陽だまりの旅路イスキア

あ、slice of life…日向香を感じる日々の暮らし…

知識と知恵比べ

2008年02月27日 | slow works

2月26日付中国新聞の朝刊に
広島大学と山口大学の
二次試験問題が掲載されていた。
数Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B・Cと題された
問題を読んで、しばし解いてみた。
いや、正確に言えば解こうとした。
しかし、何のことかさっぱり…。
糸口すら解らず
まったく脳がフリーズした。

そういえば昨年
広大の学生が会社訪問にやって来た。
難しい問題解いて入学したような
頭脳明晰で学力が卓越した人間は
うちの会社だと
宝の持ち腐れにならないか…と
つい短絡的に思ってしまう。
この考えは偏狭だと思いつつ。

そして
私の前の席には営業部長がいる。
本社に提出する売上報告をまとめるが
ときどき数字を間違えてしまう。
これは足し算と引き算だけの算数だ。

この部長は営業センスがいい。
営業に出かけたと思ったら
何がしかの売上数字を
見事にきっちりくわえて帰って来る。
狩猟能力は抜群でまるでジャッカルのようだ。
まったく頼りになる存在である。

世の中はいろんな人間で成り立っている。
知識と知恵は必ずしも一致しない。
要はそれぞれが自分の存在感を
発揮できる環境をいかに
見つけることができるかどうかだと思う。

しかし現実はそんな環境を得たり
自ら作ったりすることは案外難しいのかも?

最近は“エンゲージメント”
という言葉が流行っていて
人材活用の分野でも言われている。
日本語で言えば絆(きずな)…。
婚約するという意味合いでもある。
心理学の分野でよく使われる
ラポール(架け橋)に近いかもしれない。

話は戻って
国立大学の入試問題をまた見る。
この問題も解の向こうには
いったいどんな人生が見えるのだろうか。
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佐田岬 メバルの眼

2008年02月24日 | slow gourmet

佐田岬漁港にある金沢旅館に泊す。
昔ながらの料理旅館だ。

佐田岬沖で採れた一本釣りの魚と
豪華伊勢えびの磯づくし料理。

本日の献立は
黒うに、なまこの酢の物。造りは
伊勢えびの造りに岬(はな)あじ、岬さば
黒メバルにほうぼう、鯛にはまちであった。
それにメバルの煮付けに焼き物は岬あじ。
揚げ物は明日葉などの山菜の天ぷら
それに先付けに握り寿司が3貫ついた。
もちろんご飯に味噌汁、デザート付きだ。

「こりゃあ、食べ切れるかな。」

と驚くほどの豪華版。
その日採れた魚は全部出すのだそうだ。

岬あじ、岬さばは、対岸で採れる
あの関あじ、関さばと同じ海域の魚だ。
ただ岬ブランドは、関ブランドよりも
知名度、付加価値ともまだ及ばない。
こんな義理と人情の漁師町の世界にまで
格差を生じさせる流通・マーケティング理論。
地域ブランディングの巧拙が
築地を始めとする各魚市場で
その価値格差を生む現実。

「いやな世の中だねえ~。しかし
今日はそんな仕事モードの考えはよそう。」

そんな無粋な理論なんか隅へやって、今宵は
ただ眼の前の新鮮な魚を堪能すればよいのだ。
と、箸をつけようとした瞬間…!

「ん…!」

このメバルの眼は何だ!

眼が明らかに違う。只者ではない眼光鋭い眼だ。
舟盛の上の魚で、今までこんな眼をした
オトトにはお目にかかった記憶がないぞ。
新鮮だという証以上の気迫を感じる澄んだ眼!
それは一級なやつだけが醸し出すあの眼と同じだ。
佐田岬の魚はやはり違うのだ。なにより
あの速吸瀬戸でもまれ育ったサムライなのだ。
たかが刺身にある種の畏怖を感じつつ
かしこまって恭しくも最初の箸をつけた。
やはり上物であった。

連れ合いが言う。
小学校六年の時に父に連れられて
ここに来てある旅館に泊まったことがある。
その記憶は、道が細くてあまり宿がなく
出された料理もあわびとさざえばかりで
子どもには美味しくなかった思い出だった。

女将さんは応える。
40年前ならうちともう一軒位しかなかった。
あの当時は伊勢えび漁法が
まだここでは知られてなかったから
ご馳走はアワビとサザエだったんです。
でも子どもには美味しくないわねえ。

帰りに庭に自生しているあした葉をもらう。
ざわざわ採りに行ってもらった。
みずみずしい青葉色がまぶしかった。

渡辺文雄の揮毫した書が掲げられてあった。
「くいしん坊!万才」での取材だったらしい。
1970年代のことだろう。
渡辺さんはとても書が上手だったという。
ひとつひとつ違う文言で書いてくれたそうだ。

