タイトルは勿論冗談です。
が、中には意見を言う前に本を読めだの、理解してから言えだの、調べて議論を俯瞰できてから言えだの、難しい要求を出す人たちはかなりいるわけです。いや、別に特定の誰かを非難しているわけではありませんよ。けれども、そういう要求を突き付ける以上、それができていない一般個人全般について、是非それを求めてみたらいいのではないかな、ということです。
今、マスコミで大騒ぎを演出されている後期高齢者医療制度ですけれども、理解していない高齢者の方々が殆どなのではありませんかね?そうであれば、判りもしないで文句ばかり言ってる高齢者の方々を是非とも徹底糾弾して欲しいんですよ。そういう批判をしない理由なんてないのではありませんかね、ってことです。
一般個人であっても、自分で調べたり何かを読んだりして最低限度の努力(笑)さえしてないとか、理解できてないのに文句や反対を述べてはいけないんですよね?
くだらないたとえ話ばかりの記事で申し訳ないんですが、参考記事を挙げておきます。
万人に「本を読んでから意見を言え」と要求するのは不適切
前の続きだけど(追加あり)
本題に戻りましょう。新たな制度が複雑だの、天引きは許せないだの、色々と文句が多いわけですが、これらについて書いてみます。
1)じゃあ、旧制度を説明してみてごらんよ
後期高齢者の方でもいいですし、年齢に関係なく旧制度をどれくらい理解していたんでしょう?
多い不満は「わかりにくい」「複雑だ」とかなんですが、だったら、前の制度が簡単で説明可能であったのでしょうか?って話ですよ。調べてないから判らないわけですが、恐らく殆どの後期高齢者の方々には理解できないだろうし、説明できるものであったとは思えないわけです。なのに、制度が変わった途端に、複雑だ、とか言い出すのは何故なんだろうか、と思うんですよ。前も判らなかった、今も判らない、ということなら、別に何も変化なんてなくて、「前からずっと判らなかった、複雑だった」ってだけなんではありませんか?
何なら、マスメディアの人でもいいですし、みのさんでも古館さんでもいいんですが、本当に説明できるかやってもらえませんかね?できますか?個人的予測では、まず無理だと思いますけど。私も難しいな、思いますしね(笑)。
旧制度ですけれども、老人保健法と多くは国民健康保険法に規定されていた部分があるのですが、分けて書いていきます。
①老人保健法という制度
75歳以上の方々はこれに該当します。老人医療券とか書かれた保険証みたいなものを受けるわけです。で、老人医療の費用分担の仕組みは、大雑把に言うと、a)自己(利用者)負担分(1割又は2割)+b)老人保健拠出金+c)公費負担、となっています。
自己負担分というのは1割なので全然少ないですから、殆どの部分は拠出金と公費で賄われていました。自己負担分は所得水準に応じて個人の月額上限と世帯月額上限などがあって、入院と外来でも上限が異なりかなり複雑です。個人の所得水準で異なり、自治体ごとでも異なります。
自己負担分を除いた部分を2等分し、半分は拠出金、半分は公費です。拠出金の額は健保組合、政府管掌、共済、国保等保険者ごとで割合が異なり複雑な計算式を用いて算出されます。これも凄く大雑把にいうと、保険料収入が多く財政的に裕福な保険者は負担割合が大きくなり、貧乏な保険者(典型的には過疎地の国保とか)は少ない割合です。
残り公費部分は、国が3分の2、都道府県と市町村が各6分の1の負担となります。
ここまでを一言で言えば、「複雑です」ということですわな(笑)。
②国民健康保険
これもいろんな場合があって、子どもが被保険者で老人がその扶養家族であることもあるので、全員が国保というわけではありません。年金暮らしであっても、子どもが健保組合とか共済とか政府管掌であれば、それぞれの社会保険に扶養家族として加入していたことになります。しかし、現実には子どもは都会で暮らし、親が田舎で暮らしていたりするので、扶養にはなっていない(子ども世帯自体が生活が苦しいというようなこともあって保険料まで負担できないということがある)こともあるでしょう。
こういう人たち以外では、自分で仕事をしていて社会保険に入っているケースは極めて少ないので、殆どの人が国保ということになります。国保の保険料計算は以前にもちょっと取り上げたことがありますが、これは複雑なんですよ。
基本的な部分だけ書くと次のようになります。
d)所得割:前年の基準総所得×料率(約8~12%程度)
e)資産割:今年の固定資産税額×料率(約20~30%程度)
f)均等割:被保険者数×定額(3万円前後?)
