「ヘンゼルとグレーテル」の童話を思い出しますね。魔法使いババアが子どもを「太らせてから食おう」という話しだったと思うが、これと似てるのが貸金業だ。先日の毎日新聞の記事をもう一度取り上げて考えてみたい。
こうして蟻地獄へ
スタートの借金50万円だが、少ない金額とも言えないが、収入や資産状況にもよるだろう。金融庁が検討している「特例金利」では、「少額」だそうだ(爆)。この男性の場合、知人に騙されたのだから可哀想だし、住宅購入で預貯金も使い果たしてしまった後だったから、再就職したとはいえアンラッキーであったことは確かだ。まあこれは仕方ない。当時は上限金利引下げ前だったので多分40%くらいの高金利だったかもしれない。それでも、毎月2万円返済すれば、4~5年で返せたはずだった。これがどういう契約だったのかは不明だが、決まった額を決まった期間返済するということでもないのかもしれない。最低15000円入金すればいいですよ、とかそういう仕組みだったのかもしれない。この男性は、01年まで約8年返済を続けてきたのだが、借金は逆に120万円に増えているのですね。途中、滞納したりしたかもしれないし、再就職先を退職したりして収入が減少したのかもしれないし、詳しい事情というのは判らないが、「元金は減っていなかった(逆に増えた)」「新たな借入を行った」というのは確かだ。こんなことがどうして起こってしまうのか?男性は、JR九州の車掌を勤めていた、ギャンブルも酒もやらない真面目な人のようだし。正しい判断ができない程、能力の問題があるとも思えない。それでも、いつの間にか借金は50万円から120万円に膨れ上がっているのだ。これはまんまと「太らされた」としか思えないのですね、貸金に。
いくつかの消費者金融のHPなどで少し調べてみましたが、判ったことがちょっとありました。
返済方法は「元金定率リボルビング」「残高スライド元利定額方式」「借入金額スライドリボ」「元利定額リボ」「元利込定額」とか、会社毎に違いがあったりして複雑なのですね。何となくは判るが、基本的にはよく判らないですよね。正確な違いとか計算方法の違いなんかが、どうなのか判らないこともあるのではないかと思えます。実際、私にはよく判りませんでした。契約すれば、きちんと教えてくれるのだろうと思いますけど。
で、ありがちなのは、10万円区切りごとに最低入金額が3000円ずつ増えるタイプです。スライド方式のものですね。10万円借りると少なくとも毎月3000円入金すればよく、20万円になると6000円以上返せばいいのです。これは、払える人の場合には、ある時にいくらでも返せるので便利なようでもありますが、「太らせる」ための罠であるかもしれません。
例えば、アコムのシミュレーションをやってみると、10万円借入で3000円ずつ返すと、返済が終われないのです!契約は5年以内60回までなのですが、63回かかってしまうため、新たな借入として自動的に契約が更新されることになるのだろうと思います。5年払い続けてもまだ借金が続いているのですよ(笑)。どこかの時点でもっと多く払えば、返済は60回よりも早く終了するので、問題ないのですけどね。合法だよ、合法。で、15万円借りると、やっぱり最低入金額は3000円ですから、返済が終了することはありません。最低額がジャンプするのは20万円に到達してからなのですよ。なので、途中で3000円よりも「意図的に」か「頑張って」多く払い込まないと、返済は終了しないのですよ。これは人間の行動特性をよく理解しているということですよね。「3000円さえ払えばいい」という錯覚をもたらす可能性があり、返済が苦しいと思う人ほどそれを選択しがちになる、ってことですよ。10万円以上~20万円未満のゾーンではとりあえず3000円だけ払っていればいいのですから(60回以内で返済を完了しようと思えば毎回4613円入金しなくてはならない)。
このように入金していくと、利息部分に優先的に充当されていくので、元金は中々減っていかないのです。途中で新たな追加借入を行えば、次のゾーンにジャンプするまでは入金最低額は変化がないので、「返済負担が変わった」という実感が少なくなるということです。うまく考えられている方法ですね(笑)。「とりあえず3000円でいいですよ、ある時に多く払ってくれればいいんですから」という、一見温情的というか猶予があることによって借り手の心理的障壁を下げ、返済負担を先延ばしにさせる(=金利収入を多く取れる、借入期間を長くさせられる)効果があるのです。
