陽だまりの旅路イスキア

あ、slice of life…日向香を感じる日々の暮らし…

甘いもの選 山梨の蒲萄

2023年08月31日 | slow gourmet

山梨の蒲萄のお裾分けを頂きました。くだものびより さとう農園の蒲萄です。案内によれば桃は有機農法で栽培できるのらしいですが、蒲萄は桃以上に病害虫に弱く、少しでも油断すれば病気で全滅の危機に陥るらしいです。

そんな中でもさとう農園さんは出来るだけ園内を自然な状態に保ち、植生や昆虫を含めた生態系のバランスを保つことに試行錯誤を繰り返しつつ、化学合成農薬の使用成分数は慣行農法比で約75%も削減。化学合成殺虫剤や除草剤は一切使用せず栽培しているとありました。その労力とご苦労はいかばかりと想像します。

巨峰、シャインマスカット、マスカサーティーン、悟紅玉の四種類の蒲萄が長い軸付で入っておりました。蒲萄は軸付近が最も甘味が強いそうです。

それにしても、昭和三十年代つまり小さい頃は、蒲萄や梨なんか普段の食卓で当たり前に食べておりましたが、最近は果物は総じて高級品になって来てるような気がします。つまり付加価値が高くなっているのですね。

その努力の結晶ていうか、果物のテイストも昔とはもう全然違いますね。先日もいちぢくを買って食べましたが、これも私が記憶しているいちぢくとは全く別物でした。姿形は変わってないですが、昔のあの庭に生っていたえぐい?いちぢくの味では全くありません。

話は広がりますが、トマトもあの独特な臭みは全然無くなっていますし、芋焼酎なんかも女の人が嫌がるほどの癖と匂いは全然無くなってます。そういう味覚が好まれる時代になったのでしょう。“食は記憶だ”を自認する私にとってはちょっと寂しい気持ちもありますが…。

話が蒲萄から脱線してしまいました。蒲萄はメロンみたいに追熟しないとのことですので早めに頂きます。

アルプスの空が育てし蒲萄かな

◇くだものびより さとう農園            山梨県南アルプス市有野1746-1(農園)

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季題 盆の月

2023年08月30日 | slow value

令和五年八月三十日。この日は旧暦では七月十五日、つまり「旧盆」である。

お盆と言えば地方によって違いがある。関西は新暦の八月を盆としたため「月遅れ盆」と称されている。東京などは新暦七月盆が主流だと言う。明治時代の新暦採用時には、地方などでは旧暦七月十五日にお盆が行われていたという。今年で言えば八月三十日となる。それが段々と旧暦七月十五日に近い八月十五日となったとある。沖縄などの一部地域では今も厳然と旧暦の七月十五日の旧暦盆を守っているとあった。本当に行事関連で旧暦と新暦のダブルスタンダードは実にややこしい。

さて、旧盆の日の月を「盆の月」という。ホトトギス新歳時記にはこう書かれている。「本来盂蘭盆会にあたる旧暦七月十五日の満月を盆の月という。ただ最近では盆が陽暦または一月遅れで行われることが多いため実感が薄れたが、陰暦で行う地方で仰ぐ盆の月はしみじみとした思いに人を誘う。本来盆踊も、こうした盆の月明りのもとで行われた。」

旧暦七月十五日だから満月である。厳密にいえば翌日の31日が満月だが…。さて、今年の押さえておきたい月の暦は以下の通りだ。8月30日(旧暦7月15日)盆の月、9月29日(旧暦8月15日)十五夜、10月27日(旧暦9月13日)十三夜(後の月)。この三つの月は押さえておきましょう。十五夜は楽しく愛でる月だが、盆の月と後の月はどこかしんみりとした味わいの月である。