g)平等割:世帯ごとに定額(3~5万円程度?)
これを計算し、最高限度額(約50~60万円)を超えると上限額、それ以下であれば、計算額に応じて月額が決定されることになります。国保の料率や均等割、平等割は市町村ごとに異なるので、計算結果は一概には言えないのです。あと、低所得者については免除制度があって、住民税額に応じて減免されたりします。
一般的傾向としては、国保の加入者には高額所得者は少なく、社会保険適用となっていない(つまり正社員ではない低所得)フリーターとか自営業者とかが現役世代ということになり、その他は年金暮らしの高齢者が多いので、保険料の「払い手」(現役世代)の割合が少なく所得も少ない、ということです。社会保険であれば、労使折半なので同じ所得水準(例えば年収300万円)であっても負担が少ないし、高齢者の加入率も少ないのです。それに比べれば、国保の保険料は高いのですよ。
こんな複雑な保険料制度を高齢者の方が理解できていて、説明可能であると思いますか?自分の住んでいる市町村の料率だの均等割や平等割の額を言えると思いますか?そんなのは、殆ど無理なんですよ。後期高齢者医療制度が複雑なんじゃない、元から複雑なんですよ。こんな仕組みを理解できていた高齢者なんて、いたと思いますか?高齢者に限らず若者で現在の国保加入者であっても、知らない人たちの方が圧倒的に多いと思いますよ(笑)。
a)~g)の説明ができたら、合格ですね。そんなに理解されているとも思えませんがね。
2)何故決定前に文句を言わなかったのか
かつて医療費抑制策が本格的に問題とされたのは、05年だ。郵政選挙の前じゃないか。どうしてその頃から、大騒ぎして反対しなかったんだよ。
自民党内でも反対の声、ってオマエら○○か?
そもそも03年に閣議決定されたのが発端じゃないか。その後棚上げされていたが、05年春頃から社会保障費、殊に医療費抑制策が問題とされてたんじゃないか。私は反対したけど。キャップ制は回避されたものの、翌年度以降の大幅削減が決まった。更に、医療費適正化について骨太に書かれ(閣議決定)、郵政選挙後にはスイスイと医療制度改革大綱が決まってしまった。翌06年には法案提出し可決されたんじゃないか。今いる自民党議員が賛成票を入れたからこそ、通ったんだろ。
参考:社会保障改革の文献的考察
05年初め頃から散々医療費の問題が出ていたのに、みんなは反対しなかったじゃないか。あの当時に大騒ぎしていれば、骨太には書かれず、閣議決定にも至らなかっただろう。それを何だ。今になって、制度が悪いって、アホか。少なくとも郵政選挙前だったのだから、何らかのアクションをやるべきだろうが。都道府県単位構想が出されたのは、ずっと前からだろ。
3)何故この制度が通されたのか
元々医療費抑制を強く求めていたのは誰なのか?
これが今回の混乱の根本原因であろう。国民の多くは政治家が悪い、とか、厚生労働省が悪い、というような誤解を持つのではないかと思う。確かに、一部にはそうした意向が働いていた人はいたかもしれないが、私の予想は全然違うと思う。
恐らくは、企業だ。特に大企業だ。そして健保組合(大企業が中心の運営主体だ)。それに連なるのは経済学者だの、欧米かぶれの何とかだの、そういう連中だ。入れ知恵していた人間がいて、強く主張できたのは「金持ち資本家」っぽい大企業なんだよ。
何故そう思うかって?