いい宿だなあ。
女将さんも気さくで素晴らしい。
この旅館とあのめばるの眼は
きっと終生忘れられないだろうな。

佐田岬!万歳。

■磯料理 金沢
愛媛県西宇和郡伊方町正野33の2
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安芸の旅人 烈風佐田岬を巡る

2008年02月23日 | slow journey

かねてより念願だった佐田岬へ旅す。
松山から車を借りて二時間半あまり。
途中まで予讃線と並んで走る。
単線の線路沿いには、所々で
菜の花が一面に咲き揃っていた。
菜の花の黄色は春告色だ。
岬の春はすでにそこまでやって来ていた。

佐田岬半島は風が強いことで有名である。
道中、沢山の風力発電の風車を見た。
まるで外国のような異観を覚える。
岬の駐車場はあいにく工事中だったが
その辺りで車を止めて岬の燈台まで歩く。
かなりの風。年中こんな春一番のような
強い風が吹いているのだろうか。

入り口案内には、佐田岬は
日本でもっと長い(50㌔)半島の先に位置し
昭和31年5月
瀬戸内国立公園に指定されたとある。
このあたり豊予海峡は鳴門海峡に匹敵し
速吸の瀬戸と呼ばれている。
一本釣漁船が行き交う好漁場だ。
岬(はな)あじや岬さばに加え
この海で捕れるアワビやイセエビも名物だ。

岸壁にそびえる白亜の佐田岬燈台。
凛とした孤高の姿が何とも言い難い
強い風にも決して弱音を吐くことなく
ただ名も知れぬ人々の安全を願って
毎日ひたすら一灯を灯し続ける白亜の燈台。

私は岬めぐりが好きである。
眼下に広がる荒々しい波頭を見ていると
心がリセットされるような感じが全身を包む。
この燈台の孤高な使命感が
私の心を惹き付けて止まないのだ。
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うまいもの選 坊っちゃん団子

2008年02月20日 | slow gourmet

松山名物“坊っちゃん団子”

ご当地土産にうまいもの無し
なんてよく言われるが…。
この坊っちゃん団子は結構うまい。
何よりシンプルである。
お餅を三色の餡でくるんだだけ。

この団子。何も選ばないのだ。
しいて言えば熱いお茶だけ。

意外と松山以外では見かけない。
そういうところもお気に入り。

何度も言うが
“今だけ、ここだけ、あなただけ”
を大切にしたい。
“いつでも、どこでも、誰とでも”
はちょっと食傷気味。
何より疲れる…。

“坊っちゃん団子”
なかなかの定番。
熱いお茶にはよく合います。
疲れた心身にひと串…。

■うつぼ屋の坊っちゃん団子
 八本入り630円也
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鍋焼きうどん はしご喰

2008年02月17日 | slow gourmet

愛媛は松山。
大街道と銀天街が交差する地点から
1本入り込んだ路地あたりにその店はあった。
頃はちょうど昼時前。
路地を通る人がぱらぱら吸い込まれていく。

鍋焼きうどんを専門に喰わせる店が二軒。
方やカタカナで“アサヒ”。
もう一軒はひらがなで“ことり”という。
「朝日に小鳥か?」とは清々しいが
この名前の対比はなかなかの妙だ。

いったい
松山の鍋焼きうどんとはして如何に?
関西の鍋焼きうどんとどう違うのか?
そんな好奇心を抱いて、いちどきに
二軒の鍋焼きうどんはしご喰いを敢行せり。

「ええ歳した中年のおっさんが、ひとりで
鍋焼きうどんのはしごをするかあ?」

我ながらちと恥かしい気もせんではなかったが
一度に食べ比べねば違いが鮮明にわからん!
“旅の恥は掻き捨てじゃあ”
(おやおや、はしたないぞね)
とばかり続けて両軒の暖簾をくぐる。

どちらの店も、昔懐かしい
アルミの蓋付鍋で鍋焼きうどんが出てきた。

うどんのコシは
アサヒはやや柔らかめで
ことりはややコシが強く麺も太め。
どちらがいいかは、これはもう
食べ慣れた食感の好みの問題であろう。
鍋焼きうどんと稲荷寿しだけのメニューだ。
稲荷寿しはことりの方がやや大ぶりだったが
お品代は稲荷寿しと合わせて
アサヒの方が50円安い650円也であった。

わたくしの好みで言えば
うどんのコシはことりの方が好みだが
店の雰囲気は神田の蕎麦屋を彷彿とさせる
アサヒの店内の雰囲気がいいなあ。
アサヒのじいさんの給仕も、なんかどこか
抜けたようなほんわか感がなんともレトロ。
ときどき「御代はもらった?」なんて
激を飛ばされていたのが印象深い。
ときどきもらい忘れがあるのかもしれない。
これも家族的雰囲気のご愛嬌か。

