南座を撥ねて今年最後のグルメは
創業五十年の京都のロシア料理店へ。
1972年の創業である。
私が大学に入学した年が1976年。
ということは、大学生時代から
この店は存在しているのだ。
大学時代は木屋町や先斗町まで。
祇園界隈はとんと無縁であった。
唯一、祇園で夜通しやってる麻雀屋があって
そこに通った位しか祇園の記憶がない。
店内はゆったりした空間だ。
夕刻割と早い時間だったのでお客も
カップルが一組に一人客がふたりほど。
ビルの最上階にあって鴨川を眼下に
四条通りを眺めながらの食事である。
この日はペチカコースを。
・前菜 ザクスカ(前菜盛合)、ケタ(サーモン)
セリョートカ(ニシン)
・鱈(タラ)のムニエルのとかちマッシュルームソース
・ボルシチ(ウクライナ風スープ)
・牛フィレ肉のカツレツ トマトソース
・カプスタ(キャベツ)サラダ
・自家製ロシアパン
・本日のデザート
・ロシアンティー バラの花びらのジャム添
こういう閑かなレストランは高齢の者にはありがたい。
ゆったりとした刻を過せるからだ。
ときどきご主人が席に来て話しかけてくれる。
落ち着いた物腰のご主人は、この店の由来を
いろいろと語ってくれた。
あえて確かめなかったが
あの加藤登紀子さんのお兄さんの筈である。
加藤登紀子さんのライブも毎年ここで行われている。
蛇足だが、加藤登紀子さんの夫は藤本敏夫氏だった。
2002年に死去されているが、登紀子さんとは
獄中結婚で結ばれたのは知る人ぞ知るところ。
学生運動の旗手であった。ちなみに彼は
中退しているが私の大学の専攻出身である。
京都には文化の薫りがするお店が多い。
そして京都の店のすばらしさは、何より
こうして50年近く経っても、ちゃんと
昔のままに存在してくれることである。
だからいつでもあの頃に戻れるのである。
ボルシチの温つたかさにロシア料理の数々
マトリョーシカがじっとこちらを見つめておりました。
■レストラン キエフ
京都市東山区廿一軒町236縄手通四条上ル
鴨東ビル6F