大企業にとっては、厚生年金の保険料率が上げられたのは、煮え湯を飲まされたのと同じであったからさ。料率は確実に上がっていくことは決まってしまったからだ。18.3%まで着実に毎年毎年上がっていく。これに輪をかけて、労働保険料が上げられた。更には介護保険料も年々増加していく。高齢者率が増大するのだから、止むを得ないわな。
そうなると、残るは医療費抑制策だけであり、特にGMが医療費の負担増やデルファイ破綻などで経営悪化や格下げを招いたこと(05年初め頃だったと思う)が、影響していたであろう。自動車業界は日本の主要企業群の中ではとりわけ発言力があったからだ。奥田さんが諮問会議にいたし、経団連会長であったからね。だからこそ、医療費は抑制されねばならない、という意見が主流であったであろう。
更には、企業のメリットというものが期待されたのだ。それは医療という「成長分野」に企業が参入したい、という強い意向があったからだろう。これを唆していたのは、某国のコンサル軍団だの、かぶれた学者だの、そういう資本家腰ぎんちゃくがいたからだ。マッキンなんちゃら~、とかもそういう一部だろう。実際、彼らの言い分通りに市場化して、そのうまみにありついた人々は多く存在した。介護事業や人材派遣業なんかがそうなのだ。結果、どうなったかは、見てのとおりさ。日本がどうなったのか。
大企業の健保組合は高齢者の加入している割合が国保なんかに比べれば断然低いのだよ。そりゃそうさ。田舎に自分の親を残してきて、都会で暮らしてるから。自分の親の面倒は知らないぜ、田舎の人間が面倒をみろ、ということなのだよ。だから高齢化が進んでいる地方では国保財政が極めて苦しくなるのだ。だが、健保組合は自分の保険に加入している高齢者の割合が少ないので、上記b)の拠出金割合が多いことについて、昔から不満タラタラで、「老人保険のせいで健保組合が大迷惑を蒙っている」と散々文句を並べていたのだよ。そういう大企業さまの意向に合わせると共に、年寄りが多い地域が医療費をたくさん使ってるんだから、たくさん使っている都道府県が自分の分は自分たちで負担するようにしろ、と強く求められた結果が、今回の後期高齢者医療制度なのだ、ということだ。
だから、広域連合という形式となり、都道府県単位とされたのだ。地方は地方、大都会は大都会、という、いってみれば「東京だけ(プラス愛知?)が生き残ればいい」ということさ。東京とかの大都会にある大企業さまのご意見が最優先された結果なのだ、ということ。そういう国になったんだ、ということを、地方の人間はもっと自覚せよ、ということだな。
4)文句を言う前に
世帯の年金収入が300万円を超えている人たちは結構いる。いや、全部ではないよ、そりゃ。でも、貧しくて目立っている高齢者たちがいることは確かなんだが、若者が年収200万とかもっと安い中で年金や医療保険料を払い、税金も払い、苦しい生活を強いられているという現実がある。年金生活者が若者よりも多くの年金を受け資産もあって自宅に住んでいながら、年金保険料もなく税金も払わないで「負担増で生活が苦しい」とか言ってることは多いわけだ。じゃあ、若者は我慢して高齢者の為に税金を払って貢げ、ってことか?
本当に生活が苦しい高齢者には補助とか支援が必要だろうと思うが、それは全員ではないんだよ。金融資産は中央値で2000万円を超えている世代が、若者から援助をそんなに必要とするか?違うだろ。もっと低収入で年金や医療や税金を払わねばならない若者こそが、支援すべきなのではないのか?高齢者で生活苦の人たちの子どもは一体何をしているのだ?親の援助くらいやれよ、って話だな。同居できないにしても、資金援助くらいはできるだろが。いや、みんなが子どもいるってこともないというのは判るけど、昔なんだから兄弟が何人もいるとか珍しくない世代でしょう?だったら、親に少しずつ援助くらいできるだろ。そういうのが無理な人たちはいると思うけど、1割にも満たないのではないかとしか思えないんだが。
75歳以上で子どもが1人もいなくて、金融資産も全然持ってなくて、年金額が凄く少ない人、って、そんなに大勢いるかな?
