漢方薬剤師の日々・自然の恵みと共に

漢方家ファインエンドー薬局(千葉県)
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睡眠のしくみ・メラトニン受容体に作用するロゼレム

2010-11-02 | 調剤薬
『メラトニン』という名前を聞いたことのある方も多いことでしょう。
眠りに関係するホルモンです。

人が眠くなるメカニズムは二つあって、
夜になると眠る「体内時計機構」
暗くなるとメラトニンの分泌が増えて眠くなる
しばらく眠っていないと眠くなる「恒常性維持機構」
覚醒していると脳内に睡眠物質がたまり、たまった睡眠物質が覚醒系を抑制して眠くなる

については、
目からの情報に脳が反応しています。
つまり目に入る光量の情報を目の奥の脳『視交叉上核』がキャッチして
『松果体』へ送信し、暗くなると『松果体』はメラトニンをたくさん分泌して
これが『視交叉上核』のメラトニン受容体にくっつくと眠くなると考えられています。

したがって不眠症の方は、昼と夜のメリハリをつける生活改善も有用な対策です。
・起床したら日光を取り入れる
・休日でも同じ時間に起きる
・食事を規則正しい時間に摂る
・日中によく動き夜は静かに過ごす
・夕方以降に昼寝をしない
・夜は部屋の明かりを明るくし過ぎない
・寝る前のカフェイン摂取をやめる
・寝る前の喫煙をやめる
・寝酒は、中途覚醒をおこしやすいのでやめる
・寝る前はリラックスタイムをつくる
などなど。

また睡眠不足は太りやすいというデータもあるので夜は早めにゆっくり寝ましょう。
睡眠と肥満の関係

そこで新しく発売された処方箋薬の睡眠困難改善剤「ロゼレム」の
成分ラメルテオンは、メラトニンのような作用を示して眠りを誘うという製剤。
これまでよく用いられていたベンゾジアゼピン系のような脳の抑制作用がないので、
日中に眠気などの不快感が残らないといわれています。
どちらかというと新規不眠患者(不眠歴が短い患者)向き。
長期の不眠患者や高齢になるとメラトニンバランスを整えるだけでは間に合わないようです。
デプロメールやルボックスとは併用しないこと。

 
収穫を迎えた落花生畑・根っこを引き抜くと落花生がどっさり。逆さにしてしばらく干します

ところで満足できる睡眠時間って人によってすごく異なるそうです。
平均すると6~7時間ですが、10時間以上必要という人もいれば
3~4時間で十分という人もいます。
たまに、体調不良はないのに、7時間寝なくてはダメと思いこんで心配している人が
いますが、もっと柔軟に考えるべきでしょう。

したがって不眠症の尺度は難しく、個人の感覚(満足度)によることになります。