三十日夜にこのブログをご覧になれば、ぜひ空にかかる盆の月を見上げて下さい。

あの人もこの人も逝き盆の月

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街の面白看板 京都タウンウォッチング

2023年08月28日 | slow culture

阪急十三にて京都河原町行準特急に乗る。桂駅で準急に乗り換えて西院駅で下車。十数年振りの西院駅である。見た目や雰囲気は当時と全然変わってないように感じた。

市バスを使わず西院駅から西大路御池へ向かう。そこで用を済ませて更に西大路通りを円町まで北上。円町交差点を丸太町通りへ右折して、千本通り、堀川通りを越えて烏丸丸太町迄という、残暑のちょっと距離のあるウォーキングとなった。

いろいろと面白看板を見ながら歩く。西院駅を出てすぐの西大路通りに、不二家の店舗があった。「いやあ、懐かしいなぁ。」不二家のケーキと言えば、もはや戦後ではない、と言われた昭和世代にとっては懐かしのケーキ屋さんだ。ペコちゃんが立っていた。「ん?」ちょっと昔のペコちゃんとは顔つきが違うように思ったが、ペコちゃんは全然歳を取ってはいず、ずっと少女のままである笑。そう言えば、京都には「タカラブネ」というケーキ屋さんもあった。会社のクライアントだったので、クリスマスにはよくそこのケーキを買ったというか買わされたものであった。でも社内補助割引があったのでお得だった。

西大路通りを御池から円町へ。円町辺りには飲食店が多い。山陰線が上を走る交差点。ここの風景もあまり変わらんように思う。学生時代、この辺りに下宿していた友が何人か居た。

円町の交差点から丸太町通りへ。智恵光院に来ると、さてあのラーメン屋はまだあるかな?と思ったら在りました、ありました。ここの火を投げ入れるようなパフォーマンスのネギラーメン。まだ健在でございました。ていうか、外人さんが並んで待っているではないか?健在というよりさらに発展して繁盛している感じ。二十数年前の一度目の京都勤務時代には、「ランチ、智恵光院に行く?」が合言葉であった。癖になるラーメンである。今はもっと進化しているのでしょう。

堀川通りの手前まで来ると、「京都市立待賢幼稚園小学校」という看板が。何か由緒ありそうな名前の小学校である。調べると明治八年に、当時の平安宮城の待賢門の古い跡地付近にあったのでそう名付けられたとある。1998年に出水小学校と統合され二条城北小学校となったとあったので、今は看板だけを残しているのだろうか?ちなみに日本で最初の小学校設立は京都である。遷都で都を江戸に移された京都は町民たちが教育に力を入れたのである。

さて、西大路通りから烏丸通りまではかなりの距離がありました。ちょっと疲れたけれど、懐かしい京都の街並観察ウォーキング、癒しとなりました。わが街神戸はあの震災でほとんど街並みが変わってしまったけれど、京都はそのまま残っている。いつでもすっと過去に戻れる。それが京都のいい所です。やはりほっといたします。

懐かしの街並を歩す秋はじめ

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初秋の公園

2023年08月26日 | slow life

八月最後の週末の公園。

あれほど子どもたちが遊び廻っていたのに子どもたちの姿が消えた。人っ子ひとりいない。木陰に並ぶベンチにも人影はない。そう言えばもう学校が始まったのかもしれない。あの夏の喧噪がまるで嘘みたいである。

行合の空が広がっていた。初秋を探して園を歩す。水辺に来ると、ときどき吹き抜けて来る風に新涼の気配がした。皆の感性がそれを捉える。小さい秋見つけた…。

行合の空の一景涼新た

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甘いもの選 ドーナツ

2023年08月24日 | slow gourmet

所用があって京都へ。さすがに京都の暑さは神戸の暑さとは違う。神戸は海から山からと風を感じるときが多いが、京都は盆地の所為か風が動かない油照りといった感じの暑さである。

四条烏丸から目的地まで歩く。京都はかつて都合十二年通った街である。まあ勝手知ったる街。ああ、あそこの店はまだやっているなと定点観測しつつ、烏丸通りから御池通り、そして衣棚通りを丸太町までウォーキングがてら歩いた。途中、外人さんたちと結構すれ違う。この暑さでもやはり世界の京都。インバウンドで賑わっているのだ。オーバーツーリズム問題もあるが、やはり経済復興の魅力は大きいと実感。

