陽だまりの旅路イスキア

あ、slice of life…日向香を感じる日々の暮らし…

くいしん忘備録 神戸の豚まん

2009年06月30日 | slow gourmet

神戸の豚まんは美味しいと思う。
こうべっ子は、みんな
豚まんには、それぞれの
センチメンタルテイストがある。
いわば、親が買ってきた
豚まんの味になじんでいるのだ。

わたくし的に言えば
豚まんは、神戸は三ノ宮にある
太平閣の豚まんが豚まんであった。
柔らかい皮はほんのりした甘みがある
中の具も甘みがあってジューシー
そう!その味なのだ。
いつも行列ができる元町中華街の
超有名なお店の豚まんは
正直、私好みの味ではない。

神戸・一貫楼の豚まんも時々買う。
大阪で働いていたときは
551の豚まんもたまに買った。
これらの豚まんも好みの味である。
大衆の味が好きなのかもしれない。

で、最近美味しいと思うのは
神戸は水道筋六丁目あたり
旧市電道の山手幹線から
少し南に下がった立て筋にある
かつて小学校一年の二学期まで
私が通っていた稗田小学校隣という
極めてローカルな立地にある

“ぶたまんや”

ここの豚まんが特に美味しい。

一個80円である。
ちょっと小ぶりだが
とにかくジューシーなのだ。
皮はもちもちして食感がいい。
午前中にはたいがい売り切れてしまう。

「せいろで蒸すから出来立てでなくても…。」
と言ったら、店のおばちゃんが
「キャべつの葉をひいて蒸したら
豚まんがとても美味しく蒸せるよ。
キャベツも美味しいしね。」

と教えてくれた。

その通りにしたらこれはまさに正解!
キャベツを敷いたり挟んだりすると
きっと水分や旨みが逃げないのかな。
そのキャベツもしんなり美味しかった。

豚まんはソウルフードと言えば
ちょっと大げさだが、やはり
センチメンタルフードだなあ。

■ぶたまんや
神戸市灘区岸地通4-1-1
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くいしん忘備録 小山ロール

2009年06月28日 | slow gourmet

あの小山ロールを
なんとお裾分けでいただいた。
労せずして賞味できるなんて
何と言う僥倖だろうか。
知人に感謝しなくては。

それはそれは丁寧でありました。
高級ブランドのような意匠の
保冷バックに収められていた。
取り出すと“KOYAMA ROLL”
と書かれた黄色いタグが。
なんとも繊細そうなロールケーキだ。

わくわく賞味。

「スポンジ、きめ細かいねえ。」
「うん、ふわふわだね。」
「しっとりしているわ。」
「あ、栗も入ってるぞ。」
「生クリームもひつこくない。」
「うん。上品でしっとりした甘さ…。」
「カスタードとのバランスもいいね。」

にわか品定めが始まる。

「形が崩れるから配送はNGなんだって。」

なるほど。わからんでもない。
とにかく上品で繊細なロールケーキ。
まるで、触ると解けて
壊れそうな雪の結晶のような…。
深窓の令嬢のような
透き通るような女性のような…。
ちと、比喩が大時代的だね。

パティシエ エス コヤマの小山進さんは
かつて神戸は水道筋にあったスイス菓子
ハイジのシェフ・パティシエだったという。

かみさんは、小学生の頃にはよく
親とハイジでケーキを買ったと言う。
夕方頃になると、売れ残ったケーキを
おじさんはよくおまけで入れてくれたそうだ。
その当時はよく売れ残っていたと言った。

しかし
地元の小さな菓子店だったハイジは
その後、パティシエ小山氏の
多大な功績もあったのだろうか
大きくなって有名にもなった。
街のケーキ屋さんから超有名店へ。
けれどいつしか経営者も亡くなり
水道筋のその店も、今はもう
別の店になってしまっている。

最後はちょっとしんみり…
そんな話しになりながらも
この小山ロールをいただいたのである。
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今日は父の日

2009年06月21日 | cocoro

その方は、防予汽船の
フェリー最前列の座席に座り
ずっと前の海を眺めていた。
もう定年したお方のように見えた。
待合の港ではスケッチをしていた。
どういう旅なのだろう?
私もあの位の歳になったら
ああいう旅をしているだろうか?

