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出生率に怯える社会

2006年06月02日 21時20分21秒 | 社会全般
報道でかなり取り上げられていたので、今更感が漂い申し訳ないが、一応思う所を書いておこう。

合計特殊出生率は1.25だそうで、これも仕方がないのかもしれない。「人口が減って大変だ」と言うのだが、私が生まれた頃には1億人もいなかったのだ。40年前というのはそういう時代であり、それでも日本人は普通に生活していたのだ。逆に今の状態が、「多すぎ」なのかもしれないね。


生物というのは、縄張りとかテリトリーみたいなものがあったりするから、人間も自分の「生活空間」というかテリトリーが侵されてしまうと、過密状態となってしまうのが問題なのかも。通常、個体数の過密は高ストレス状態となることが想定され、その為に異常個体や免疫力の低下した個体などが多くなると思う。また、「非常に攻撃的なオス」なども登場する確率がアップするのではなかったかな?人間が他の動物の繁殖と似ているかどうかは判らないが、今の日本は極めて「ストレス負荷の大きい」社会環境であり、繁殖力が低下することも止むを得ないのかも。


沖縄の出生率の高さは、ある意味気になりますよね。産みやすい環境なのかもしれないし、「若年層の失業率の高さ」とか「教育投資(学歴)の額」というような他の要因が関係するのかもしれないし、よくわからない。ベッカー先生が言うように、収入がある程度増えると子供の高学歴化へ向かう、ということがあるとすれば、「所得の少なさ」とか「教育投資額の少なさ」とか、そういうことが影響するのかな、とも思ったりするんですよね。でも本当は、沖縄って長寿の人が多いからそういう年寄りの話などを聞かされていて、「子育てはいいものだ」と感じている若者が多いからなのかもしれない。友達が結婚してかわいい子どもを産んで育てているのを見たら、通常は「超ーカワイイ」と思ったりするんじゃないかな、と。


なので、産んでるグループの周りは結構産んでるようにも思える(笑)。それは所得階層にはあまり関係ないように感じるけどね。

東京は1を切ってしまったけど、まあ仕方がないよね。「結婚したい若者は田舎へ行こう!」とかやってみる?地方で産んで育てた若者を「東京」に供給してしまうようなものかもしれんな。新入社員をある程度育てたところで「ヘッドハンティング」にあってしまい、どこかに引き抜かれて行ってしまう、というようなことと似てるのかもしれない(笑)。


話は変わりますが、出生率の問題は「年金問題」に直結しているんですよね。当然のことながら、年金問題の専門の学者なんかもたくさんいるようですが、これも例に漏れず主張や話がバラバラなんですよね。04年の年金改革の時、5案くらいあったらしいんだが(また「らしい」ですか、笑)、今の改革案に強行採決されてしまったのです。改革案の出生率を(前年実績の)1.32として計算して、07年に1.31の底をつけた後、漸増するという前提で保険料率のアップや、マクロ経済スライド、物価スライドなどが入れられたのです。マクロ経済スライドというのはクセモノで、必ずしも下げられるということではないからね。プラスがあまり大きくなかったり、そもそもマイナス改定の時にはそこからは下げられないからね。まあ、これは本題ではないからいいけれど、問題は現在の年金の構造上、払う人が減ると、給付削減か保険料率を上げるかしかないんですよね。


04年当時、「本当は1.29騒動」というのが持ち上がって、でも、法案を強行採決した後に公表したように思うけど、忘れた。重大な問題は、年金財源がピンチ、ということ。厚労省は「1.32」から最低でも「1.31」だろ、という前提で計算していたから、今とは全然見通しが違うんですよ。


<ちょっと寄り道:学者の中には「保険料方式じゃないと減額リスクがある」(=消費税のような方法には反対)とか言う人がいるんですけど、税方式だろうが、保険料方式だろうが、払えないものは払えないんじゃないと思いますけどね。いくら国民に「これだけ給付します」とか口約束をしてようが、払える財源がなければ払えないことに変わりはないと思えます。年金保険料負担者が減少し、受給者が増加していくことに違いなどないのですから。国民年金保険料の免除だろうが猶予だろうが、社保庁が全部自動的に手続きをできるようにしてみた所で、保険料が全額入ってこないことに変わりはないし、コストが増えてるだけではないかと。仮に、それが100%達成できても、未納がなくなるわけじゃないでしょ。免除をいくら増やしても、年金財政の改善になんてならないんじゃないの?むしろ、年金債務の積立不足額が増加すると思うけど。○○ってのは、本当に××が多いね。>


話を戻しますと、出生率が1.32から1.25まで0.07ポイント低下していますので(予想よりも0.06ポイント低い)、平準保険料で言えば1.3~1.5ポイント相当分に該当すると考えられ、それだけの保険料率アップが必要になるか、給付削減を行う必要が出てくるでしょう。たった2年前の再計算でなんとか誤魔化したばかりの年金改革でしたが、もう予定が大幅に狂ってる、ということですね(笑)。これで、今のままでも十分持続可能である、ということを信じられる人は多くはないと思うね。因みに、約400名の有識者への未来予測アンケート(こんな名称なのかどうかは知りませんが)で2050年時点の出生率を聞いたそうですが、1.10が最多だったそうですよ。でも厚生労働省は1.39と言ってるんですけどね。


現在の年金保険制度は、「ポンジー方式」(笑)なので将来世代の人口が減少すれば、現状維持を続ける限り必ず破綻します。たとえ年金改革で保険料率を上げ、給付を抑制したとしても、少子化と保険料未納などの減収によって年金財源は悪化するし、給付水準を維持することなど出来ないでしょう。もしも出生率が0.1ポイントとかそれ以上の大きな水準で厚労省予測と乖離していれば、年金積立不足額は百兆円とかそれを超える額が予想され、その分を誰かが払い続けない限り維持出来ないでしょう。


<また寄り道:「ポンジー」とは、チャールズ・ポンジーのことで、ネズミ講を行ったアメリカ人です。ヨーロッパでは1セントで売られていた国際返信用クーポンが、アメリカでは10セント切手と交換でき、何と10倍の交換率だったのだそうです。これに目を付けたのは良かったのですが、交換した10セント切手を売りさばけなかったのだそうです。で、「3ヶ月で50%の利益」を謳って出資者を集め、出資者達がどんどん増加していくので、利益の支払いを続けることができたのだそうです。ところが密告によって逮捕されました。蓋を開けてみると、実は切手の交換事業なんかやってなかったんですね。後から後から申し込みがやってくるので、増え続ける間は支払いが可能なのだ、ということです。年金も保険料を払う人が増え続ける間はいいのですが、減ってくると・・・・>


出生率が低下すると、その後ずーっとその影響を受けることになりますから(途中で増えることはないので、移民でも多くするなら別だけど)、年金制度の改正を早く行う方が後々の苦痛は少なくて済むと思うのですけどね。これから毎年、下がり続ける出生率の話が出るたびに、「年金は・・・」と心配せねばならんというのも、勘弁して欲しい。国債の残高よりも年金債務の方が大きいかもしれないのにね。