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天災から見える国の違い~ミャンマー、中国、アメリカ

2008年05月15日 13時22分38秒 | 社会全般
ミャンマーのハリケーン被害も中国の地震被害もともに深刻であるのに、救助作業への大きな障害を抱えている。ミャンマーにおいては、軍事政権の支援拒否が大問題で、更に救援物資の独占、役人・軍人等の腐敗ということがある。また、中国でも同様に海外からの人的支援は拒否し、資金援助は受けるという姿勢である。米国政府は中国へ僅か50万ドルの支援金を申し入れたが、外交儀礼の一つという程度であろう。日本も同程度でいいと思う。

むしろ、現地の日本系企業は、「自分たちの社員」(勿論中国人だ)を守るべく食糧等の援助物資を供給することが必要だろうと思う。中国の役人たちに横領されたりするのが当たり前だろうと思うので、日本や沿岸地域から物資を送っても、必要な人たちに届かない虞があるだろう。それならば、民から民へ、つまり企業間の物資輸送みたいにしないと現地の被災者たちには届かないのではないかな、ということだ。

状況を更に悪化させるのは、中国の人口が多いということだろう。被災人口が大きいので、当たり前の支援規模では全然足りない、ということが考えられる。また物流手段や援助物資の分配等、想像もつかないくらいのロジスティックス能力みたいなものが必要とされるからだ。


今日の読売朝刊の1面記事はこれだった。

被災者が支援物資奪い合い、運搬中の車に殺到…四川大地震 国際 YOMIURI ONLINE(読売新聞)

先に奪った者勝ち、ということだ。これが現実なんだ。


こういう事態は別に中国だけじゃない。アメリカのハリケーン被害の時に起こったのは、似たような略奪行為だった。

ブロガーは見た--ハリケーンに襲われたニューオーリンズの惨状ニュース - CNET Japan

(一部引用)

Barnettはさらに次のように続けた。「政府が完全にお手上げ状態であるため(いずれにせよ、何もできなかっただろうが)、われわれはこの街の治安回復を真剣に検討している。いくつかの報告によると、警察が略奪行為を行っており、またQuarter近くのある警察管区では自動小銃が発射されたため、まともな警察官は各管区内で包囲されているという」

 「危険は承知しているが、私はForeign Internal Defenseについて多少の経験がある。まるで『Planet of the Apes(猿の惑星)』のようなこの混乱を鎮めるチャンスがあれば、誰かが最初の一歩を踏み出さなくてはならない。つまり、現在あちこちで『Lord of the Flies(蝿の王)』の世界が展開されている。まさに無秩序状態だ。私有財産も人命も全く尊重されない」

 さらに同日、しばらく経ってからBarnettは次のように書いている。「警察が略奪行為を行っているが、これは複数の情報源から確認が取れている。略奪行為の一部は『正当』と言えるかもしれない。もっとも、この状況で『正当』という言葉に何らかの意味があればの話だが。警官らはATM荒らしや金庫破りもしている。これらも確認済みだ。実際に複数の目撃者がいる。また、彼らは公用の名目で自動車ディーラーから十数台のSUVを持ち出し、さらに銃器店や質屋から銃などの小型の武器を略奪した。おそらく『犯罪者』による略奪行為を防ぐためと思われるが、彼らの真の意図など誰にも分からない」

=====


カトリーナ被害の時に限らず、アメリカで起こったロス地震やロス暴動の時にも、やはり同様に略奪行為は行われた。それもごく少数の悪者が悪事を働く、というレベルではなく、もっと大規模に行われるのである。上記引用記事のようなことは珍しくも何ともなく、警官たちの中にだって「これ幸い」と持てる強権を利用して略奪するのだ。これは国民性なのか何なのか判らないが、そういう国なのだ。


日本では、殆どこういう光景は見られない。暴動に関しては、以前記事にも書いた。
災害救助活動の検討3

日本人だって極限状態におかれたらどうなるか分らんよ、という意見があるかもしれないが、それでも日本人はこれまでの災害時にそういう暴徒と化して略奪を行ったりはしてこなかった(昔の打ち壊しみたいなのは当然あったよ)。そういう国民なんだ、ということ。実際全部を確かめたわけではないけど、被災地域では互いに助け合うし食糧も分け合うし、概ね整然と並ぶ。他人の家とか店とかから奪っていく人たちなんて、まず見ないと思う。

警官や自衛隊や消防隊だって、全力で住民を守ろうと頑張るし、命懸けで整然と組織的に働いてくれる。悪徳警官みたいな人が現れて、「大チャーンス」みたいにあちこちから奪っていくなんてこともない。自衛隊が組織的暴力を企て、放置されたATMから根こそぎ金を奪ったりはしない。日本とはそういう国なんです。