♪古い旅行案内の
絵葉書の中にひとり
今も探しているあの頃を
戻らないけど失くさない
憧れの街

ピカデリー・サーカス 松任谷由実
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ラドンの湯 雙津峡温泉

2009年06月19日 | slow journey

未完の線路跡である
岩日北線記念公園を走る
とことこトレインは、まるで
ゆったり走るロバの馬車のようだった。

終点の雙津峡温泉駅に着く。
駅のある高台を下りてすぐ、清流
宇佐川に架かる赤い吊り橋を渡る。
真ん中で立ち止まり川を覗いた。
きれいな流れだった。止まると
橋が一定のリズムで揺れていた。

この温泉地は小さな里山風情にある。
対岸に見えた元湯“憩の家”へ入る。
ここは日帰りの温泉施設である。
もうちょっと先には宿泊できる
二の湯の錦パレスホテルがある。
そちらは堂々たる建物だった。
どうやら雙津峡温泉の施設は
このふたつだけのようである。

下駄箱に靴を入れ
フロントで入浴料500円を払う。
タオルは100円だった。
早速浴場へ。景色はいい。
先客は3名ほどだった。
源泉かけ流し100%と謳ってある。
確かに湯のそそぎ口には湯の花が。
湯も湯船から絶えず溢れて出している。
日経おとなのOFFに書いてあった
真贋の見分け方と同じであった。
循環風呂だと湯が溢れないらしい。

ここ雙津峡温泉、難しい字だが
そうづ峡と読む。泉質は
含放射能・ナトリウム・炭酸水素塩
ラドンの含有量は西日本有数とあった。
アトピー性皮膚炎などの皮膚病や
通風・動脈硬化、神経痛、糖尿病
などに効くと言う。
アトピー体質の私にはいい湯だ。

十分浸かって湯から上がる。
服を着替え、脱衣場休息室で
しばらく扇風機で涼んでから食堂へ。
ビール中瓶とこんにゃくの刺身
そして肉そばを頼んだ。やはり
こういう里山のこんにゃくは旨い。
しゃっきっ、こりっとして旨みがある。
品書きを見ると、野性いのしし料理に
すっぽん、川がに、やまめにあまご
そしてあゆ料理と山の幸が多彩にあった。
秋には松茸料理もいいらしい。
こういう料理を堪能するなら
やはり二人で来なくてはなあ…。

しかし汗がなかなか引かなかった。
体がいつまでもポカポカほてっていた。

そろそろ帰りのトロッコバスが来る。
施設を後にしてまた赤い吊橋を渡る。
橋の袂には、薄紫の西洋紫陽花が。
梅雨の晴れ間。
天気に恵まれた今回のひとり旅。

「いい温泉やったなあ。」

独り言…。

私なりの百名湯は続く。

■雙津峡温泉 憩の家
 山口県岩国市錦町深川3132
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電車の風景 銀河のトンネル

2009年06月18日 | slow journey

錦川清流線終点の錦町駅から
駅のツーリスト窓口で
とことこトレインの切符を買う。
午前10時の1便に乗り雙津峡温泉へ。
帰りは温泉に浸かってから、2便の
午後1時20分で錦町駅へ戻ることにした。

“とことこトレイン”とは
錦川清流線錦町駅(南口)から
そうづ峡温泉(北口)まで、鉄道が
走る予定だった線路跡を利用して走る
観光遊覧車(トロッコバス)である。
切符には岩日北線記念公園遊覧整理券
と書かれていた。一度も列車が
走ることなく廃れた線路跡を
子ども列車のようなトロッコバスが
ゆっくり40分かけて走るのだ。
圧巻は何と言ってもきらら夢トンネル。
ひんやりした長い隧道を抜ける。
その隧道には、蛍光石で描かれた
壁画の世界が広がっているのである。
まるで別世界。イメージとしては
あのUSJのETアトラクションに乗ってる
と言えばよく伝わるだろうか。
地元の子どもたちが描いた
壁画の数々は楽しくほほえましいが
銀河の星たちや天井に渦巻く星雲は
まさに銀河のトンネルを抜けているよう。
大人たちがわくわく眺めているのである。

いよいよ終点に着く。
雙津峡(そうづきょう)温泉駅だ。
里山の温泉宿はどんな湯だろうか。
楽しみだなあ。 つづく…。
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電車の風景 錦川清流線

2009年06月17日 | slow journey

週末のリトルジャーニー。
山陽本線を広島から岩国へ。
ゼロ番線で錦川清流線に乗り換えた。
この線は昔、岩日線と言われ
山陽本線岩国駅と山口線日原駅を
結ぶ予定だったらしいのだが
錦町から先は一度も走ることなく廃れ
今は錦川鉄道が第3セクターで
運営している路線なのだと言う。
正式には川西駅から錦町まで線を
錦川清流線と言うようだ。

文字通り清流錦川に沿って走る。
車体は清流のイメージである
カワセミなんかが描かれている。
北河内あたりを過ぎると
清流と杉林や竹林を見ながら走る。
なかなかいい景色が続く。車窓から
カワセミは見つけられなかったが
鷺たちは多く見かけた。終点の
錦町まで1時間ちょっとの旅である。

錦町駅からはいよいよ今回のお目当て
一度も走ることなかった岩日北線
その線路跡を走る遊覧車
“とことこトレイン”に乗り換えだ。
目指すは
雙津峡(そうづきょう)温泉である。

つづく…。

(写真)
錦町駅へ入る臨時編成のホタル列車
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蛍 川面の流星群