年金だけでは足りず預貯金を取り崩さねばならなくなった、ってそりゃ当たり前だろ。若者は取り崩すべき預貯金もないのに、税金や年金保険料を払わねばならんのだから、それを思えば少しくらいは我慢できるだろう。どうしても生活の苦しい年金生活者には支援をすればいいのだよ。支援の方法なんていくらでもある。
それから、天引きが許せない、って言うんだが、じゃあ市町村の引き落とし手数料とかどんだけ多いか知ってんのか?
いや、私も知らないんだけどさ。けど、国保の未納を回収する為の費用とか、かなりかかってると思うよ。高齢者ばかりではないだろうが、それでも徴収コストがかかるし、口座引き落としであっても手数料を取られるから、そういう経費を節約できれば市町村にとっては大きなメリットがあるんだよ。そういうことを考えて「天引きすんな」とか言ってるのか?とてもそうとは思えないんだが。過誤調整とかにしても、たった100円振り込むのに105円の手数料とか払うのって全くの無駄だろ。そんな無駄な手数料を使うくらいなら、相殺して天引き額で調整する方が圧倒的に経費節約に繋がるんだって。国保の徴収業務のコスト削減に繋がるなら、天引きがいいに決まっておろうが。各個人の払う手間暇も軽減されるから、願ったりかなったりじゃないか。コストが減るのだから、何が不満だというのか。
結局のところ、自分の金は払いたくない、けど、サービスは満額やってくれ、みたいな不満が多いだけなのではないのか。自分たちにはこんだけ「もらう権利がある」というような、既得権益意識が強いだけなんじゃないのか。今になって生活が不安だ、とか言うなら、どうしてもっと昔から不安に思ってこなかったんだよ。30年前から不安に思って貯金するなり何なり、しておけばよかったんじゃないのか。
支援が必要ならばするべきだが、それは大勢ではないと思うぞ。他の多くの年金生活者は同水準の年収の若者よりもいい暮らしをしているだろう。そういう若者を犠牲にしてもいい、という人がいるなら、出てきてもらって議論をしたらいいよ。
いずれにしても、文句を言い始めるのが遅すぎる、後悔するのも遅すぎる、というようなことかな。それと、一番得した人は誰なんでしょうか?ってことをよく考えてみるべきだろう。
が、中には意見を言う前に本を読めだの、理解してから言えだの、調べて議論を俯瞰できてから言えだの、難しい要求を出す人たちはかなりいるわけです。いや、別に特定の誰かを非難しているわけではありませんよ。けれども、そういう要求を突き付ける以上、それができていない一般個人全般について、是非それを求めてみたらいいのではないかな、ということです。
今、マスコミで大騒ぎを演出されている後期高齢者医療制度ですけれども、理解していない高齢者の方々が殆どなのではありませんかね?そうであれば、判りもしないで文句ばかり言ってる高齢者の方々を是非とも徹底糾弾して欲しいんですよ。そういう批判をしない理由なんてないのではありませんかね、ってことです。
一般個人であっても、自分で調べたり何かを読んだりして最低限度の努力(笑)さえしてないとか、理解できてないのに文句や反対を述べてはいけないんですよね?
くだらないたとえ話ばかりの記事で申し訳ないんですが、参考記事を挙げておきます。
万人に「本を読んでから意見を言え」と要求するのは不適切
前の続きだけど(追加あり)
本題に戻りましょう。新たな制度が複雑だの、天引きは許せないだの、色々と文句が多いわけですが、これらについて書いてみます。
1)じゃあ、旧制度を説明してみてごらんよ
後期高齢者の方でもいいですし、年齢に関係なく旧制度をどれくらい理解していたんでしょう?
