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郵政民営化の考察6

2005年03月05日 13時46分29秒 | 社会全般
公社の4分社化後の人員、資産配分の素案が報道されていた。毎日新聞(3/5)より、以下に一部抜粋します。(一部訂正しました。資本金のところの数字が勘違いしていて間違えていました)



郵政公社は4分社を前提とした自己資本について、持ち株会社2000億円▽郵便事業会社5000億円▽郵貯銀行6兆3000億円▽郵便保険6000億円▽窓口ネットワーク会社6000億円の総額8.2兆円と原案で見積もり、準備室に示した。郵便事業会社は5000億円の債務超過があり、約1兆円で解消することが必要と主張。郵貯銀行の自己資本は国債価格の変動に対応するためにも貯金残高の3%が必要として、6兆円を超す規模を求めた。公社の算定によれば約5000億円の郵便事業の債務超過解消後の現有資産は6.4兆円にとどまるため、1.8兆円の国費などの支援が必要と主張している。

公社が公的支援を求める背景には、国鉄長期債務処理で98~02年度、郵便貯金特別会計から1兆円が充てられたことが念頭にある。しかし、準備室では、国債は通常リスクゼロと判定される運用先であるうえ、現在の郵貯は貸出業務をしていないため公社の主張ほどの自己資本は不要と主張。国費投入へ国民理解も得にくいとして現有資産での対応を求めている。

一方、人員について公社は、持ち株会社4000人▽郵便事業会社11万人▽郵便貯金銀行7000人▽郵便保険会社3万6000人▽窓口ネットワーク会社10万人--の原案を提示した。準備室の試算に比べると、保険会社の人数が約3万人多く、その分、窓口会社が少ないのが特徴。保険の外務営業職員をどちらに置くかの違いからで、保険会社自体の陣容を充実させ保険業務維持の布石としたい公社側と、窓口会社を重視している政府のスタンスの差を反映した。




やはり郵便事業は苦しいという状況が明らかになってきましたね。分社化によって、不採算部門が明確化されています。今後も郵便事業は苦しいと言わねばならないでしょう。そのために民営化して、効率的経営と収益基盤の確保を推進するという意味があると思われます。5千億円もの債務超過は酷いですね。不採算の関連子会社なども整理する必要が出てくるかもしれません。


郵政公社のHPによれば、平成16年3月末の資本金は約4.6兆円。これを配分するのであるが、上記報道によれば国費を1.8兆円投入してほしい、ということのようである。しかし、これは無理な相談ですね。現状で国民理解を得るのは厳しいと言わねばならないでしょう。


公社の同期末の総資産は404兆円、貯金量220兆円です。一方、みずほファイナンシャルグループは平成16年中間期末で連結総資産140兆円、資金量84.5兆円、資本金1兆5400億円です。これと比較してみましょう。総資産で2.886倍、資金量で2.604倍です。これを元に概算の資本金を計算してみると、約4~4兆4400億円となります。これは、昨期末の公社資本金といい線ですね。ただし、郵便事業の債務超過を5千億円解消するということなので、目減りして約4兆円規模、というのが、適当な水準のように思われ、資本金として少なすぎるとも言えないのではないでしょうか。一つの企業との比較ですから、妥当というわけでもないのですが、参考にはなると思います。よって、資本金には国費投入は不要ではないか、と思います。


因みに持株会社が4千人、って異常に多いですね。普通は数百人規模で、千人を超えるところは少ないのではないでしょうか。まあ、それほど行き先のない、偉いポストの人員が余っているということでしょうか(?)。今さら配達してこい、とも言えないでしょうし(笑)。あまり持株会社の意味がなくなってしまいますが、いずれは整理されていくでしょう。管理部門の人員が余っていることがこれでも判ってしまいますね。


今までは総資金量依存経営が許されてきたので(郵政民営化の考察5に書いてます)、やはり資金量が細ると不安ですよね。年率2%運用でも7兆円の利息収入が自動的に発生していたのに、今後はそれがない。だから、銀行業務の資金量にこだわるのだろうと思う。資本金は、持株会社2千億円、保険会社6千億円は同じとして、郵便事業会社1兆円(債務超過解消後5千億円に)、と仮定すると、残りの約2.8兆円でも十分いけるだろう。これでも、みずほの2倍近く、三菱東京とUFJを併せたより4千億円以上多い規模ですから、十分メガバンクの仲間入りでしょ。


完全民営化前では、銀行業務の収益基盤が脆弱である可能性も考慮しなければならない。自治体等の公的な資金貸付には、複数銀行と一緒に貸付業務を請け負うとかはできるのかな?貸出がなければ、今までのようにお金を集めても運用できない。いきなり、民間企業に貸付はノウハウがなく難しいでしょうし。ですから、従来の資金提供に近いような形の貸出がある方がよいと思う。ということで、公的な機関への貸付業務を他の銀行と一緒に行うということで、当面のしのぎを図ります。単独でもいいのですが、他の銀行さんが、「やっぱり民業圧迫だ。ずるい」とか言うかもしれないですから。本当は今まで郵政公社しかやっていなかったので、新たに民業圧迫とはならないのですが。


単にATM提携先からの手数料収入とか、郵貯銀行単独の手数料収入では少ないかもしれない。窓口NW会社に委託費払わなければならないだろうし、他の銀行間との協調のため、ATMのプログラム修正とか(他の銀行と同じような仕組みとなるまで色々変更が必要では?)の初期投資がかさむかもしれないしね。


保険業務に3万6千人も随分と多いけれど、郵貯銀行に人員を増やすよりも賢明な措置だと思う。保険商品は業務提携で一気に拡大が可能だし、代理店のような販売手数料を得られる仕組みが確立できれば、複数商品を扱うメリットが大きいと思われるからだ。ただ、その需要に応えられるFPのような有資格者がどの程度いるかによる。各社の販売競争は過酷で、新規契約は減少傾向だが、家計における保険の見直し需要はそれなりにあると思うので、そういう点で全国の窓口NWと顧客情報を持っている強みはある。もしも銀行収益が本格軌道に乗って安定してきたら、人員を異動してもいいかもしれない。


余談であるが、与謝野政調会長は、民営化の一件で存在感を増しているように思う。産経新聞の記事によれば「怠け者の節句働き」と引用して、党内調整に意欲を見せているようである。また、NIKKEI NET によれば「民営化法案は会期内成立でお願いしたい」という小泉さんの請願の段取りまでつけたようです。これは、かなりの前進でしょう。与謝野さんは頑張っていますね。党三役人事で唯一の成功と言えるでしょう。

一方の「片山右京でもなく高木虎之助でもない名前の議員」さんは、青木さんやワタヌキ殿のような実力もないばかりか、ダメダメばかり言っていて、自らの意見や提案が全く無い。常に「否定文」しか発言しないのも如何なものか。「こうしてはどうか」とか「こちらの方がよいのではないか」という発言が皆無というのも、建設的な意見とも言い難い。批判するだけなら、誰でもできますから。「野党準備党」と揶揄される所以はそこにありますよ。


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