露草は秋の季題である。
ホトトギス新歳時記では九月の候に載る。
畑や湿地、路傍、小川の縁などどこにでも
群生する。月草とも蛍草とも帽子花とも言う。
又は鴨跖草(おうせきそう)とも青花とも。
いろんな別名を持っている花である。
それだけ皆に愛されてきたということだ。
朝咲いた花が昼には萎むということから
露に見立てて露草と名付けられたとも。
一日花で英語ではDayflowerと言うらしい。
花の青は染料にもなり、友禅などの染め物の
下絵を描くための絵具として用いられたという。
また鴨跖草という漢方薬にもなるし食用にもなる。
身近にありながら何とも有用な花なのだ。
十薬(どくだみ)と同クラスの花である。
さて、いざこの季題を俳句で詠もうとすると
なかなか咲いているところを見かけない。
どこでも咲いているようで、いざ探すと
見つからないのである。昔に比べてあまり
身かけないのは、露草にとっての環境が
なくなって来ているからなのだろうか?
そうこうしている内に、やっとというか偶然
とあるマンションの影になっている植込みに
しおらしく咲いているのを見つけました。
それにしても何とも言えない青です。
露草を摘めば零るる夜べの雨 汀子