陽だまりの旅路イスキア

あ、slice of life…日向香を感じる日々の暮らし…

My screen あなたへ

2012年08月31日 | slow culture

高倉健主演の映画「あなたへ」を観に行った。
封切りの翌日の日曜日の午後六時過ぎの上映を選ぶ。
ここなら空いているだろうと思ったからだが…
それにしても空き過ぎていないか。観客は全部で九人。
封切前の大々的な宣伝に比べて、この入り具合では
正直ちょっと??…と人ごとながら思う。

この映画、さすがに高倉健だ。
健さんのあの朴訥としたキャラが存分に堪能できるし
ロードムービーならではの、日本の原風景的な映像も
ことのほか美しい。和田山の竹田城址や門司港など
また行ってみたい衝動に駆られた。

ただ正直、それ以外は何か物足らなさが残る。
そうそうたる役者が揃っているのだが…。もう少し
出逢いの織り成す深みを見せて欲しかった。
しかしとにもかくにも、これは健さんの映画である。
健さんを観てその機微にほろっとして、そして
美しい日本の風景に癒されて、旅はいいなあなんて思い
俺も旅に出たいなあと思えばそれでいいのだ。
なんてたって健さんなのだから。
作品には山頭火が取り上げられていた。
山頭火は好きな俳人である。俳人というには
異論のある人がいるのは事実だが…。

焼き捨てて日記の灰のこれだけか 山頭火

この句は、山頭火の中でも私の好きな作品である。
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松本清張記念館 小倉へ

2012年08月26日 | slow culture

全力で駆け抜けた巨人、松本清張。
小倉の松本清張記念館へ行った。
松本清張は北九州市で生まれ
その半生をこの地で過ごしたと言う。
私の一番作品“砂の器”だ。
この作品は映画も見たが、映画も良かった。
記念館を観てつくづくすごい人だなあと思う。

■松本清張記念館
福岡県北九州市小倉北区城内2番3号
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夏の花 底紅

2012年08月24日 | slow life

木槿(むくげ)が咲き継いでいる。
木槿垣として民家の植込みになじみの花。
木槿は一日花である。朝に開き夕べに閉じる。
数日は繰り返すらしい。一日花だが夏の間
ずっと咲き続けているように見える。
儚さのイメージがあるが案外元気な花だ。

底に紅をためたものを底紅と言う。
どことなく哀しさを彷彿とさせる木槿だ。

底紅や狭斜の街の今昔
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落蝉

2012年08月22日 | slow life

蝉が迷い込んでくるようになった。
朝、植木に水をやろうとヴェランダに出ると
植木鉢の土の上で蝉が死んでいた。
長いこと地中で過ごし地上に出て一週間そこら。
命の限り鳴いてあっけなく死んでしまう。

鳴き切つて落蝉となる軽さかな
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2012年夏の記録 ビアガーデン

2012年08月21日 | slow life

この夏、暑気払会でビアガーデンへ行った。
ビアガーデン!何と久しぶりだろうか。
冷房もないしこれは暑いだろうなと思ったが
意外や意外、涼しい。鴨川から吹き渡る風が
涼味をもたらしてくれた。屋上から眺める京の街。
暮れ残る空が美しい。左は南座、眼下は四条大橋
鴨の流れが南へ続く。夕映えの水だ。
京都タワーの尖塔も小さく見えた。さすが京都
外人さんもビアガーデンを楽しんでいる。
しばらくすると、月白の東山から
美しい円い月が上って来た。う~ん。
東山から上る月はことのほか美しかった。
ビールで酔う夏の宵であることよ。

月のぼる東山見て酔ひしれる
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幸せ昼ごはん 鱧御膳

2012年08月19日 | slow life

京の夏料理を食す。
お盆だし少し奮発して京料理やまのへ。
京都市街にはちょとした路地にいい店がある。
これが京料理の裾野の広さなのだろう。
お昼の品書きから鱧御膳を。二千円少し。
ここは勤め先の近くなこともあってか
ちょこちょこ利用している店。以前は
お昼にとてもお値打ちの弁当があったのだが
今はなくなって残念の極み。
料亭の味が千円札でお釣が来たのだから。
まあそれはともかく、このお店
薄味で私好みの味付けがいい。夏の京都は
何と言っても鱧。鱧は京都がいい。
職人の技が違うし何より装いが違う。
鱧もやはり夏料理。見た目の涼味も味わいたい。

しゃりしゃりと骨切る音の涼しかり

■京料理やまの
京都市中京区竹屋町通室町東入道場町21
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鰯雲と晩夏光

2012年08月18日 | cocoro

鰯雲がかかっていた。今年初めて見る鰯雲だ。
晩夏の空。雲は高く、透けるように蒼い空。
残暑は厳しいが秋の気配である。
この時期の光が好きだ。晩夏光と言ふ。
デジャブのような景色が心に広がる。

晩夏光眩しきことも追憶に
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夏の花 百日紅

2012年08月16日 | slow life

墓園に咲いている百日紅。
誰かが植えていたものが大きくなって
花をつけ始めて数年になる。
夏の間ずっと咲き続く。
いつも満開の花だが、実は
小さい花が散っては咲いている。
だからいつも満開のように見えるのだ。
これもなんとなく哀しい花だなあ。

咲き満ちてなほ咲き満ちて百日紅
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2012年夏 墓洗ふ

2012年08月15日 | slow life

お盆の墓参りに墓園まで出掛ける。
その前に近くの花屋で供華を選んだ。
黄と白の菊に鶏頭の赤、そして紫の花。
今年は車がない。仕方なくバスで向かう。
草取りをしてからしっかりと墓を洗った。

私にはすでに両親はいない。これは
とても寂しいことだけれども、反面
世代が直面している介護の労はない。
子供に迷惑をかける前に死んだ両親は
子供孝行な親かもしれないけれど、私は
親孝行も十分できなかった。その悔恨の情が
時々心の底で、刺さった棘のように疼く。
墓を洗っている最中、いろいろなことが
脳裏に浮かんでは消えていく。まるで
親と対話をしているようだ。

あれこれと浮かぶ思ひや墓洗ふ
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夏の花 凌霄花

2012年08月14日 | cocoro

夏の花はなんとなくもの哀しい。
向日葵も百日紅も…そしてのうぜんかづらも。
ずっと日差に咲き続けているのが哀しい。

自ずから燃ゆるが如き凌霄花(のうぜんか)
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