多い不満は「わかりにくい」「複雑だ」とかなんですが、だったら、前の制度が簡単で説明可能であったのでしょうか?って話ですよ。調べてないから判らないわけですが、恐らく殆どの後期高齢者の方々には理解できないだろうし、説明できるものであったとは思えないわけです。なのに、制度が変わった途端に、複雑だ、とか言い出すのは何故なんだろうか、と思うんですよ。前も判らなかった、今も判らない、ということなら、別に何も変化なんてなくて、「前からずっと判らなかった、複雑だった」ってだけなんではありませんか?
何なら、マスメディアの人でもいいですし、みのさんでも古館さんでもいいんですが、本当に説明できるかやってもらえませんかね?できますか?個人的予測では、まず無理だと思いますけど。私も難しいな、思いますしね(笑)。
旧制度ですけれども、老人保健法と多くは国民健康保険法に規定されていた部分があるのですが、分けて書いていきます。
①老人保健法という制度
75歳以上の方々はこれに該当します。老人医療券とか書かれた保険証みたいなものを受けるわけです。で、老人医療の費用分担の仕組みは、大雑把に言うと、a)自己(利用者)負担分(1割又は2割)+b)老人保健拠出金+c)公費負担、となっています。
自己負担分というのは1割なので全然少ないですから、殆どの部分は拠出金と公費で賄われていました。自己負担分は所得水準に応じて個人の月額上限と世帯月額上限などがあって、入院と外来でも上限が異なりかなり複雑です。個人の所得水準で異なり、自治体ごとでも異なります。
自己負担分を除いた部分を2等分し、半分は拠出金、半分は公費です。拠出金の額は健保組合、政府管掌、共済、国保等保険者ごとで割合が異なり複雑な計算式を用いて算出されます。これも凄く大雑把にいうと、保険料収入が多く財政的に裕福な保険者は負担割合が大きくなり、貧乏な保険者(典型的には過疎地の国保とか)は少ない割合です。
残り公費部分は、国が3分の2、都道府県と市町村が各6分の1の負担となります。
ここまでを一言で言えば、「複雑です」ということですわな(笑)。
②国民健康保険
これもいろんな場合があって、子どもが被保険者で老人がその扶養家族であることもあるので、全員が国保というわけではありません。年金暮らしであっても、子どもが健保組合とか共済とか政府管掌であれば、それぞれの社会保険に扶養家族として加入していたことになります。しかし、現実には子どもは都会で暮らし、親が田舎で暮らしていたりするので、扶養にはなっていない(子ども世帯自体が生活が苦しいというようなこともあって保険料まで負担できないということがある)こともあるでしょう。
こういう人たち以外では、自分で仕事をしていて社会保険に入っているケースは極めて少ないので、殆どの人が国保ということになります。国保の保険料計算は以前にもちょっと取り上げたことがありますが、これは複雑なんですよ。
基本的な部分だけ書くと次のようになります。
d)所得割:前年の基準総所得×料率(約8~12%程度)
e)資産割:今年の固定資産税額×料率(約20~30%程度)
f)均等割:被保険者数×定額(3万円前後?)
g)平等割:世帯ごとに定額(3~5万円程度?)