もう一つ不思議なものがあって、返済期日が35日周期、というのがあります。つまり「ちょっとだけ長めに返済期日が設定されている」というものです。普通は、給料日のように毎月決まった返済日があると思うでしょ?そういうのもあるのですが、35日周期という方法が何故かあるんですよ(笑)。これも、一ヶ月よりも少しだけ「猶予」を持たせており、35日来る前に入金してくれればよい、ということです。これを考えた人は素晴らしいですよ!行動経済学の研究者になれますよ、きっと(爆)。これがなぜうまい効果なのかというと、多重債務者の多くがハマりやすい、「自転車操業」状態ですけれども、これが何故起こるのかというと返済管理がうまく行ってないことが大半なのです。大抵の自己破産者が言うのは「いくつもから借りてしまい、ワケがわからなくなってしまって」ということです。まさにこれが狙いなのですよ。本人は「返しているつもり」が、実は元金を減らせていないということであり、そこに誘き寄せるための「コンフュ」状態(FFが好きな人なら知っているよね)なのですよ!confusionによって、返済管理を破綻に導くための方法なのです。35日周期というのは、通常の人にとっては不慣れなのであり、月間が30日とか31日とかあると、変動するんですね。返済期限が変動する=期日が守れなくなったりする、ということですね。8月1日に借りたとすると、9月4日までに(この2週間前から)入金しておけばよく、入金日が9月2日だとすると、次回は10月7日までの期日になるということです。「前回入金日から35日後まで」という微妙な期日設定によって、これを何度も繰り返していけばワケがわからんことになっても不思議ではないですよね(毎月決まっている方を選択しておけばいいのですが、これが果たしてどうなのか、一度でも遅れると変えられるかもしれないし)。「一ヶ月よりも返済期間の余裕のある方がいいですよ」とか勧められたり、期限が5日でも長い方がいいと本人が考えたりすれば、もうトラップにまんまとかかっているようなもんです。借り手の心理をうまくついていますよね。
他には、定額リボ払いというのもあって、クレジットカードにも似たようなのがあると思いますが、月々の返済額を例えば1万円と固定しておく方式ですね。これは借入残高が増えても、直ぐには何も変わらず、限度額までは期間が延長されるだけです。借金が増えたという実感が薄れやすいのではないかと思えます。「25回かかる返済」と「40回かかる返済」が、感覚的につかみにくい、ということですね。「今、目の前にある苦しみ、負担感」ということが影響が大きいような気がします。毎月負担額を増額すれば(2万円とかに)借入総額も増やせるのかもしれませんが、正確には判りません。会社ごとで違うと思います。
こうしてみると、本当に「商売上手」といいますか、うまく引き込み多くの金利を払わせるための工夫が凝らされていますよね(笑)。
これ以上に大問題だと思ったのは遅延損害金です。以前の記事(ある貸金業者を想定してみる)に架空の物語を書きましたが、これは違法だったのですね。特に取り決めがない場合には、年利6%で払えばよいことになっていますが、通常は貸金側が遅延損害金を規定していることが多いと思います。ただ、注意するべきは「消費者契約法」という法律がありますが、これによれば支払遅延に対する損害賠償等が『年利14.6%』を超える部分については無効、ということになっています。消費者契約の条項に高額な賠償が定められていても、最大でも年利14.6%を払えばよいのです。現実はどうでしょうか?
消費者契約法 - Wikipedia
アコム、武富士は不明でしたが、アイフル、プロミスは遅延損害金は29.2%、レイク21.9~29.2%などとなっています。銀行系のアットローン(三井住友系)、モビット・DCキャッシュワン(三菱東京UFJ系)はいずれも21.9~26.28となっています。クレジット系など他の所もみんな似たような感じでしょうか。これらの遅延損害金は14.6%を超える為、無効なのではないかと思えます。
通常、返済した時の充当としては、「遅延損害金、諸手数料」が優先されるため、元金充当部分は当然減らされていると思います。最低3000円入金すればよい、と思っていても、実際には延滞などがあればこうした損害金などに先に充てられるため元金部分の返済には回されるのが減ってるのです。それ故、債務者が支払いを続けているのに、元金が思ったほど減っていかないということも起こりがちなのではないかと。
冒頭の男性の例のように、「雪だるま」にされるのにはそれなりのワケがあるのですよ。貸金側が巧妙なトラップを用意して、待っているからです。そして、月々の1万円とか2万円を払うのさえ苦しい、という水準になっていると、これより数千円足りないという状態であっても「新たな借入」を行わねば返せないという事態を生じ、「返すために借りる」という事態を招くのです。そこから先は、複雑なシステムとの戦いであり(笑)、自転車操業をキッチリとこなしていかない限り、途中で再び借入なければならなくなるのです。そうして、1社から2社、2社から4社という具合に増えていくに従って、「管理」は確実に困難になっていき、遂にはconfusionを招来するのです。毎月か月ごとに変わる返済期日かに合わせて、「どこ」に「いくら」というのを自分の中で把握し続け、ミスなく返し続けていかねばならんのですよ。それほどの管理能力があるのであれば、恐らく初めから多重債務に陥ることもないだろうし、いくらかでも貯金することも可能ではないかと思えます。どうでしょうか?