で、肝心の松山の鍋焼きうどんであるが…
牛肉にかまぼこ、油揚げにネギという
どちらも具は極めてシンプルである。
穴子や鶏肉、しいたけなども豪華に入った
関西の鍋焼きうどんとはちょっと違う。
どちらかと言えば肉うどんに近いか。
ダシは甘めである。
この甘さは寒い日には舌になじむ。

高松で食べる讃岐うどんと天ぷら
というドシンとした組み合わせよりも
ほんわか甘くこざっぱりしているから
これは年配向けかもしれない。そういえば
客層はそういう方が多かったような。
買い物帰りの主婦がひとりで気軽に
ちょっとお昼にうどんでも…
という感じの風景がなじんでいた。

両軒とも
うどんが来たらお代を支払うシステム。
いわゆるキャッシュオンデリバリだ。
アサヒでうどんを持ってきたおじさんが
値段を言うので、一体何のこっちゃ?
これがお代を請求していると理解するまで
私の脳は少々時間がかかってしまった。
お代はレジでなんて思い込んでいたら
あやうく恥を掻くところであった。
これだけはご参考までに…。

■ことり
松山市湊町3-7-2
■アサヒ
松山市湊町3-10-11
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道後で見つけた我輩猫

2008年02月15日 | slow value

道後温泉で見つけた猫。
思わず買ってしまいました。
お値段一千五十円円也…。
そうです。
これは本物の猫ではありません。
そう。ぬいぐるみです。
今ではこの我輩猫
自宅のソファーの上でこうして
いつも気持ちよさそうに寝ています。
パンと手を叩くと、センサーが反応して
三回「みゃ~ん。」と鳴きます。

我輩は猫である。そして坊ちゃんと
松山・道後温泉界隈は、すべて
漱石のテーマパークなのです。
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街で見つけた! 水道屋の看板

2008年02月14日 | slow culture

恒例。街で見つけた看板シリーズ。

今回
広島は本川町電停前で見つけた
水道屋さんの大きな看板。

「いいなあ、この絵!」

古典的な看板絵のタッチがよいです。
水をイメージする青いバックに
勢いよくほとばしる水が効いている。
沢山描かれた蛇口が、この店の部品の
品揃えの豊富さをイメージさせている。

う~ん。
これは銭湯の壁面にも似合いそうだな。

看板は広告の原点です。
シズル感が大事ですね。
その点、合格!。。
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つれづれ夫婦考

2008年02月06日 | slow life

2月2日は夫婦の日だった。
ついでながら
いい夫婦の日は11月23日
よい夫婦の日は4月22日だそうな。

夫婦の真価が問われるのは
結婚後20年を超えた位だろうか。
この位の年月になると
ここまでの二人の関係の累積というものが
どうしてもさまざまな場面や雰囲気に
表出してきてしまうような気がする。

どことなくファッションもセンスも
二人に間に漂う雰囲気も
ほのかに暖かく、上手く溶け合って
いい二人だなあと思う夫婦がいる。
きっと幾たびかの試練や愛憎を
何度も乗り越えながら、互いに
こんなもんだと安きにつくことなく
愛と思いやりの大切さに気づき
それを大切に育んできたのだろう。

いいなあと思う夫婦には
ほのかに色気も立っている気がする。
もっと言えばセックスを感じるのだ。
確か、三砂ちづるさんの名著作
(…と私は思っている)
「オニババ化する女たち」には
閉経した後の夫婦のセックスこそ
本当の二人が絆を確かめ合い
愛を慈しむ機会なのだと説いていた。
これはなかなかの見識だ。

五十を超えて、健康を維持しつつ
そういう関係を築いている夫婦は
いったい何組に一組の確率なんだろうか。
コメント

されど餃子…。

2008年02月03日 | slow value

ニュースに刺激されたわけではないが
何故か餃子が食べたくなった。

「久しぶりに家で餃子を造ろうか。」

元町の大丸で買い物をしたついでに
南京町へ寄り廣記商行で餃子の皮を買う。
餃子の皮はここのに限る。

しかし今日の南京町は人出もまばら…。
冷たい雨が昼から降り出したからだろうか。
それとも例の餃子中毒事件のあおりだろうか。

新聞によるとやはり風評被害だろうか
中華街の売り上げがかなり落ちているらしい。
旧正月を祝う春節祭が七日に迫る中
今や神戸の冬の風物詩となった春節祭
そのお祭りへの影響が心配されている。

安いコストを求めて右往左往する日本の食。
安全という絶対真理の下で
結局また多くの食べ物が破棄され
それに関わった多くの人の努力や
時間と賃金といったものまでが、何も
報われることなく捨てられていく。

何故か割り切れぬもったいなさが心を切る。

賽の河原の石積み?
そんな難しいことを考えなくもないが

私は今日はただ
美味しい手造り餃子を家で造りたいのだ。
手間と時間をかけた分ビールが美味しい。
ただそれだけのために。
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