これを計算し、最高限度額(約50~60万円)を超えると上限額、それ以下であれば、計算額に応じて月額が決定されることになります。国保の料率や均等割、平等割は市町村ごとに異なるので、計算結果は一概には言えないのです。あと、低所得者については免除制度があって、住民税額に応じて減免されたりします。
一般的傾向としては、国保の加入者には高額所得者は少なく、社会保険適用となっていない(つまり正社員ではない低所得)フリーターとか自営業者とかが現役世代ということになり、その他は年金暮らしの高齢者が多いので、保険料の「払い手」(現役世代)の割合が少なく所得も少ない、ということです。社会保険であれば、労使折半なので同じ所得水準(例えば年収300万円)であっても負担が少ないし、高齢者の加入率も少ないのです。それに比べれば、国保の保険料は高いのですよ。
こんな複雑な保険料制度を高齢者の方が理解できていて、説明可能であると思いますか?自分の住んでいる市町村の料率だの均等割や平等割の額を言えると思いますか?そんなのは、殆ど無理なんですよ。後期高齢者医療制度が複雑なんじゃない、元から複雑なんですよ。こんな仕組みを理解できていた高齢者なんて、いたと思いますか?高齢者に限らず若者で現在の国保加入者であっても、知らない人たちの方が圧倒的に多いと思いますよ(笑)。
a)~g)の説明ができたら、合格ですね。そんなに理解されているとも思えませんがね。
2)何故決定前に文句を言わなかったのか
かつて医療費抑制策が本格的に問題とされたのは、05年だ。郵政選挙の前じゃないか。どうしてその頃から、大騒ぎして反対しなかったんだよ。
自民党内でも反対の声、ってオマエら○○か?
そもそも03年に閣議決定されたのが発端じゃないか。その後棚上げされていたが、05年春頃から社会保障費、殊に医療費抑制策が問題とされてたんじゃないか。私は反対したけど。キャップ制は回避されたものの、翌年度以降の大幅削減が決まった。更に、医療費適正化について骨太に書かれ(閣議決定)、郵政選挙後にはスイスイと医療制度改革大綱が決まってしまった。翌06年には法案提出し可決されたんじゃないか。今いる自民党議員が賛成票を入れたからこそ、通ったんだろ。
参考:社会保障改革の文献的考察
05年初め頃から散々医療費の問題が出ていたのに、みんなは反対しなかったじゃないか。あの当時に大騒ぎしていれば、骨太には書かれず、閣議決定にも至らなかっただろう。それを何だ。今になって、制度が悪いって、アホか。少なくとも郵政選挙前だったのだから、何らかのアクションをやるべきだろうが。都道府県単位構想が出されたのは、ずっと前からだろ。
3)何故この制度が通されたのか
元々医療費抑制を強く求めていたのは誰なのか?
これが今回の混乱の根本原因であろう。国民の多くは政治家が悪い、とか、厚生労働省が悪い、というような誤解を持つのではないかと思う。確かに、一部にはそうした意向が働いていた人はいたかもしれないが、私の予想は全然違うと思う。
恐らくは、企業だ。特に大企業だ。そして健保組合(大企業が中心の運営主体だ)。それに連なるのは経済学者だの、欧米かぶれの何とかだの、そういう連中だ。入れ知恵していた人間がいて、強く主張できたのは「金持ち資本家」っぽい大企業なんだよ。
何故そう思うかって?
大企業にとっては、厚生年金の保険料率が上げられたのは、煮え湯を飲まされたのと同じであったからさ。料率は確実に上がっていくことは決まってしまったからだ。18.3%まで着実に毎年毎年上がっていく。これに輪をかけて、労働保険料が上げられた。更には介護保険料も年々増加していく。高齢者率が増大するのだから、止むを得ないわな。
そうなると、残るは医療費抑制策だけであり、特にGMが医療費の負担増やデルファイ破綻などで経営悪化や格下げを招いたこと(05年初め頃だったと思う)が、影響していたであろう。自動車業界は日本の主要企業群の中ではとりわけ発言力があったからだ。奥田さんが諮問会議にいたし、経団連会長であったからね。だからこそ、医療費は抑制されねばならない、という意見が主流であったであろう。