2009年06月13日 | slow journey

生まれて初めてだった。
こんなに無数の蛍を見たのは。

錦川清流線の中吊りで、今日
ホタル列車が運行されるとあった。
電話をしたがあいにく満席だと言う。
どうしてもホタルを見たくなった。
錦町駅の受付の女性に頼んでみた。
「当日の空きがあったら
ひとりですがいけますか?」

午後五時過ぎ、ホタル列車の一行は
バスで府谷(ふのたに)町へ向かう。
毎年、六月の第二土曜になると
“府谷ほたるまつり”が
ここ府谷町で開催されるのだ。
謂わば地域起こしのお祭りである。
今宵は山口県知事も来ていた。
ちょっと驚いた。でもそれほど
ここのホタルは有名なのだろう。
じゃが芋堀りをしてからお弁当をもらい
そのお弁当を食べながら神楽を鑑賞した。
やまたのおろち退治の神楽である。
蛇の舞いが圧巻だった。

時刻は午後八時あたり。
あたりにはやがて夜の帳が下りた。
この町を流れる府谷川の川面に
ぽつんぽつんとホタルが舞い始める。
やがて八時を過ぎる頃には、いっせいに
沢山のホタルがなんともいえぬ
ほのかで切ない光りを灯し始めた。
やがてホタルたちの灯す光りは
あたかも申し合わせたかように
いっせいに見事に同期し始めた。
そのさまは、この世の世界なのか
夢の世界なのか見失ってしまうほどだ。
時々下草茂る川面から樹上へ
ふらふらと光りながら舞うホタル。
子供たちは捕まえみたくなる。
親に促されて手のひらをそっと開き
そして不思議そうに眺めている。

宮本輝“蛍川”のラストのように
無数のホタルが人型にオブジェを織り成す
と言うようなところまでは行かないが
それでもこれほどのホタルを
私が見たのは生まれて初めてだった。
私には、その光景は、まるで
かつて西播磨天文台まで観に行った
しし座流星群の大きな流星痕を彷彿とさせた。
ホタルはさながら川面の流星群のようであった。

無数に群れ飛ぶホタルたち。
飛んでいるのは雄だとか。
雌は葉に止まってじっと光るらしい。
雌は四角に雄の光りは三角に見えると言う。

“ものおもへば沢のほたるもわが身より
 あくがれいづるたまかとぞ見る”
 ■後拾遺和歌集 和泉式部

注)恋に思い悩んでいると沢を飛ぶ螢の光も
我が身から抜け出た魂かと見えるよう。

このような心境でホタルを見たいお方は
団体ではなく、お忍びで
府谷川へ行かれることをお勧めします。

蛇足まで…。
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島の小さな桟橋にて

2009年06月11日 | slow life

「最近、どうじゃね?」

「さっぱりだめじゃ。」

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夏の万作

2009年06月09日 | slow gourmet

「万作あるけん。こりゃええよ。」

洋坊のおばちゃんが勧める。
大将もこれはいいとお追従。
こう言って勧める時は
大概いいのが入った時である。

店が勧めるものを食らうのが一番じゃ!
一切れ醤油をつけて口に入れる。

「ありゃりゃ!こりゃ旨いわ。」

万作とはシイラである。
シイラは夏の味覚と言う。
貪欲であまりお品がよろしくないので
食べない地域もあるらしいとか。
でも広島は食べるのだ。
鳥取では結構食べるらしい。
シイラは傷みが早い魚なので
獲れた産地近くが消費地なのだそうだ。
鮮度落ちはお腹がピーになるとか。

しかし、万作とはいい名だなあ。
なかなか旨い身だと思う。
色々いわく付きの方が旨いものだ。
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浴衣の夕べ とうかさん

2009年06月08日 | slow life

広島は初夏の風物詩“とうかさん”。

とうかさんは、毎年六月の
第一金曜から三日間開催される。

“とうかさん”とは
円隆寺の境内に祭られる稲荷大明神
(とうかだいみょうじん)のことで
関西の祇園祭や天神祭など
大きなお祭りのない広島では
とても親しまれている夏祭りだ。
この日、広島の人は
皆揃って、涼しげな浴衣姿で
露店の並ぶ縁日へと出かけるのである。
別名“浴衣の着始め祭り”とも言う。

髪をアップにした浴衣姿や、最近は
浴衣風の作務衣のような衣装もある。
中学生たちが好んで着ていた。
よさこいファッションと言うのか。

お化け屋敷が今年も出現していた。
さすがに
おどろおどろしい口上はなかったが
若い子たちが入ろうか入らまいか
思案げに面白そうに眺めていた。

とうかさんの日曜日。
この日は気温もぐんぐん上がり
空は抜けるような青空が拡がっていた。
なんだか、梅雨入り前の
夏の予行演習みたいだけれど
世間はクールビズも始まり
いよいよ広島も夏姿だなあ。
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