アメリカや中国では、法の秩序というものが崩壊した環境にあっては、生き抜く為には自分の持つ「暴力的な力のみ」が唯一頼れるもので、暴力が支配する場面というのが訪れるのだ。まさしく、「北斗の拳」に出てくるような世紀末世界みたいなものだ。けれども、日本は違うのだ、ということ。殆どの場合、秩序は保たれている。暴力ではなしに。


ネット界隈では、日本人のいいところみたいな記事が人気を集めたりしていますが、それとも通じるかも。拙ブログでも随分昔に書いた。
エリート教育は国際競争力を高めるか


田舎に住んでいると見かけるかもしれないが、国道の脇なんかに農産物が売られている店があったりする。店番なんて勿論誰もいないんだけど。台の上に、とうもろこしやトマトなんかが、「ひとカゴ 100円」という具合に売られている。傍らにはお金を入れる缶みたいなのがあるだけで、誰も見てないんだから、勝手に持ち去られても気付かれないんですよね。けれど、野菜も、お金も、そこにきちんと残されているんですよ。誰も勝手に持っていったりはしない。いや、確かめてみたわけじゃないから判らないんだけど(中には不届き者も少しはいるかもしれんが)。こういう商売って、日本くらいでしかできないんじゃないかと思うわけですよ。朝早く来て、野菜をカゴに入れて並べる。多分、夕方くらいに残った野菜やお金を回収に来る、ってことですよね。最初見た時には、ちょっと驚いたんですが、そういうもんなんだな、と思いましたよ。これをアメリカや中国でやったらどうなるかというと、並べた途端に全て持ち去られてしまうでありましょう、きっと(笑)。お金が入れられた缶があれば、それは当然なくなっているでしょう。でも、日本だと、どちらもきちんと残っているんです。

ごく稀には賽銭箱から盗んだりするような罰当たりな人もいるかもしれませんが、そういう不届き者というのは少ないんじゃなかろうか、というのが私の印象です。道端のお金がずっとそこに普通に残っているんですから。国民全体としては、「完全主義の文化」とか誠実さや信頼度の高さというのがあると思うんですよ。そのことを日本人はもっと自信を持っていいと思うのですよ。たしかに偽装云々とか散々報道されたりして、残念に思う部分はあるのですが、自信を失う前にこれまで培ってきた日本人気質のいいところに目を向ければいいと思います。




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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
日本人の本源性 (遊撃手)
2008-05-15 22:50:08
はじめまして。るいネットの『注目サイト&ブログ』から飛んできました。貴ブログの素朴な語り口と、ジャンルを問わない視点に興味引かれました。

今後、たびたび訪れようと思いますので、よろしくお願いします。

さて、中国の地震のニュースとその暴徒化した中国人の様子は、私も「やっぱりか」との印象を持ちました。

そして同様に、日本人を振り返り、その共同意識の強さをあらためて考えていました。

ちょうど『るいネット』にも、日本人の本源性について書かれている文章があるので、紹介させてください。貴ブログのタイトル『いい国作ろう!』の基礎に日本人の精神性への信頼があると想像しましたので、その拠り所のひとつにでもなればと・・・

↓↓↓
『日本人の知らない日本人 [2007.12.04]』http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=166457
これはるいネットで発行している「メルマガるい」の内容です。

『西欧と日本の階層意識の違い 』
http://www.jinruisi.net/bbs/bbs.php?t=1600&o=10387&k=20#21959

『日本人の共認革命』
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=152344
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お褒めを有難うございます (まさくに)
2008-05-16 18:56:12
ご愛読、宜しくお願い致します。
が、ひょっとして、「るい~何とか」の広報?なのでありましょうか?
勧誘とかであれば、今のところ…その、ナンですので、アレです(笑)。
怖くてリンク先を見ることができません……。精神性とか、本源性とか、そういう難しいことはよく判りませんし、ウチでは全く考えていないので。
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怖い?? (遊撃手)
2008-05-22 11:52:58
返信ありがとうございます。

「るいネット」の内容は、現実に役立つので、いろんな人に読んでほしいと思い、紹介しています。

しかし、本源性・精神性っていう言葉を使うことって、そんなに違和感ありますか? 宗教みたいですか?
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Unknown (まさくに)
2008-05-23 19:05:54
怖いというのは、言葉とか、単にそういうものだけではなくて、サイトによっては何かに感染する等の場合があるそうなので、不用意にリンク先を見るのが躊躇われる、というような意味です。

>宗教みたい

個人的感想では、そういうのちょっとありそう、かな
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