いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

オール人力狙撃システム試作機

「中国軍特殊部隊による台湾攻撃」という愚、の補足編

2010年01月05日 13時41分51秒 | 防衛問題
また追加されたみたいなので、書いておくよ。


参考までに、当人がどう考えているのか知らないけれど、香港とかチベットを例示しているような人たちがいるとは驚いた。何がどう同じで、何が違うのか、比較検討することをおすすめしたい(笑)。

はてなブックマーク - 中国の斬首戦略と台湾侵攻シナリオ 週刊オブイェクト


「ソースだせ」というのがお約束らしいですが、参考に提示された雑誌記事を見ました。
どんな文献であろうとも、都合の良い部分だけを切り取るというのは基本的テクニックらしいので、別にいいんですがね。


で、沖縄の海兵隊が数時間内とかにヘリで投入されるとは書かれていないわけですな。
記事中の記述では、次のようになっているわけです。

『The US Marine Corps has seven amphibious assault ships in the Pacific equipped with a variety of helicopters, fighter aircraft and assault troops. These are basically self-contained invasion forces. There are the USS Tarawa, Belleau Wood, Peleliu, Essex, Boxer, Bon Homme Richard, and Iwo Jima. Basically mini-aircraft carriers with an attitude, the Tarawa, for example, can carry four AH-1 Sea Cobra attack helicopters, six heavy-lift CH-53 Stallion transport helicopters, 20 M-60 tanks, 29 light armored vehicles, 29 AAV-7 amphibious assault vehicles, and 1,900 men of a Reinforced Marine Battalion. 』

(拙訳)
米海兵隊は太平洋地域(軍?)には、各種ヘリ、戦闘機や強襲部隊を搭載可能な7隻の強襲揚陸艦を有している。これらは基本的に自己完結的侵略部隊である。タラワ、ウッド、ぺリリュー、エセックス、ボクサー、リチャード、そしてイオウジマ(正式名称はよく知らないので簡略化しています)がある。タラワは、基本的に姿勢制御できる(垂直離着陸できる、ということ?、それとも機体形状を変形(艦載機にある翼が折れるとか)できない単一形態というようなこと?、よく判らん)小型作戦機、例えば4機の「AH-1 シーコブラ」、6機の「CH-53 スタリオン」、20両のM60戦車、29両の軽装甲車両、29両のAAV-7 水陸両用強襲車、そして1900人の強化海兵大隊を搭載できる。

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軍事用の専門用語などの決まりがあるのでしょうけど、英語文献を読む機会はなかったので、よく知りませんから、かなりおかしな訳語があるでしょう。でも、大体の意味合いはつかめると思いますので、敢えて嫌いな英訳をさらしてみました(笑)。
海兵隊の記述については、航空機や揚陸艦の一般的説明が長々となされているだけであり、別に沖縄海兵隊がヘリですっ飛んで行きますよ、というような説明は見当たりません。


他の部分においても、沖縄の海兵隊がヘリで駆けつけるというような説明はなされていませんね。端的に言えば、「中国側が恐れているのは米軍の航空戦力」であり、その作戦機としては、艦載機もあれば、岩国や沖縄等に配備されている航空機もある、ということが言われているだけです。

また、中国側の作戦時間としては、数日間―想定シナリオでは7日間―というふうに触れられていますから、沖縄から海兵隊が数時間で到達できることが必須要件としては考えられていないでしょう。その説明は皆無です。


また、筆者自身が断りを入れているのが次の部分です(下段最後の方)。

『Of course, this is only a scenario based on selected facts and seasoned with conjecture. Speculation about what China could do and what it will do are rarely comparable. 』

(拙訳)
もちろん、これは(意図的に)選択した事実と”味付けされたあて推量”に基づいた単なるシナリオである。中国が実行可能であることと起こりえることについての推測としては、比較的(orどちらかというと)稀であろう。

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(「” ”」部分は、当方の強調です。本文にはありません。)


つまりは、まず滅多なことでは起きないね、実行可能とも言えないかもね、というようなことであって、だから何遍も言うように、「滅多に起こりそうにもない事象についても対策をせよ、稀にしか発生し得ないことさえも防止せよ」と求めるのと一緒なのですよ、ということでは。

参考記事>沖縄海兵隊はソマリアの二の舞を望むのか



そもそも、軍オタの多くがこういった「架空戦記もの」っぽいシナリオを散々バカにしてきたのではないかと思いますが(笑、調べてないから判らんけど)、雑誌記事に書いてあった、というレベルの代物であるなら、例の産経新聞記事(コレね>意味のない防衛計画~「クラスター爆弾」について(追記))さえも正当化の根拠として挙げることが可能になってしまいますわな。


産経新聞記事について非難するのであれば、同じく、この英文記事についての批判が出されても不思議でも何でもないわけだが。

それとも、英文の文献であると無条件に「正しい」「妥当」「合理的」という評価判定である、ということなのかな?


まあ、ソースはあるよ、とか、論拠を強化する文献は存在するよ、というのを提示したとしても、それは、必ずしも正当化できることにはならない。経済学の文献だって、ピンキリなのと一緒だよ(笑)。問題は、中身。何が書かれているか、ということである。それは、日本語だろうと英語だろうと、妥当ではないものはそういう評価が下されるのでは。




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