帰路、地下鉄四条駅で家苞にドーナツを買う。ここのドーナツを買うのは久しぶりである。ここ四条駅構内に開店した当時はいつも行列ができていたドーナツ屋さんだ。さて、「どれにしますか?」と聞かれて選ぶのもよく解らないし又面倒臭いので、6個入りの箱の見本セットになっているドーナツをそのまま入れて下さいと注文する。それがこの写真であります。

ここのドーナツは大手のドーナツ屋さんに比べてとても柔らかい。ドーナツの袋を提げて通勤の人たちに紛れてまた阪急電車に乗って帰りました。たまに食べるドーナツも美味しいものでございました。

◇クリスピー・クリーム・ドーナツ コトチカ四条店      京都市下京区二帖半敷町地先 四条駅 北改札口内

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2023年 処暑

2023年08月23日 | slow life

2023年の処暑を迎えました。「処暑」とは二十四節気のひとつ。旧暦では七月中旬、新暦ではだいたい8月23日頃です。「処」とは収まると言う意味とあります。

「処暑」はホトトギス歳時記では季題に載ってませんが、角川歳時記では季語として登録されています。という訳で、歳時記と言うのは統一ではないのが実はややこしい。伝統俳句系の俳人たちは季題ではないと言い、それ以外の派ではこれは季語と言う。句会ではいつも両方の歳時記を確認しないといけません。だから手間がかかります笑。

夏という季節は土用の期間を終えると立秋を迎えます。そしてお盆が過ぎて処暑を迎えます。暑さの表現も、5月初旬の立夏の頃は「薄暑」そして夏の「暑さ」となり、7月の暑さの最盛期は「極暑」「酷暑」「炎暑」「溽暑」になり、8月初旬の立秋を過ぎると「残暑」「秋暑」「秋暑し」と暑さも変化していきます。この暑さの細やかな感じ方(寒さも)こそが日本人の季節感であり、繊細な感性を表現しています。だから俳句のような詩が生まれる風土があると言えるのです。

ただし、今年のこの暑さはそんな微妙なグラデーションを感じさせる暑さではありません。そういう意味では地球温暖化は日本人の繊細な季節感の危機とも言えます。残暑も処暑までと言われてたのはもう遠い昔のことになるのかも。これから九月一杯までは秋の暑さが続くのでしょうか?いやはや何ともでございます。ご自愛ください。

艫綱の弛みし波止場秋暑し

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季題 星祭

2023年08月22日 | cocoro

八月二十二日は旧暦では七月七日。そう七夕です。よって歳時記では七夕は秋の季題となっています。

「星祭」も七夕のもうひとつの季題です。ホトトギス新歳時記によると「七夕の夜、牽牛、織女の二星を祭る行事」とあります。傍題はたくさんあります。「星迎」「星合」「二つ星」「夫婦星」「彦星」「織姫」「星の契(ちぎり)」「星の別(わかれ)」「星今宵」「星の夜」「星の手向」「鵲(かささぎ)の橋」など…どれもみんなロマンチックな季題ですね。

“ジョバンニが学校の門を出るとき、同じ組の七八人は家へ帰らずカムパネルラをまん中にして校庭の隅の木のところに集まっていました。それはこんやの星祭に青いあかりをこしらえて川へ流す烏瓜(からすうり)を取りに行く相談らしかったのです。けれどもジョバンニは手を大きくってどしどし学校の門を出て来ました。すると町の家々ではこんやの銀河の祭りにいちいの葉の玉をつるしたりひのきのにあかりをつけたりいろいろ仕度をしているのでした。“ (銀河鉄道の夜 宮沢賢治より)

今宵の空はどうでしょうか?晴れていても都会の夜空に天の川を見ることは叶わないでしょうが、心を銀河鉄道に乗せて、今宵皆さん、さあ星合の空の旅と参りましょうぞ。

星合の空へ夜汽車の遠汽笛

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甘いもの選 わらび餡

2023年08月21日 | slow gourmet

残暑お見舞い申し上げます。

まだまだ暑い日が続きます。夕暮遅く、時間的には18時前後になればウォーキングに出掛けます。この頃になると道路の北側はほぼ影に入るからです。この日は国道2号線を東進しました。神戸の甘味処ナダシンさんの前を通るとまだ売り物がありました。この時間になるともう商品が残ってないことが多いのです。

