもなるし
若々しい気持ちに満たされるだろう。
アンチエイジングライフに恋が必須となると
さて恋はどこに行けば落ちているのだろう。
もとい、どうしたら落ちるのだろう。

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或る下校時の風景

2006年05月19日 | slow life

或る学校に打ち合わせに行く。
時刻はちょうど小雨の降る下校時だった。
アポイントの時間にはまだ早すぎたので
校門のところでしばし時間調整をしていたら
雨の日はたいがいそうなのであろう
校門には出迎えの車が
つぎつぎに横付けされてきた。

お友達にお別れの挨拶をして
親の車に乗り込んでいく児童たち。
「さようなら」「また明日ね。」

そんな光景が繰り返される中で
低学年の児童たちだろうか
同級生の娘(こ)が親の車に乗り込んだとき…。
一緒だったお友達の女の子が
必死に窓にすがり「行かないで。」と泣いていた。
きっとそのお友達と一緒に居たかったんだろうな。
お別れの挨拶をと、その娘の母親が開けた
車の窓に必死にしがみついていた。

同級生のふたり男の子はどうしたものか
困った顔で所在なげに佇んでいる。
と、傍にいた上級生の女の子が
車からその子をうまく引き離して
しきりに泣きじゃくる子の肩を抱き
一生懸命に優しくその子をなだめていた。

こんな小さな子たちでも、
ささやかで小さい範囲の世界とはいえ
いくつもの出会いと別れを経験するのだなあ。

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マイライフ アンソロジー

2006年05月14日 | slow life

この5月「陽だまりの旅路イスキア」も
なんとか1周年を迎えることができた。
ここまでの掲載本数111本。
日々の暮らしの断片を切り取っていこうと
始めたマイブログ。
slowというコンセプトで日々の暮らしを綴ってきた。
今、振り返ってみればそれはそのまま
「マイライフ・アンソロジー」だ。

その間、いろいろな葛藤があった。
まず、自分の文章のマンネリ化した
プロットやレトリックに嫌気がさした。しかし
自分は自分のテイストでしか書けない。これも
自分らしさだと最近は思えるようになった。
また、もっと多くの人に見ていただけないかと
色気をもったことも。(これは今でもある)
でもアクセスの多い人気ブログを訪ねてみると
とてもじゃないがマイブログはマイナーレーベルだ。
本屋で言えば目抜きのコーナーで平積みされる
本ではなくて、目立たない一番奥のコーナーに
一冊棚に並んでいるといった類の本だろう。
これはメジャーな舞台で戦えるものではないと痛感。
以来気持ちを切り替えて
目立たないお店で素人料理だけれど
それでも来てくれる常連さんに支えられた
小店でいようと思うようになった。
ただ素材だけは旬のいいものをと…。

小店とは言えブログもひとつのメディアである。
たとえひとりでも楽しみに訪ねてくれる人がいる限り
私はそれを励みに続けていこうと思う。

もっと永く続いたときには、このブログは
私の人生のアンソロジーとして完結し、
後の子孫たちに、少しはこの時代に生きた
足跡というものを残せるのではないだろうか?
私のささやかな願望かもしれない。

マイライフ・アンソロジーは2年目へ。
変わらずシンプルに
スローな物語を編み続けて行きたいと思う。

“Life is beautiful,Thanks!”

店主敬白。


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神戸・三ノ宮に水軍料理あり

2006年05月13日 | slow gourmet

水軍料理の店である。

瀬戸内海に浮かぶ島、豊島(てしま)には
昔複数の水軍基地があり、その中のひとつ
塩飽(しわく)水軍の流れを汲む安岐一族の当主に
店名は由来すると書いてあった。豊島は地図で見ると
高松の北、牛窓の南、小豆島の西である。

いつものBarの濱ちゃんが教えてくれたお店。
やっと訪れる機会がやってきた。

1階はカウンター。もう常連さんで満席だった。
2階の座敷へと上がる。好青年風の給仕がふたり。
大将の見立てと好みを感じさせる若者である。
なかなか印象はよい。
店員が崩れている店はなんかいやだ。
ちなみにここの大将、スキンヘッドの入道面。
一見強面だがでもよく見ると優しそうな眼をしている。
座敷の後ろの席では
若い男女十数人が宴会の真っ最中。
午後八時過ぎ。すでに佳境に入っているようだ。