更には、企業のメリットというものが期待されたのだ。それは医療という「成長分野」に企業が参入したい、という強い意向があったからだろう。これを唆していたのは、某国のコンサル軍団だの、かぶれた学者だの、そういう資本家腰ぎんちゃくがいたからだ。マッキンなんちゃら~、とかもそういう一部だろう。実際、彼らの言い分通りに市場化して、そのうまみにありついた人々は多く存在した。介護事業や人材派遣業なんかがそうなのだ。結果、どうなったかは、見てのとおりさ。日本がどうなったのか。
大企業の健保組合は高齢者の加入している割合が国保なんかに比べれば断然低いのだよ。そりゃそうさ。田舎に自分の親を残してきて、都会で暮らしてるから。自分の親の面倒は知らないぜ、田舎の人間が面倒をみろ、ということなのだよ。だから高齢化が進んでいる地方では国保財政が極めて苦しくなるのだ。だが、健保組合は自分の保険に加入している高齢者の割合が少ないので、上記b)の拠出金割合が多いことについて、昔から不満タラタラで、「老人保険のせいで健保組合が大迷惑を蒙っている」と散々文句を並べていたのだよ。そういう大企業さまの意向に合わせると共に、年寄りが多い地域が医療費をたくさん使ってるんだから、たくさん使っている都道府県が自分の分は自分たちで負担するようにしろ、と強く求められた結果が、今回の後期高齢者医療制度なのだ、ということだ。
だから、広域連合という形式となり、都道府県単位とされたのだ。地方は地方、大都会は大都会、という、いってみれば「東京だけ(プラス愛知?)が生き残ればいい」ということさ。東京とかの大都会にある大企業さまのご意見が最優先された結果なのだ、ということ。そういう国になったんだ、ということを、地方の人間はもっと自覚せよ、ということだな。
4)文句を言う前に
世帯の年金収入が300万円を超えている人たちは結構いる。いや、全部ではないよ、そりゃ。でも、貧しくて目立っている高齢者たちがいることは確かなんだが、若者が年収200万とかもっと安い中で年金や医療保険料を払い、税金も払い、苦しい生活を強いられているという現実がある。年金生活者が若者よりも多くの年金を受け資産もあって自宅に住んでいながら、年金保険料もなく税金も払わないで「負担増で生活が苦しい」とか言ってることは多いわけだ。じゃあ、若者は我慢して高齢者の為に税金を払って貢げ、ってことか?
本当に生活が苦しい高齢者には補助とか支援が必要だろうと思うが、それは全員ではないんだよ。金融資産は中央値で2000万円を超えている世代が、若者から援助をそんなに必要とするか?違うだろ。もっと低収入で年金や医療や税金を払わねばならない若者こそが、支援すべきなのではないのか?高齢者で生活苦の人たちの子どもは一体何をしているのだ?親の援助くらいやれよ、って話だな。同居できないにしても、資金援助くらいはできるだろが。いや、みんなが子どもいるってこともないというのは判るけど、昔なんだから兄弟が何人もいるとか珍しくない世代でしょう?だったら、親に少しずつ援助くらいできるだろ。そういうのが無理な人たちはいると思うけど、1割にも満たないのではないかとしか思えないんだが。
75歳以上で子どもが1人もいなくて、金融資産も全然持ってなくて、年金額が凄く少ない人、って、そんなに大勢いるかな?
年金だけでは足りず預貯金を取り崩さねばならなくなった、ってそりゃ当たり前だろ。若者は取り崩すべき預貯金もないのに、税金や年金保険料を払わねばならんのだから、それを思えば少しくらいは我慢できるだろう。どうしても生活の苦しい年金生活者には支援をすればいいのだよ。支援の方法なんていくらでもある。
それから、天引きが許せない、って言うんだが、じゃあ市町村の引き落とし手数料とかどんだけ多いか知ってんのか?
