陽だまりの旅路イスキア

あ、slice of life…日向香を感じる日々の暮らし…

今年の夏休み 尾道へ

2008年08月31日 | slow journey

暑い夏の日。

JR尾道駅で観光案内地図をもらい
駅西の踏切を渡って坂道を登った。
その日はとても暑くて
さすがに尾道といえど
人影もまばらだった。
しかし、かえってそれで
ゆったり自分たちのペースで
散策することができた。

容赦なく照りつける太陽。
坂を登るごとに汗が
玉のように吹き出してくる。
日影を選びながら
日差しをかわしかわし
千光寺まで登る。

見晴らしのいい公園には
人慣れた猫が一匹。
観光客が休むベンチの脇で
うつらうつらしていた。
茶店でかき氷を買って
私たちもベンチで休む。
一気に体が冷えてくるのがわかった。

文学のこみちへ。
そこで一句
思いついた句を投稿する。

“海が見えた。
海が見える。
五年振りに見る
尾道の海は懐かしい。
汽車が尾道の海へさしかゝると
煤けた小さい町の屋根が
提灯のやうに、拡がって来る。
赤い千光寺の塔が見える
山は爽やかな若葉だ。
緑色の海
向こうにドックの赤い船が
帆柱を空に突きさしてゐる。
私は涙があふれてゐた。”
   (放浪記 林芙美子)

なるほど…。

かつてアンノン族憧憬の地
(ちょっと時代錯誤かな?)
と言われた尾道だ。

尾道は箱庭のように美しく
そして何故か
癒される町であった。

■千光寺公園展望台から望む
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今年の夏休み USJ

2008年08月30日 | slow life

夏休みにUSJに行った。
夏休み期間中だというのに
パーク内は案外空いていた。

ビュッフェスタイルの
ランチを取りながらショーを楽しむ。
ポパイにオリーブが出迎えてくれた。
80年代のディスコミュージックショー。
そこでもらったブックレットで
アトラクションを四つ楽しんだ。

さすがにジェットコースターは
もう怖くて乗る気になれなかった。
ただ遠目に絶叫する乗り物を
見るのは楽しかった。

スリルを楽しむより
エンターテイメント文化の
香りがする遊びの数々を
その真っ只中にいるのではなく
ちょっとだけ
距離を置きながらも楽しむ。
中年のテーマパーク遊びも
結構素敵なものである。
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晩夏の孤高 ききょう

2008年08月29日 | slow culture

今夏の花
締めくくりは桔梗。
やはり
桔梗は晩夏がよく似合う。
一番好きな花である。

桔梗は山野草。
野に咲く花だ。
高貴な花ではない。
けれども
野にあってなお漂う気品。

その花弁の
悲しいほど鋭角な輪郭!
それが、決して
他と交わることのない
孤高な気品を感じさせる。

それは決して
気位という傲慢さではなく
市井の野にあって
壊われずに咲き続ける
けなげな気品とでもいうか。

反面、蕾は愛くるしい。
薄紫の風船のよう…
可憐な膨らみだ。
蕾と開花した花弁
その対比に魅入られてしまう。

けだし
魅力とは落差である。

桔梗のような…。

山上憶良から、延々と
日本人好みの花である。
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帝釈峡の絶品素材に酔う

2008年08月27日 | slow gourmet

帝釈川のほとりの旅館に泊す。
この旅館、創業二百五十年近い。
しかし泊まった部屋は
きれいにリニューアルされていた。
二階の広い部屋だった。
窓を開けると川のせせらぎが聞こえる。
田舎の夏の夕暮れである。
対岸には帝釈天を祀る永明寺。

家族風呂でゆっくり汗を流してから
楽しみな料理は階下の部屋で。
私たちと年が近そうで、ちょっと
あわてんぼうな奥さんが運んでくれた。
丁寧に素材を説明してくれた。
ほとんどが自給自足そして
生気のみなぎる素材の数々…。

特に鯉と地鶏は
こんなに美味いものだったのか!
と改めて思うほどであった。
鯉のあらい…臭みは全くない。
醤油でいただく。
極上の鯛に劣らぬ淡白な美味さ。

♪鯉というものは
ふしぎ~なもの、なんだ~♪

あまりの美味さに上機嫌になって
思わず布施明の一節が浮かんだ。
(駄洒落で失礼)

先付けに出された
鯛の子だと思っていた小鉢
実は鯉の卵巣、白子だった。
鯉こくもまったりで旨みがたっぷり。
鯉という魚も獲れる所によっては
こんなにも美味く
また捨てるところなく
食べられるものなんだなあと実感。

帝釈地鶏は鍋で。
肉はもちろんだったが
皮もまたなんとも薄くて美味い。
普通の脂厚い鶏皮とは別物だった。

この夜、その他の品書き

・自家製こんにゃくの刺身
こんにゃく芋も帝釈峡の名産である

・桑の実
桑の実ってこんな味だったんだ
小籠に摘んだ桑の実は
こんな味だったんだ。
わたくし知りませんでした。

・帝釈地鶏卵の味噌漬け
これもうまか!
・蕎麦
つなぎなしの蕎麦である
・鮎の塩焼き
帝釈川の鮎は小ぶりである
小さい方が味はよか
できれば蓼酢が欲しい
・鯉こく
まったりしたコク…精力つきそう
・甘鯛の寿し
・天ぷら
・地生えのきゅうり
瓜に似た食感のきゅうりである

夏の峡谷料理…。
ロケーションの比較で言えば
確かに京都は貴船の川床料理とは
知名度もブランドも雲泥の差。
けれど実質本位で食を楽しむなら
帝釈峡のこの旅館は
かける費用とのバランスで言えば
かなり価値が高い穴場である。