「返す為に借りる」という意味が判ってない人もいるようですが、「最低入金額」にさえ満たない額の収支変動でさえも他で吸収できなければ、「返済できない」という事態(=新たに借りてしまう)が起こってしまう、ということなのです。
既に借入しているのに、貸せる業者はいくつもある訳ですが、ネット上で探すと、6社以上の借入先があっても貸せる所があるようです。実際そこに申し込んでないので、本当に貸してくれるのか確かめられないのですけどね。
SBIイコールクレジット、プリーバ、クオークローン、クレディア、スタッフィ、武富士
といった所は可能性があると出てました。
4~5社でも、
ニッシン、SBI、ディック、レイク、楽天、モビット、ユニマット、クレディア、ノーローン、オリエント
は可能性があると出ていました。そうですか。
自己破産の借入先件数は平均では7社くらいでしたから、相当危ないね。でも借りられるんですよ。7社から借りてても貸す、とか出てる所もあったけど。こういうのは、別な悪質業者への誘導の罠とかなのかな?アコムの簡単審査もやってみたけど、ここも4社なら私くらいならば「融資可能と思われる」ってさ。借入残高が600万円超でも(笑)。4社ってのは銀行やクレジットは別ですからね、一応。
学生ローンにも4社までならOKというのがあるようですよ。学生だから、収入なんて限られてるよね?でも貸してくれる可能性大なんだそうだ。「フレンドトラスト」という業者らしいです。まあ、ネット上で書かれてることですから、鵜呑みになんてしてはいけないですよね。
「短期・少額」なのに、「借りられなくなる人」というのはどんな人なんでしょうね。「資金が絞られる」というのはどういう状況の人なのでしょう?「高い金利じゃないと貸せない人」ということであれば、「他社の貸金から既に複数借りている」ということでしょうかね。それなら、単なる「貸し込み業者」ってことだね。新たな「貸し込み」が停止されれば、破産が増える可能性はあるが、所詮時間の問題でしょうね。処理が早まるだけだ。貸倒損失の総額が減るから、業界にとってはむしろ「御の字」だよね(笑)。7社が債権を持つところが、6社になっただけ、というようなもんではないかと。
新規なのに「短期・少額」で貸さない業者ってどうなんでしょう?損益分岐点が最低貸出金利で18%以上の業者ってことですか?もっと低金利の10%以下でさえ複数業者があるので、借り手が情報を知っているかどうかでしかないように思えますね。ネット環境は無理でも、電話か携帯ならアクセス可能だし。即振OKだしね。審査も早いときたもんだ。それで問題ないよね、新規であれば。18%以上でしか貸せない業者には、退出してもらうしかありませんね。「代替機能が存在しない」ということはないですね。
他にはどんな場合が想定されるのでしょう?「過去の信用情報で長い延滞などの”傷”があるが、現在は借入残高はない」「自己破産したことがあるが、10年以上経過してる」とか?自己破産から10年経過していれば、関係ないよね。信用情報の登録期間はもっと短いはず。自社のデータでは判るかもしれんが。なので、信用情報機関の情報だけで見れば、借りられそうだよね。他の「スネに傷持ち」だとどうなのか知らないけど、今残高がある訳でなければ、貸す業者はいるかもね。だって、既に完済しているわけだから、最終的には払ったんだし。
「「短期・少額」なのに、融資を絞られる顧客層」というのは、どういう場合なのか、具体的に挙げてみてくれ、金融庁。時限措置で3年とか特例金利を作ろうとしているようだから。「借りられなくなる顧客層」ってのが、多重債務者以外にどういうのがあるか、絶対に教えて欲しい。
それから、世の中には、とんでもない理屈を並べるヤツがいるんですね。全く理解できないけど。
「ご利用は慎重に」
「1500万人を対象にした薬がある。副作用に苦しむ人が1割いる。そのうち重篤な副作用で死ぬ人が1割いる。つまり、死亡者はたったの1%に過ぎず、残り9割は問題などない。故に、この薬には何ら問題なく、行政が介入するのはオカシイ」
こういうことを言い続けるヤツがいるんですよ。マジで。
ならば、ニートだか何だかの40数万人程度に予算なんかつけるんじゃねえよ。断固として反対運動や批判をやれよ。エレベーター事故だの、ガス器具事故だの、シュレッダー事故だの、自動車不具合のリコールだの、高々数人程度の死傷者の問題に、いちいち介入している行政ってのは本気でバカで無駄ってことで、そういう省庁の官僚ってのは揃いも揃って無能者ばかりなんだね。そんな無能者に何で国民は給料を払わねばならんのだ?(笑)
上の例で言えば、高々1割、150万人くらいの問題にガタガタ言うな、って主張の人がさ、どうしてこういう「無能ばかりの官僚」を非難しないのか不思議でしょうがないよ。1350万人は問題なく使えるじゃないか、悪いことなんかない、ってことだろ?耐震偽装問題だかもさ、大した問題なんかじゃないだろ?せいぜい数百人とか数千人とか、まあ、10万人も被害にあったりしてるわけじゃあるまいし、他の大勢には何ら問題なんかないんだから、こういう問題を行政が介入するのはオカシイよな?そんな無能ばかりの官僚どもは、いらねえんだろ?