こちらは落ち着いた大人の雰囲気で?
まずはキリンラガーの中瓶2本から。
ビールはやはり差しつ差されつの瓶がいい。

本日の料理が書かれたボードを眺める。
まずは造り。今日ははり烏賊と鰤の造りがある。
うん?
北海道産の柳葉魚(ししゃも)があるではないか。
これは二匹で750円。
さすが希少の国産柳葉魚である。
少々高いなと思ったが迷わず注文。
あとはつねさ特製鮪の串かつに桜海老の天ぷらを。

さすが魚料理の店だ。うまいぞって感じ。
嬉しかったのはお酒。
大好きな越乃寒梅が一合650円とある。
恐る恐る頼むと、この清冽な水のような口当たりと
上品な芳香はまぎれもなく越乃寒梅であった。
過去に安もんの居酒屋で羊頭狗肉
偽酒を飲まされた経験が少なからずあるだけに
これは大変嬉しく、結局四合も空けてしまった。

「う~ん、この世の今日の幸せ。」

しかし酔ってしまうと、寒梅と言えども
あとはただの酒のような飲み方になってしまったが…。
ここはお寿司もある。
最初の突き出しに巻きが出たのはよい。
お腹が空いているので
飲む前の腹の足しにはうってつけだ。
こういう心遣いもなかなかである。

またまたさらに嬉しいことは続いた。
張り紙に今月は5周年記念で全品2割引とある。
今宵は僥倖が続く。こういう日もあるのだな。
勘定はふたりで6630円。
銘酒を十分に堪能して
この勘定は今まで記憶にない安さ。

美味しい魚に店主のコンセプトが立った店。
しかも銘酒がお手頃で飲めて安いときた。

私はいっぺんに水軍料理のファンになってしまった。
今宵に乾杯!

ええい、僥倖ついでに久々星五つ…。

 ■水軍料理 つねさ
  神戸市中央区小野柄通6-1-5




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酒待ちの夕暮れ

2006年05月11日 | slow life

ツーリングしていたら日が暮れてきた。
摩耶山は墨色に暮れなずみ
西郷の酒蔵には明りが灯った。
初夏の風が誘うように頬を撫でていった。

早く家に帰るか、それとも
どこかの飲み屋に少しだけ立ち寄ろうか。

こんな日はお酒が飲みたいなあ…と
思わせる初夏の夕暮れ・酒蔵の街。
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蒲公英坊主

2006年05月10日 | cocoro

きっとこれは西洋たんぽぽでしょう。
日本たんぽぽは萼片が反り返っていません。
真横から見ると日本の方が上品で好きですね。

真上から見ると蒲公英坊主はとても幾何学的だ。
自然の造形の美しさには本当にびっくりしてしまう。

路傍の花と言えども準備はしっかりしたら
あとは春の風まかせ…。

こういう人生もいいなぁ。
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再会の夕べ

2006年05月07日 | slow life

小学校の同窓会の幹事会が開かれた。
6月に開催する同窓会の打ち合わせ会と称して。
こうやって口実設けては集まっている。
今年に入って2回目。なんのことはない
これが実質的には同窓会みたいなものだ。
JR三ノ宮駅東のガード下の居酒屋へ行く。

場所の選定と会費の額について
いとも簡単に説明と承認が終わると
後はいつものような飲み会となった。
ここは明石の蛸が名物らしい。

もう五十近くなるとみな子供も大きいし、
女性陣たちも出かけることに不自由はないのだろう。
旦那が酒を飲まないという元先生のAちゃんは、
ここぞとばかり心置きなくお酒を飲んでいた。
JRマンのT男はこういう場での酒が
一番うまいわと言って嬉しそうにはしゃいでいる。
まだフルタイムで働いているというU嬢は、
さすが少し雰囲気が違い、どこか凛とした所作。

思えばこういう会に出て来れる仲間は
小さなことはいろいろあってもそれを乗り越え
概ね幸せな人生を歩んでいるのだろうなと思う。

人生の越し方、行く末に思いを馳せる年代になった。
だから余計に猫も杓子も
同じスタートラインだった小学校時代が
みんなたまらなく懐かしいのだ。

人生はペンキが剥げて網も千切れた、野ざらしの
バスケットのゴールのようなものかも知れない。
でもたとえボロボロになっていても
少年時代はずっとそこに在リ続けて欲しい…。
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