雨の中「kino cinema神戸国際」で映画を観る。
この雨なのでたぶんガラガラだろうと思ったが
そうでもなかった。観客はほぼ年配の方ばかり。
おばさまたちがほとんどだったが、それでも
混むほどではない。入場のもぎりで栞を頂いた。
『土を喰らう十二ヵ月』
信州の古民家に住むとある作家の
料理を中心とした十二ヵ月を追った物語である。
横糸に女性編集者との交流というか、淡い恋心も
あるのではあるが、それはこの映画では
大した軸ではない。あくまでこの映画は
そこでとれる和の食材を中心とした食の物語だ。
原作は水上勉の料理エッセイ
「土を喰う日々 わが精進十二ヶ月」。
監督・脚本は中江祐司。主演は沢田研二、松たか子
脇役に火野正平、檀ふみ、奈良岡朋子、西田尚美等。
主人公の義母役を演じたのが、なんと奈良岡朋子さん。
これはちょっとサプライズ。全然気付かなかった。
立春から順に二十四節気を追って映画は展開する。
季節の食材と料理の数々。
正に四季折々の食が綴るドラマである。
わたしの視点から観ると
まるで歳時記を繰っているような映画であった。
全編、季題に溢れている映画といった感じ。
そういう意味では俳人必見の映画かもしれない。
シズル感溢れる食材と料理の数々。もちろん
映画だからそこは人間のドラマがあるのだけれど。
二時間近い尺ではあったが、食材を料る場面など
見ているだけでも全然退屈しなかった。
私の大好きな映画チャン・イーモウ監督の
『初恋の来た道』を彷彿とさせる映画でもあった。
沢田研二も好演している。
強いて言うなら、ちょっと疑問に思った点をあげると
まず、沢田研二のあの体型は少し興趣を削ぐ。
こんな和の食材を食べているなら減量して欲しい。
それから雪解水で大根を洗うシーン。その水は
手を刺すような超痛い水である。あんなに普通に
洗えるのかなと疑問に思ってしまった。
信州の人は慣れているのかも知れないけれど笑
一年をしっぐり構えて撮られた映画だと言う。
それは製作費とか色々考えても称賛に値する。
そういう意味でも良い映画であった。
できれば映画のタイトルは
「土を喰らふ十二ヵ月」として欲しかったが。
最後に
「喰らうは生きる。食べるは愛する。
いっしょのご飯がいちばんうまい。」
このコンセプト。
歳を重ねるとまさしくご同慶の至り。
ちょっと言葉の使い方が違うかな笑