この異常さに何とも思ってないというのが、凄いところだろうけど。どうせ自分じゃないからね、破産すんのは。
ドツボな連中だけが、カモられて、むしられたって、いいのさ。
自らの経済学理論において正しければ、それが最上なのだよ、諸君。
私には金融庁の官僚は頭が悪いとか、無能だとか、そういうことは知らんが、割とマトモだと思う。人間らしい、はるかに。少なくとも、国民の目から見て、支持できるのは確かだ。
こうして蟻地獄へ
スタートの借金50万円だが、少ない金額とも言えないが、収入や資産状況にもよるだろう。金融庁が検討している「特例金利」では、「少額」だそうだ(爆)。この男性の場合、知人に騙されたのだから可哀想だし、住宅購入で預貯金も使い果たしてしまった後だったから、再就職したとはいえアンラッキーであったことは確かだ。まあこれは仕方ない。当時は上限金利引下げ前だったので多分40%くらいの高金利だったかもしれない。それでも、毎月2万円返済すれば、4~5年で返せたはずだった。これがどういう契約だったのかは不明だが、決まった額を決まった期間返済するということでもないのかもしれない。最低15000円入金すればいいですよ、とかそういう仕組みだったのかもしれない。この男性は、01年まで約8年返済を続けてきたのだが、借金は逆に120万円に増えているのですね。途中、滞納したりしたかもしれないし、再就職先を退職したりして収入が減少したのかもしれないし、詳しい事情というのは判らないが、「元金は減っていなかった(逆に増えた)」「新たな借入を行った」というのは確かだ。こんなことがどうして起こってしまうのか?男性は、JR九州の車掌を勤めていた、ギャンブルも酒もやらない真面目な人のようだし。正しい判断ができない程、能力の問題があるとも思えない。それでも、いつの間にか借金は50万円から120万円に膨れ上がっているのだ。これはまんまと「太らされた」としか思えないのですね、貸金に。
いくつかの消費者金融のHPなどで少し調べてみましたが、判ったことがちょっとありました。
返済方法は「元金定率リボルビング」「残高スライド元利定額方式」「借入金額スライドリボ」「元利定額リボ」「元利込定額」とか、会社毎に違いがあったりして複雑なのですね。何となくは判るが、基本的にはよく判らないですよね。正確な違いとか計算方法の違いなんかが、どうなのか判らないこともあるのではないかと思えます。実際、私にはよく判りませんでした。契約すれば、きちんと教えてくれるのだろうと思いますけど。
で、ありがちなのは、10万円区切りごとに最低入金額が3000円ずつ増えるタイプです。スライド方式のものですね。10万円借りると少なくとも毎月3000円入金すればよく、20万円になると6000円以上返せばいいのです。これは、払える人の場合には、ある時にいくらでも返せるので便利なようでもありますが、「太らせる」ための罠であるかもしれません。
例えば、アコムのシミュレーションをやってみると、10万円借入で3000円ずつ返すと、返済が終われないのです!契約は5年以内60回までなのですが、63回かかってしまうため、新たな借入として自動的に契約が更新されることになるのだろうと思います。5年払い続けてもまだ借金が続いているのですよ(笑)。どこかの時点でもっと多く払えば、返済は60回よりも早く終了するので、問題ないのですけどね。合法だよ、合法。で、15万円借りると、やっぱり最低入金額は3000円ですから、返済が終了することはありません。最低額がジャンプするのは20万円に到達してからなのですよ。なので、途中で3000円よりも「意図的に」か「頑張って」多く払い込まないと、返済は終了しないのですよ。これは人間の行動特性をよく理解しているということですよね。「3000円さえ払えばいい」という錯覚をもたらす可能性があり、返済が苦しいと思う人ほどそれを選択しがちになる、ってことですよ。10万円以上~20万円未満のゾーンではとりあえず3000円だけ払っていればいいのですから(60回以内で返済を完了しようと思えば毎回4613円入金しなくてはならない)。
