マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

NHKスペシャル『黒い津波』を見て(その1)

2019年03月07日 | 地学・天文

 間もなく、3・11東日本大震災から8年目がやって来る。
 3月3日(日)にNHKスペシャル『黒い津波』を見た。ご覧になった方も多いことだろう。
 ”黒い津波”に底知れない恐ろしさを感じるとともに、一個人の機転に続く専門家の調査・実験・分析などにより、”黒い津波”の実態の一端が、8年目にして漸く明らかになったことに驚かされもした。

 地震発生から40分後、初めに近づいて来た津波は透明で地面が透けて見えていた。しかし僅か1分後に押し寄せて来た津波の色は黒かった。時間が経つにつれてドス黒くなっていった。八戸・宮古・大船渡・気仙沼・塩釜。三陸のリアス式海岸など入り組んだ湾や港のある場所でも同様なことが起こっていた。津波は何故黒さを増していったのか?

 8年前採取された津波がそのままの状態で見つかった。1432名が犠牲になった宮城県気仙沼に住む、ある男性は翌日津波をペットボトルに詰め、8年間そのまま保存していた。異様な黒さに驚き、あの日の津波を伝えるのに役立つのではと思いたち、長年保管して来たものをNHKに渡した。
 その保管液体を、津波のメカニズムを研究する中央大学理工学部有川教授らが分析・調査した。分かってきたこと
 ①黒い部分の多くは海の底に沈殿していたヘドロ。油や重金属などの有害物質も混ざっていた。粒子の大きさは1000分の1ミリ単位。その細かさが様々な脅威に繋がっていった。重さは普通の海水の1.1倍。重さが、20%、25%、30%増の海水も発生していたのではないかと推定される。

 ②津波は重くなるほど押し流す力が強くなる。力を増した津波が人々が逃げるのを難しくした可能性が高い。津波の高さが50cm程度で足をすくわれ転倒し、亡くなった方がいる。遺族の痛恨の感想「兎も角、なにもかも捨てて逃げること」

 ③壁にぶつかる時の瞬間の力は水は256Kg重/平方メートル。”黒い津波”は驚くべきことに、その2倍の556Kg重/平方メートル。著しく破壊力が増す。






 ④一般に浮力は密度が高いほど大きくなる。”黒い津波”は押す力だけでなく浮かせる力も大きかった。1mか50cmの浸水で浮かされ、流されてしまった家屋が多数ある。気仙沼での全壊家屋16000棟。




 ⑤発生源となった海底を調べると水深は震災前より7mも深くなっていた。黒いヘドロ100万トン(推定値)が海底から削り取られた。気仙沼湾を目がけて大量に押し寄せた津波は湾などの狭いところに来ると行き場を失い、通り道を拡げようとして海底を大きく削り取った結果だった。

 ⑥
市街地では急速に水嵩を増していった。津波到来から30秒足らずで危険水位に達していた。逃げられなくなるような水位に達する時間が短くなり、10秒、30秒が生死を分ける重要な要素になって来る。
 黒い津波の急激な水位上昇に見舞われた鹿折地区では206人が犠牲になった。僅かな時間の差が人々の生死を分けていた。例えば酒屋を営む女性の方は自宅の2階で津波が迫っていることに気が付き階段を駆け下りて、玄関にいた夫を引き上げよと手を伸ばし、手を取ったその瞬間に凄い波がきて夫はすっぽり水に飲み込まれてしまった。

 ”黒い津波”は辛うじて生き延びた人々のその後の日々にも大きな大きな脅威となっていった。(続く)


 

 

 


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