江戸糸あやつり人形

江戸時代から伝わる日本独自の糸あやつり人形。その魅力を広めるためブログを通して活動などを報告します。

ドイツ公演 まとめ

2010-10-05 23:54:16 | 2010 ドイツ公演

「ドイツで公演しない?」
そう声を掛けてきたのは、ドイツ在住の30年来の知人サチコ。一昨年20数年振りに
私たちの公演を見ての感想だった。熱心な誘いにこれも縁かと思い、昨年の公演を
目指して動き始めたが、始めたのが遅かったこともあってまとまらず、ひとまず断念。
改めて体制を組みなおし、ドイツ人でビジネスマンである知人のご主人ユルゲンの
協力を得て、実現に漕ぎつけることができた。

今回不思議に思ったのは、各地のチラシなどに必ずといっていいほど「黒髪」の
写真が使われたことだった。日本髪を結っているからかとも思ったが、
実際に各会場とも「黒髪」が最も拍手の時間が長かったと感じた。
何かドイツ人と共鳴するものがあるのかもしれない。

ドイツ人は実にリラックスして観劇する。だから和やかな雰囲気が生まれ、ここという
ところでしっかり反応が返ってくる。
公演が続くとふと気の緩むときがあったりするのだが、今回はそういうことが全く
なかった。
日を追うごとに気が充実してくる感じがした。これはドイツ人の見方に負うところが
大きいように思える。

また今回の公演で初めて知った事は、ドイツの劇場や舞台には「保険」がかけられて
いること、しかも相当の規制力を持っていることだった。
16年前にある劇団の舞台監督でフランクフルトに行ったときにはそういう話しは全く
聞かなかったから、新しくできた制度なのだろう。
ドイツは訴訟大国で弁護士保険というのもあるそうだから、そういったところから
舞台に保険が掛けられるようになったのかもしれない。
この制度は他の国々にも広がっていくのだろうか。
これからは行く国の、舞台を取り巻く制度や環境を調べる必要がありそうだ。

各地を回る中で、来年1月から日独交流150周年事業が始まると知った。
カールスルーエでは、今年の11月からプレイベントが始まるそうである。
私たちに助成金が降りなかったのは、そのせいもあるのかもしれない。

知人夫婦は少しでも渡航費の足しにしようと各地と交渉し、差があるにしてもお金を
引き出すことができたのは、大きな成果だった。
交渉中に「日本からはタダでよいから出させてほしいといくらでも言ってくるのに、
お金を求められたのは初めてだ」と言われたこともあったそうだ。
貧困地で文化紹介する公演ならいざ知らず、豊なところでの公演は例え文化交流に
しても、日本側が全て持つのは考え物であろう。
といっても今回の成果は地元に協力者がいて初めてできたことであって、
自分たちだけではできなかった。語学力、交渉力など問題は多い。
今後また海外公演を企画するときは、少しでも理想に近づけるように努力したい。

今回はサチコ・ユルゲン夫妻と財団法人 双日国際交流財団の協力がなければ
このような成果は得られなかっただろう。
この場を借りて心よりお礼を申し上げたい。

誠に有難うございました。
コメント
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