シネ・リーブル神戸にて再び映画を観る。「国境ナイトクルージング」という中国・シンガポール合作映画だ。
宣伝のリード・コピーにはこう書かれている。「中国と朝鮮半島の国境に位置する街・延吉を舞台に、偶然出会った男女3人が街をクルーズ(ぶらぶらと観光)するなかで起こる心情の変化を、繊細な映像美と抒情的音楽でつづった青春映画」と。
主人公のひとり、女性のナナはツアーガイドだが、実は過去は五輪を目指した輝かしい経歴のあるフィギアスケーターだ。ちょっと愁いのある男性のハオフォンはどうやら上海の金融機関に勤めるエリートサラリーマンらしい。母へのトラウマでどうやら心を病んでいる。ナナの男友達のシャオは観光客相手のお店で働く料理人のようだ。
それぞれの心模様をそれとなく感じさせつつ国境の街を彷徨う三人。キャッチコピーは「全部、終わらせたいと思ったことは?」
この映画に興味を惹かれたのは、北朝鮮と中国の国境の街という風景に興味を持ったからである。いったいどんな街なのだろう。辺境とか国境という言葉にはどこかそそられるものがある。
こういう心の機微を軸に展開する映画は好きな人間は好きだが、一方、勧善懲悪、エンディングは恋人とキスをしてハッピーエンド。という大スペクタクル、ハリウッド映画こそ映画だという人もいる。どちらかというと比重的には私は前者に属するのだが、後者の映画も大変好きである。つまり映画ならなんでも好きなのだ。(但しホラーは絶対駄目!)要はスクリーンに魂を奪われるあの闇が好きなのかもしれない。
◇国境ナイトクルージング 2023年 中国・シンガポール合作 100分