高倉健主演の映画「あなたへ」を観に行った。
封切りの翌日の日曜日の午後六時過ぎの上映を選ぶ。
ここなら空いているだろうと思ったからだが…
それにしても空き過ぎていないか。観客は全部で九人。
封切前の大々的な宣伝に比べて、この入り具合では
正直ちょっと??…と人ごとながら思う。
この映画、さすがに高倉健だ。
健さんのあの朴訥としたキャラが存分に堪能できるし
ロードムービーならではの、日本の原風景的な映像も
ことのほか美しい。和田山の竹田城址や門司港など
また行ってみたい衝動に駆られた。
ただ正直、それ以外は何か物足らなさが残る。
そうそうたる役者が揃っているのだが…。もう少し
出逢いの織り成す深みを見せて欲しかった。
しかしとにもかくにも、これは健さんの映画である。
健さんを観てその機微にほろっとして、そして
美しい日本の風景に癒されて、旅はいいなあなんて思い
俺も旅に出たいなあと思えばそれでいいのだ。
なんてたって健さんなのだから。
作品には山頭火が取り上げられていた。
山頭火は好きな俳人である。俳人というには
異論のある人がいるのは事実だが…。
焼き捨てて日記の灰のこれだけか 山頭火
この句は、山頭火の中でも私の好きな作品である。