崔吉城との対話

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井出弘毅氏書評

2021年04月28日 06時02分18秒 | 研究業績
 私の昨年の拙論文に井出弘毅氏が書評を書いてくださった(『白山人類学』24 号2021)が届いた。フィールドワーク・インタビュー調査・文献調査において帝国日本の移動に注目したものである。私は長い間共同研究を行いながら時には観光客より深く現地調査すべきだと苦言したことがある。現地調査の生の資料より文献研究の傾向があるように感じたからである。
 拙稿「植民と研究の断絶と継承──秋葉隆を中心に」は私の恩師の恩師に遡る植民地研究である。それに評者は秋葉隆が「他者に資料収集を依頼する,あるいは補助を頼むことで,結果的に現地の研究者が育っていったということ」を指摘している。そして「その弟子たちにとっては,教師を植民者としてより,研究者や教育者として評価したということ」に言及し,「『親日と反日』という枠を超えて教育,研究の世界への理解があったとしか思えない。文化人類学と植民地状況を今の視点や価値観で批判することはできない。当時の研究状況を理解しなければならない」と述べている。
 

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