このように入金していくと、利息部分に優先的に充当されていくので、元金は中々減っていかないのです。途中で新たな追加借入を行えば、次のゾーンにジャンプするまでは入金最低額は変化がないので、「返済負担が変わった」という実感が少なくなるということです。うまく考えられている方法ですね(笑)。「とりあえず3000円でいいですよ、ある時に多く払ってくれればいいんですから」という、一見温情的というか猶予があることによって借り手の心理的障壁を下げ、返済負担を先延ばしにさせる(=金利収入を多く取れる、借入期間を長くさせられる)効果があるのです。
もう一つ不思議なものがあって、返済期日が35日周期、というのがあります。つまり「ちょっとだけ長めに返済期日が設定されている」というものです。普通は、給料日のように毎月決まった返済日があると思うでしょ?そういうのもあるのですが、35日周期という方法が何故かあるんですよ(笑)。これも、一ヶ月よりも少しだけ「猶予」を持たせており、35日来る前に入金してくれればよい、ということです。これを考えた人は素晴らしいですよ!行動経済学の研究者になれますよ、きっと(爆)。これがなぜうまい効果なのかというと、多重債務者の多くがハマりやすい、「自転車操業」状態ですけれども、これが何故起こるのかというと返済管理がうまく行ってないことが大半なのです。大抵の自己破産者が言うのは「いくつもから借りてしまい、ワケがわからなくなってしまって」ということです。まさにこれが狙いなのですよ。本人は「返しているつもり」が、実は元金を減らせていないということであり、そこに誘き寄せるための「コンフュ」状態(FFが好きな人なら知っているよね)なのですよ!confusionによって、返済管理を破綻に導くための方法なのです。35日周期というのは、通常の人にとっては不慣れなのであり、月間が30日とか31日とかあると、変動するんですね。返済期限が変動する=期日が守れなくなったりする、ということですね。8月1日に借りたとすると、9月4日までに(この2週間前から)入金しておけばよく、入金日が9月2日だとすると、次回は10月7日までの期日になるということです。「前回入金日から35日後まで」という微妙な期日設定によって、これを何度も繰り返していけばワケがわからんことになっても不思議ではないですよね(毎月決まっている方を選択しておけばいいのですが、これが果たしてどうなのか、一度でも遅れると変えられるかもしれないし)。「一ヶ月よりも返済期間の余裕のある方がいいですよ」とか勧められたり、期限が5日でも長い方がいいと本人が考えたりすれば、もうトラップにまんまとかかっているようなもんです。借り手の心理をうまくついていますよね。
他には、定額リボ払いというのもあって、クレジットカードにも似たようなのがあると思いますが、月々の返済額を例えば1万円と固定しておく方式ですね。これは借入残高が増えても、直ぐには何も変わらず、限度額までは期間が延長されるだけです。借金が増えたという実感が薄れやすいのではないかと思えます。「25回かかる返済」と「40回かかる返済」が、感覚的につかみにくい、ということですね。「今、目の前にある苦しみ、負担感」ということが影響が大きいような気がします。毎月負担額を増額すれば(2万円とかに)借入総額も増やせるのかもしれませんが、正確には判りません。会社ごとで違うと思います。
こうしてみると、本当に「商売上手」といいますか、うまく引き込み多くの金利を払わせるための工夫が凝らされていますよね(笑)。
これ以上に大問題だと思ったのは遅延損害金です。以前の記事(ある貸金業者を想定してみる)に架空の物語を書きましたが、これは違法だったのですね。特に取り決めがない場合には、年利6%で払えばよいことになっていますが、通常は貸金側が遅延損害金を規定していることが多いと思います。ただ、注意するべきは「消費者契約法」という法律がありますが、これによれば支払遅延に対する損害賠償等が『年利14.6%』を超える部分については無効、ということになっています。消費者契約の条項に高額な賠償が定められていても、最大でも年利14.6%を払えばよいのです。現実はどうでしょうか?