地元で採れた旬の素材を
できるだけ加工せずに食する。
帝釈峡の田舎料理は
まさに滋味。
その地の恵みの力というのか
気というかオーラというのか
何かそういうものが
体にみなぎっていくような料理である。
本来、食とはこうなのだろうなあ。

■川魚料理 角屋旅館
広島県庄原市東城町帝釈未渡2103
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今夏の花 ノウゼンカズラ

2008年08月24日 | slow life

凌霄花。
この花、結構好きである。
夏の民家の軒先に咲く花。
だから誰でも見たことはあるが
案外名前までは知らない花だ。

かみさんと散歩に出かけた夕暮れ

「これ何ていう花?」
「のうぜんかづら…。」

夕涼みの風に蔓が揺れていた。
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今夏の花 オオキツネノカミソリ

2008年08月23日 | slow life

日本五大峡谷のひとつ
帝釈峡で見かけた花。
なんという名の花だろう?
いろいろ調べてみたら
どうやら、この花は

“オオキツネノカミソリ”

山地の林床に生える多年草。
夏にオレンジ色の花は
実に良く似合う。

ちなみにこの帝釈峡
地元では
五大峡谷のひとつと謳っている。
五大について調べたが不明。
ちなみに日本三大峡谷とは
奥入瀬渓谷、大杉渓谷、黒部峡谷
とな。

広島の秘境、帝釈峡は
わたくし、思うに
京都の貴船と遜色ない名所です。
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08夏の点描Ⅳ 空蝉

2008年08月22日 | slow life

晩夏である。
この頃になると
何故か空が高く感じる。
暦の上でも、雲も風も秋だ。

お盆は出勤したので
ずらして夏休みを取る。
ひとり部屋で過ごした。
何をするでもない一日。
ぼんやりしていたら、おや?
部屋のバルコニーで蝉が鳴く。
油蝉だった。

「おや、珍しい。」

覗いたら、バルコニーの
囲いのコンクリートの上で
仰向けになって鳴いていた。

最後のひと鳴きなのか?
短く鳴き終わる。
仰向けのままだ。
そして、数十分経った。
また鳴き出した。
気になって再び覗いたら
仰向けの油蝉は
それを最後に動かなくなった。

「命の限り…。」

それから、何だか
その蝉の命がいとおしくなって
蝉がまだいるのか気になり
何度か部屋を往来した。

あした朝、通勤途中の平和公園で
木の下の土に埋めてやろう…。

そう思っていたのだが
翌朝見たら居なくなっていた。
深夜まで確かにそこにいたのだが…。
元気を取り戻して飛んで行ったか?
ほっとしたような未練なような。

夏の盛りに、蝉たちは
樹々にたくさん止まって鳴くが
不思議なことに、死んだ蝉が
その木の下にたくさんの屍を
さらしている様は見たことはない。

空蝉、うつせみ…。
儚いたとえだが、実際
蝉は地中に何年も居ながら
地上での寿命は短い。
蝉にとっては、いったい
どちらが現世なのだろうか?

今年の夏ももう終わろうとしてる。
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08夏の点描Ⅲ 帝釈峡にて

2008年08月20日 | slow journey

帝釈峡へ行った。
峡谷は静謐の夏景色だった。

その峡谷沿いの遊歩道に
一組の老夫婦…。
木漏れ日を受けながら
妻の歩調に合わせて
ゆっくり、ゆっくりと歩いていた。

人それぞれ、夏の時間は違う。
この老夫婦の時間は
とてもスローに見えるが
長い時間の蓄積、そして
その時間を共有し、かつ
育んできたことをうかがわせた。

木漏れ日、帝釈川の瀬音。
土の匂い…。蝶が舞う小径。

今年の夏の風景である。
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08夏の点描Ⅱ 盆灯ろう

2008年08月15日 | slow life

今年もお盆がやってきた。
新聞には
あの日航機の事故から二十三年
と報道されていた。ということは
父が死んでから、もう
二十三年も経ってしまったのかと
改めて歳月の流れの速さに気付く。

そして今年は
母の三回忌を行う。
母が亡くなったのは
京都・五山の送り火の翌日であった。
控えめな母らしく
送り火に少し遅れて旅立ったのだ。

そして今年も
会社の大先輩の墓参に
広島市北部の街へ出かけた。
派手だった先輩には似合わない
意外に地味で小さい墓園だった。
暮園名もついていない。だから
最寄の駅から拾ったタクシーの
運転手に説明するには苦労する。

その小さい暮園の一角に
大先輩はひっそりと眠っている。
東京に居る娘さんから連絡があり
今年はお盆には帰れないと言った。

広島ではお盆になると
彩色豊かな盆灯ろうが
墓園のそこかしこに立てられ
極楽のようにきらびやかになる。
その盆灯ろうが
誰も居ない日中の猛暑の中
山あいからときどき吹き抜けてくる
夏の風に揺れていた。

卒塔婆に名前を書いて供え
買ってきた花を手向けた。
花はすでに先人が供えており
まだ枯れていなかったので
そこに差し加えることにした。

合掌…。
昼下がりの静寂な炎暑の中
せみ時雨だけが聞こえていた。

こうして年に一度。
あの世へ旅立った人を偲び
そして乞う。
心の中では、両親もあの方も
ずっと生き続けているのだと実感する。
それがお盆なのである。
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08夏の点描Ⅰ 青田風

2008年08月14日 | cocoro

豊かな緑に 風が遊ぶ
一面の稲穂の上には山々の碧
その上には遥かな青い空。

夏の三層構造に風が遊ぶ夏。

じりじり、じりじり
お日さんは じりじりと言う。
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