平安夢柔話

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創作平安王朝料理その1 ~秋の日帰り京都旅行6

2009-01-18 11:10:35 | 旅の記録
 前回の更新から時間が経ってしまいましたので、まずちょっとおさらいを…。

 2008年10月24日、京都に日帰りで行ってきました。午前中は風俗博物館へ。4分の1に縮小して再現された光源氏の邸宅、六条院春の御殿の中に展示された「源氏物語」のシーンを堪能し、実物大展示室で遊んできました。

 そして次はいよいよ、平安神宮の近くの京料理のお店「六盛」さんで行われる「創作平安王朝料理を食す会」に参加します。

 今回もだんなさんと一緒に京都を訪れたのですが、今回彼は、平安神宮とその周りをゆっくり散策したいとのことで、お食事会はパスすることに。それで私はお言葉に甘えて一人で参加することにしました。平安神宮で参加メンバーの方々と合流。偶然にも、お食事会の参加メンバーは、5月の京都文化博物館での装束体験参加者と全く同じメンバーでした。

 さて、六盛さんの玄関は、いかにも料亭といった感じのしゃれた玄関でした。お店の方の暖かい歓迎に大感激。そしてまず通されたのが待合室のような所。でも、丸い大きなテーブルに人数分の椅子が用意されていて、ここで食事をしてもおかしくないしゃれたお部屋でした。
 ここでは、参加メンバー6人で六盛さんから配られたお料理の説明書を見て予習をしたり、「源氏物語散策帖(らくたび文庫」という本を見せて頂いたりしました。この本には、六盛さんの創作平安王朝料理の紹介が載っているのだそうです。
 また、「道長は蘇にはちみつをかけて食べていたんですって。」「だから糖尿病になったのね」「道長の家系って絶対に糖尿病の家系よ。だって、お兄さんも甥御さんも糖尿病だもの」など、マニアックな話にも花が咲きました。

 そうこうしているうちにお店の方がお迎えに来て、食事をする部屋に案内していただきました。畳敷きの広い部屋です。

 まずここでお店のおかみさんから、創作平安王朝料理の説明を受けました。このお料理は、当時の史料に基づいて5年の歳月をかけて研究されたお料理なのだそうです。ただ、今となっては手に入らない食材もあるようです。例えば鹿の肉は、現在では鹿が禁猟になっているので手に入らないとか。なので他の材料で補ったり、現代風に少しアレンジを加えたりしてあるようですが、それでも平安時代の貴族の食事の雰囲気は充分味わえそうです。料理は一進から十進まであるようです。全部食べられるかちょっと不安ですが…。

 というわけでお食事が始まりました。最初に食前酒、白くにごった濃厚なお酒です。おいしかったのですが、私はアルコールにとても弱いので、少し飲んだだけであとは残してしまいました。

 次はいよいよ一進のお料理です。


  


 なお、この写真は『花橘亭~なぎの旅行記~』の なぎさんの撮影です。快く転載を許可して下さいましたなぎさん、ありがとうございました。

 右側にある四つの小さな器は四種器(よぐさもの)です。これは調味料で、塩、酒、酢、醤(ひしお)です。醤は後世の醤油の祖となったものだそうです。これを好みに応じて、銀のスプーンですくってお料理に味つけをしていただくのだそうですが、今回の料理はわりと味つけがしっかりされていて、薄味の好きな私はあまり使いませんでした。
 なお、身分の低い者の調味料は塩と酢の2種類だったそうです。なので私たちは、身分の高い貴族の最高の食事を味わったわけですよね。(^^)

 一方、左側にあるのは一進の祝菜(ほがいな)です。これは西洋料理でいうとオードブルに当たるものです。

 中央にあるのは御物(おもの)と言って、白米を高く盛りつけたものです。これでお茶碗3杯分あるとか。堅くぎゅっと盛りつけてあるので、箸で少しずつほぐしながら頂きます。なお、この御物は残しても良いしきたりになっていたとのこと。

 御物の周りにあるのは「おまわり」と呼ばれるもの。平安時代は、お料理を一品ずつそれぞれのお皿に盛りつけて食べました。現在のように、複数のお料理を一枚の皿に盛りつけることはなかったそうです。そして、おまわりの数が多いほどご馳走だったところから「かずもの」の別称が生まれ、やがてそれが「おかず」と呼ばれるようになったということです。

 さて、その「おまわり」の中身ですが…、焼きたこ、干しあわび、いのししの肉、鰹の干したもの、山芋の上に海鼠腸(このわた)がのったもの、きじの肉を塩漬けにして干したものなどが並べられていました。どれも滅多に食べられないものなので味わって頂きました。どの料理もなかなかおいしかったですが、特においしかったのは蘇(そ)と、鱚(きす)の肉を干したものに大根おろしが添えられた料理でした。

 実は私、六盛さんの王朝料理を食べるのは今回が初めてではなく、2003年5月に仁和寺で行われた「日本文化フォーラム21 紫の心 ~源氏物語の世界」というイベントで一度食べたことがあるのです。その時出たのはこの祝菜と、今回八進で出された姫飯でした。
 その時も鱚の干したものはとてもおいしかったです。今回と同じように大根おろしが添えられていました。でも、蘇はいまいちでした。何か味のないクッキーのように思えたのですよね…。

 ちなみに蘇というのは、牛の乳をじっくりと時間をかけて煮詰めて造ったもの、現在のチーズのようなものです。おかみさんのお話によると当時は山羊の乳を煮詰めていたそうですが、現在では山羊の乳は手に入らないので牛の乳を用いているようです。
 それはともかく、今回頂いた蘇は、濃厚なチーズのような感じでコクがあり、5年前に頂いた時よりもはるかにおいしかったです。道長さんのようにはちみつをかけなくても充分おいしいと思いました。今でも、家でチーズを食べると、この時の蘇の味を思い出し、とっても幸せな気分になることができます。

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