ただ、おはぎや草餅なんかは売り切れてをり、ひとつだけ「わらび餡」という甘いもんがありました。まあざっくり言うとわらび餅の餡蜜仕立といった所でしょうか?ラベルを見ると「小豆、砂糖、加工でんぷん、わらび粉、塩、みかん、パイン、トレハロース」とありました。

ナダシンさんの和菓子は自然な味わいでお値段も安くて、昔からこの界隈では御用達の甘味処といったお店ですね。人気があるからと言ってどんどん多店舗展開するといった訳ではなく、手造りの素朴な味をずっと変わらず守り続けているお店です。

夏の涼味として美味しく頂きました。

◇ナダシンの餅                   神戸市灘区下河原3-1-6

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季題 夏の果

2023年08月20日 | slow value

立秋を過ぎたのではあるが、天地はまだまだ晩夏の装いだ。「夏の果」という季題がある。夏終る、夏の限り、夏の別れ、夏の名残、ゆく夏、夏惜しむ、暮の夏、夏を追う、と角川の歳時記では素敵な傍題が並んでいる。

今年は8月22日が旧七夕、23日が処暑、そして30日が旧ぼんである。

晩夏の海が好きだ。昔、子どもの頃はお盆が過ぎたら海で泳いではいけないと親たちから言われていた。特に小学低学年の頃は毎夏、九州の半島にある父の里に帰省していた。叔母の家にひと夏滞在、いとこたちと手漕ぎの舟を出して沖釣りをしたり、養殖のブリの生け簀に巻き餌を求めてやって来る天然のハマチを銛(もり)で突いたりしていた。箱眼鏡でサザエやウニ、たまにアワビもカギ付きの長い竿で突いて採ったりしていた。今思えばこの時の原体験が今の創作活動の大きな肥やしになっていると思う。

それにしても今年の夏は山や海での事故の報道が例年に比べて多かったような気がする。山岳事故では中高年の滑落、海や川では少年や若者の溺死事故が必ずニュースになっていた。

「お盆過ぎて海や川で泳ぐと死んだ人に足を引っ張られるよ、河童にひっぱられるよ。」そういって親たちが言っていたことが昨日のように思い出される。まあ戒めの言葉なのであろうが、確かにお盆を過ぎると海は海月(くらげ)が増えてくるので刺されたりするし、実際、波も高くなってくるので泳ぐのは危ない。親の箴言を今更のように思い出す晩夏である。

さらさらと晩夏を刻む砂時計

(写真)讃岐・津田の松原にて

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伊丹・酒と銘水

2023年08月19日 | slow value

伊丹は清酒発祥の地なのである。伊丹市のHPによると、慶長5年(1600)に山中新六幸元という人が、この地で初めて双白澄酒(もろはくすみざけ=清酒)を造って売ったとか。それまでの濁り酒(どぶろく)から清酒を大量に醸造する技術を開発したということらしい。日本酒の産業革命と言われているそうです。よってこの文献を以て伊丹市は「清酒発祥の地」を標榜しているとありました。

酒造りには良い水が必須である。伊丹酒には井戸水が使われているのだそうだ。伊丹老松酒造の「老松丹水」は当時の井戸から汲み上げているのだそうで、その水場には市民がいつも水を汲みに来ている。この日も何人かが並んでおられました。

「御免酒 老松」とありました。御免酒とは「官用酒」のことで言わば「江戸幕府御用達」の酒ということですね。特に「老松」は 宮中奉納酒として、又将軍の御膳酒として特に有名だったそうです。

 

伊丹の酒、灘の酒、伏見の酒と関西には有名な酒処がたくさんあります。あまりに身近なのでかえって当たり前過ぎて気付かないですが、関西はお酒に恵まれた土地なのです。よろしゅうございます。

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