いや、私も知らないんだけどさ。けど、国保の未納を回収する為の費用とか、かなりかかってると思うよ。高齢者ばかりではないだろうが、それでも徴収コストがかかるし、口座引き落としであっても手数料を取られるから、そういう経費を節約できれば市町村にとっては大きなメリットがあるんだよ。そういうことを考えて「天引きすんな」とか言ってるのか?とてもそうとは思えないんだが。過誤調整とかにしても、たった100円振り込むのに105円の手数料とか払うのって全くの無駄だろ。そんな無駄な手数料を使うくらいなら、相殺して天引き額で調整する方が圧倒的に経費節約に繋がるんだって。国保の徴収業務のコスト削減に繋がるなら、天引きがいいに決まっておろうが。各個人の払う手間暇も軽減されるから、願ったりかなったりじゃないか。コストが減るのだから、何が不満だというのか。
結局のところ、自分の金は払いたくない、けど、サービスは満額やってくれ、みたいな不満が多いだけなのではないのか。自分たちにはこんだけ「もらう権利がある」というような、既得権益意識が強いだけなんじゃないのか。今になって生活が不安だ、とか言うなら、どうしてもっと昔から不安に思ってこなかったんだよ。30年前から不安に思って貯金するなり何なり、しておけばよかったんじゃないのか。
支援が必要ならばするべきだが、それは大勢ではないと思うぞ。他の多くの年金生活者は同水準の年収の若者よりもいい暮らしをしているだろう。そういう若者を犠牲にしてもいい、という人がいるなら、出てきてもらって議論をしたらいいよ。
いずれにしても、文句を言い始めるのが遅すぎる、後悔するのも遅すぎる、というようなことかな。それと、一番得した人は誰なんでしょうか?ってことをよく考えてみるべきだろう。
→どこの国の話ですか?
75歳以上で子どもが1人もいなくて、金融資産も全然持ってなくて、年金額が凄く少ない人、って、そんなに大勢いるかな?
→います。
世代間対立に摩り替えていますよ。
日本です。
http://www.fukoku-life.co.jp/download/report20_11.pdf
http://www.zeikei.co.jp/syouhi_g/PDF/s-23-9.pdf
https://appsv.main.teikyo-u.ac.jp/tosho/shiobara35-1.pdf
ああ、平均値ではなく中央値というのは、ちょっと問題でしたね。けれども、65歳以上世代の保有資産は約765兆円程度と推測されます。
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/kuma/pdf/k_0507b.pdf
65歳以上人口2660万人の1人平均で見れば、約2876万円の金融資産になります。高齢夫婦世帯なら、この
2倍の額ということです。
仮に約2割の世帯で金融資産ゼロ世帯であるとしても、他の世帯ではかなり高額な金融資産を保有していることは十分推測されますね。
生活困窮で支援が必要なのは高齢世代2660万人のうち2割に達するとしても530万人くらいであり、残り約2000万人の方々には負担能力が全くないとは思えませんね。世代間対立を目的にしていませんが、若者の置かれてる状況を考えれば、少し負担することも考慮してもよいのではないか、ということです。
テレビ等で「老人イジメだ」とかカンにさわります。
見直しは必要かもしれませんが
「貯金を切り崩して云々」などのコメント聞くと
腹立だしいです。
働いてないのだから当たり前だろう、と。
じゃあ何の為の貯金だったの?と聞きたいです。
「子供、孫も生活があるから援助は頼めない、国からもお金を取られる、苦しい」もうバカかと。
自分らは出したくない出させたくない
でも減らすなってどれだけ我侭言っているのか。
若い世代は年金を貰えるかすら不安な状態だと言うのに…。
生活保護でどうにも出来ない人は勿論0割で良いですよ。
非難されるのが嫌でコメンテーターも何も言わないのでしょうが、いい加減にしろ、です。
75歳以上の人々が署名活動とか始めてるようですが、それが出来るなら内職してください。
月1万位にはなりますから。
こんな意見はどこに行けば広められるのでしょうね。
そもそも、苦しい生活を強いられる人々は、高齢であろうが若年であろうが、年齢には関係なく苦しいのであって、それに対して支援をするというのはきちんと考えていく必要がある、ということです。
国からのの扶養手当もなく、会社からも養育手当も出ない状況で2人の子育てをしていますが、生活はギリギリです。
年取った時に資産なんて出来そうにないですなぁ。
世代間闘争はしたくありませんが愚痴の一つも言いたくなりますね。