消費者契約法 - Wikipedia
アコム、武富士は不明でしたが、アイフル、プロミスは遅延損害金は29.2%、レイク21.9~29.2%などとなっています。銀行系のアットローン(三井住友系)、モビット・DCキャッシュワン(三菱東京UFJ系)はいずれも21.9~26.28となっています。クレジット系など他の所もみんな似たような感じでしょうか。これらの遅延損害金は14.6%を超える為、無効なのではないかと思えます。
通常、返済した時の充当としては、「遅延損害金、諸手数料」が優先されるため、元金充当部分は当然減らされていると思います。最低3000円入金すればよい、と思っていても、実際には延滞などがあればこうした損害金などに先に充てられるため元金部分の返済には回されるのが減ってるのです。それ故、債務者が支払いを続けているのに、元金が思ったほど減っていかないということも起こりがちなのではないかと。
冒頭の男性の例のように、「雪だるま」にされるのにはそれなりのワケがあるのですよ。貸金側が巧妙なトラップを用意して、待っているからです。そして、月々の1万円とか2万円を払うのさえ苦しい、という水準になっていると、これより数千円足りないという状態であっても「新たな借入」を行わねば返せないという事態を生じ、「返すために借りる」という事態を招くのです。そこから先は、複雑なシステムとの戦いであり(笑)、自転車操業をキッチリとこなしていかない限り、途中で再び借入なければならなくなるのです。そうして、1社から2社、2社から4社という具合に増えていくに従って、「管理」は確実に困難になっていき、遂にはconfusionを招来するのです。毎月か月ごとに変わる返済期日かに合わせて、「どこ」に「いくら」というのを自分の中で把握し続け、ミスなく返し続けていかねばならんのですよ。それほどの管理能力があるのであれば、恐らく初めから多重債務に陥ることもないだろうし、いくらかでも貯金することも可能ではないかと思えます。どうでしょうか?
「返す為に借りる」という意味が判ってない人もいるようですが、「最低入金額」にさえ満たない額の収支変動でさえも他で吸収できなければ、「返済できない」という事態(=新たに借りてしまう)が起こってしまう、ということなのです。
既に借入しているのに、貸せる業者はいくつもある訳ですが、ネット上で探すと、6社以上の借入先があっても貸せる所があるようです。実際そこに申し込んでないので、本当に貸してくれるのか確かめられないのですけどね。
SBIイコールクレジット、プリーバ、クオークローン、クレディア、スタッフィ、武富士
といった所は可能性があると出てました。
4~5社でも、
ニッシン、SBI、ディック、レイク、楽天、モビット、ユニマット、クレディア、ノーローン、オリエント
は可能性があると出ていました。そうですか。
自己破産の借入先件数は平均では7社くらいでしたから、相当危ないね。でも借りられるんですよ。7社から借りてても貸す、とか出てる所もあったけど。こういうのは、別な悪質業者への誘導の罠とかなのかな?アコムの簡単審査もやってみたけど、ここも4社なら私くらいならば「融資可能と思われる」ってさ。借入残高が600万円超でも(笑)。4社ってのは銀行やクレジットは別ですからね、一応。
学生ローンにも4社までならOKというのがあるようですよ。学生だから、収入なんて限られてるよね?でも貸してくれる可能性大なんだそうだ。「フレンドトラスト」という業者らしいです。まあ、ネット上で書かれてることですから、鵜呑みになんてしてはいけないですよね。
「短期・少額」なのに、「借りられなくなる人」というのはどんな人なんでしょうね。「資金が絞られる」というのはどういう状況の人なのでしょう?「高い金利じゃないと貸せない人」ということであれば、「他社の貸金から既に複数借りている」ということでしょうかね。それなら、単なる「貸し込み業者」ってことだね。新たな「貸し込み」が停止されれば、破産が増える可能性はあるが、所詮時間の問題でしょうね。処理が早まるだけだ。貸倒損失の総額が減るから、業界にとってはむしろ「御の字」だよね(笑)。7社が債権を持つところが、6社になっただけ、というようなもんではないかと。
新規なのに「短期・少額」で貸さない業者ってどうなんでしょう?損益分岐点が最低貸出金利で18%以上の業者ってことですか?もっと低金利の10%以下でさえ複数業者があるので、借り手が情報を知っているかどうかでしかないように思えますね。ネット環境は無理でも、電話か携帯ならアクセス可能だし。即振OKだしね。審査も早いときたもんだ。それで問題ないよね、新規であれば。18%以上でしか貸せない業者には、退出してもらうしかありませんね。「代替機能が存在しない」ということはないですね。
