崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「東条アイスキャンディー」

2015年09月03日 05時29分43秒 | 旅行
上海で抗日戦勝利70周年を記念して、戦犯として処刑された日本の東条英機元首相の顔をかたどったアイスキャンディーを売り出して「国辱を忘れまい」「日本の戦犯を食べよう」(写真AFP)という報道がある。中国の反日的な談話でもない遊びっぽい悪戯にすぎないようなことになぜか関心がいく。私はシャーマニズムの儀礼の中にある「成桂肉」を思い出した。朝鮮王朝の太祖の李成桂に負けた崔将軍の恨みを民衆は忘れないとして、李成桂を食べる、つまり恨みを払うと口承文芸では語っている。私の恩師の尹泰林先生はこのような方法で恨みを払うことは心理的には悪くはないと述べている。今も世界各処では人形、絵、旗などの火刑が行われている。政治家は火刑にされて有名になることもある。しかし残酷なこと人権の問題である。中国の故事成語に「臥薪嘗膽」というのがある。私の中学時代の漢文の先生は復讐するために苦痛な生活をすることは「いけない」と教えてくれた。私はそれをいまだに信じ、守っている。
私の母は日本人が敗戦して惨めに逃げながら「よし、今に見ておれ」ということばに恐ろしさを感じたという。それは日本人は必ず復讐することを経験的に知っていたからであろう。それも私は今だに信じている。日本人との不和、喧嘩は怖い。和解がほぼできない文化を知っているからである。しかし安倍談話では敵国であったアメリカに感謝のことばが入ったので感動を受けた。その点、ソウル大学李栄薫教授の安倍談話への肯定的な評価文を読んで同感した。安保、安倍などにアレルギーはあるが、もっと平均感覚で社会の空気を読んでいかなければならない。