他にはどんな場合が想定されるのでしょう?「過去の信用情報で長い延滞などの”傷”があるが、現在は借入残高はない」「自己破産したことがあるが、10年以上経過してる」とか?自己破産から10年経過していれば、関係ないよね。信用情報の登録期間はもっと短いはず。自社のデータでは判るかもしれんが。なので、信用情報機関の情報だけで見れば、借りられそうだよね。他の「スネに傷持ち」だとどうなのか知らないけど、今残高がある訳でなければ、貸す業者はいるかもね。だって、既に完済しているわけだから、最終的には払ったんだし。
「「短期・少額」なのに、融資を絞られる顧客層」というのは、どういう場合なのか、具体的に挙げてみてくれ、金融庁。時限措置で3年とか特例金利を作ろうとしているようだから。「借りられなくなる顧客層」ってのが、多重債務者以外にどういうのがあるか、絶対に教えて欲しい。
それから、世の中には、とんでもない理屈を並べるヤツがいるんですね。全く理解できないけど。
「ご利用は慎重に」
「1500万人を対象にした薬がある。副作用に苦しむ人が1割いる。そのうち重篤な副作用で死ぬ人が1割いる。つまり、死亡者はたったの1%に過ぎず、残り9割は問題などない。故に、この薬には何ら問題なく、行政が介入するのはオカシイ」
こういうことを言い続けるヤツがいるんですよ。マジで。
ならば、ニートだか何だかの40数万人程度に予算なんかつけるんじゃねえよ。断固として反対運動や批判をやれよ。エレベーター事故だの、ガス器具事故だの、シュレッダー事故だの、自動車不具合のリコールだの、高々数人程度の死傷者の問題に、いちいち介入している行政ってのは本気でバカで無駄ってことで、そういう省庁の官僚ってのは揃いも揃って無能者ばかりなんだね。そんな無能者に何で国民は給料を払わねばならんのだ?(笑)
上の例で言えば、高々1割、150万人くらいの問題にガタガタ言うな、って主張の人がさ、どうしてこういう「無能ばかりの官僚」を非難しないのか不思議でしょうがないよ。1350万人は問題なく使えるじゃないか、悪いことなんかない、ってことだろ?耐震偽装問題だかもさ、大した問題なんかじゃないだろ?せいぜい数百人とか数千人とか、まあ、10万人も被害にあったりしてるわけじゃあるまいし、他の大勢には何ら問題なんかないんだから、こういう問題を行政が介入するのはオカシイよな?そんな無能ばかりの官僚どもは、いらねえんだろ?
この異常さに何とも思ってないというのが、凄いところだろうけど。どうせ自分じゃないからね、破産すんのは。
ドツボな連中だけが、カモられて、むしられたって、いいのさ。
自らの経済学理論において正しければ、それが最上なのだよ、諸君。
私には金融庁の官僚は頭が悪いとか、無能だとか、そういうことは知らんが、割とマトモだと思う。人間らしい、はるかに。少なくとも、国民の目から見て、支持できるのは確かだ。
1. 延滞損害金
利息制限法のもとでの延滞損害金は、法により、15%、18%あるいは20%の1.46倍まで認められていますから、21.9、26.28、29.2%まで請求できることになります。
現在の商慣習では、50万円を借りて、4%の月2万円を約定弁済するように決められているのが一般ですが、50万円残高があれば、12166円は、利息の分で、残りの7834円が元本返済の部分です。翌月は、11976円、元本が8024円となり、45万円まで減れば、になれば、10950円が利息、9050が原本返済です。この時点で、5万円リボ枠を使い、借入したた元本は50万円に戻ります。
さて、延滞は、約定返済日(35日サイクル支払日であろうと)までに、それまでならいつでもよいのですが、経過日数分の金利がおさめられていなければ、延滞になり、上記1.46倍の金利が正当に請求されます。
今後は、約定分全額が、約定日までの支払われていなければ、延滞にされるかもしれません。約定額は、ミニマムペイメントとも言われています。武富士の開示書面などは、そう呼んでいます。100万円以上のローンだと、どうやら3~3.2%でよいらしいので、支払額を2万円として、3%の月約定率とすれば、666,666円まで借りれて、同じ額の返済で済みます。
金融庁の規制が変わるから、金利だけでなく、約定額全額を納めないと、延滞になる方針を取るところが増えるでしょう。何も恩典を与える必要はないし、多重債務の温床とされる金利だけはらっていればよいう仕組みの根絶は、金融庁が望むこと。今のところ、75%くらいが、月約定弁済額以上をおさめていますが、借入できる信用枠を持ってのこと。枠の利用も、金融庁が多重債務の温床として嫌っていますから、それがなくなると、どうなるでしょうか。延滞は増えるでしょう。
2. 新規なのに「短期・少額」で借りるような債務者層はありえません。
今後18%になれば、借入のない債務者みな、50万円であれば、制限利息範囲で借りられるでしょうから、このような小額・短期の客は、いないでしょう。常に残高のあるリボ式のカードは、ありえるかもしれませんが。貸せる客が減りますから、みな貸付したいのです。その上、借入がないとなれば、貸付上限があれば、年収によりますが、200万円まで、枠を設けて貸すでしょう。
何のための議論でしょうか。債務者にとっても、貸してにとっても、ニーズがありません。
おっしゃるとおり、全く意味のない議論をしている金融庁と懇談会メンバーは、大前提とすべき、重大な事実の認識を書いていますから、無価値な立法を、恥を晒してやっているのです。
責任は、政治家がとるから、どれだけ、無知でも、調査がしなくても、官僚の責任は問われません。安心してください。無知な官僚ほど使いやすいかもしれません。何も調査しないから、いうままになるかもしれない。
3. 他社借入
金融庁のガイドラインから、他社借入がだめだという規制はありません。執行力がない年収の10%、50万円までが簡易貸付上限だとしても、7件貸してだめというのはありません。
6件位までであれば、今も貸す業者はあります。
大手ですら、ガイドラインは、他社3件までが目安といわれており、貸せるはずです。そうすると4件になります。
もっとも大手一部A,、P、Lのように、4件になれば、コンピュータで自動的に信用枠の利用を止める業者もあります。そうなると、借入があっても、追加リボ借入の利用ができなくなってしまい、また枠を求めることになる。とくにAは厳しいとも言われています。
大手のなかには、Tのように寛容な業者があり、6社になっても、枠の利用を禁止しない店もあるとのこと。
コメントから察するに、新規ということだけでなく、途上でも枠を止めないという意味もありましょう。
もっとも、あげられている業者はみな、6件貸している事実があります。
さらには、ブラック専門とか、破産や債務整理後の資金援助する業者NAファイナンスなど複数あり、専業化が見られます。
4. 今回の改正の目的
司法の提言から始まったグレーゾーン金利の違法性。立法府が動かないから司法が違法性を主張しだしたとも言われる。
金利下げが目的でしょうか。金利の制限は、重大な市場への価格統制であり、需給バランスへの介入となることを気づかなければなりません。いくらでしか、市場の「もの」を提供してはならない。費用にかかわらず。
以下費用収益構造であったら、だれも資金供給をしません。
収益=19%
50万円未満ローンが貸付額の50%として、 18x50%+20x50%=19%
かつ延滞が7%あるとして、19x.93%=17.67%
営業(販売管理)費用
販売管理費=7%
金利=5%
貸倒率=X
金利で5%以内で取れるところは、提携先がある業者だけでしょうけれど。
営業費用を7%まで落とそうとするのは、店、人員の半分のカットを伴いますが実行する。
そうすると、損失分岐点である許容される貸倒れ率
17.67-7-5=5.67%
どの会社も、過払いだけで貸付額の1.5%以上発生している状況ですから、貸し倒れ予想では、最低限8~8.5%になります。
6%以内におさめようとすれば、借入件数が3件以上は、8%以上の貸し倒れ実績であり、2件でしかも、所得に対する負債比率が1/3以下か、持ち家、親同居でアパート賃料のないひとだけになります。
そうすると、大手5社+外資2社が発表したように、損益分岐上、1200万口座のうち、560万口座には与信が継続できないことになります。また新規も4人にひとりとなるのは、予知できる「事実」です。
すなわち、金利規制は、単に金利規制ではありません。
規制は、これまで与信が得られた500万人に、与信をつけない経済政策であること。だから多重債務を生まない。
そして、既存のすでに借りている人で、与信枠利用が禁じられる債務者が500万人でますが、市場を否定して、借りれなくして、見殺しにする経済政策である、と結論できます。
借りれなくなった債務者は、債務支払が免除される自己破産、所得があって債務超過出なければ全額の免責がされない自己破産(管財人を置いて、弁護士料70‐90万円支払って処理される)することになりますが、そもそも借入できないから、どのようにして、着手金、裁判所予納金の30万円ほどをつくるのかは、わかりません。
急に与信枠をストップしてしまったら、とんでもない状況になるでしょう。
既存債務者=自民党と金融庁の政治的構造改革が生んだ社会的弱者、彼らには生活支援金もでません。彼らから、与信の機会も奪い、市場を整理しようとする金融庁と自民党の意図が見えてきます。
生活補助とすれば、与信枠がストップする6兆円となりますが、既存客では死人がでるか、それがいやなら闇金でしょうか。
新規の借り手では、ある時点で借入ができなくなりますが、より早く破産ができるようになるので、社会的コストが削減さえるでしょうか。