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少子化と労働問題6

2005年12月22日 22時43分39秒 | 社会全般
今までに幾つかの統計資料などを見てきましたが、一度大まかにまとめてみたいと思います。不適切な部分もあるかもしれませんが、素人らしく考えてみたいと思います(笑)。

1)現在の若年者の労働状況

a 高い失業率

・景気要因よりもミスマッチ要因優位?
・産業構造変化?(自営業127万人の大幅減)
・中高卒者への求人が大幅減少


b 若年労働力人口の割合が増加

・つまり、かつてより就業しようとする人の割合は多い
 (=昔より「働く気がない」などということはない)
・34歳以下の非労働力人口の減少傾向(約8ポイント)
・晩婚化や未婚率変化とも関連している可能性?
 (=専業主婦減少傾向?)
・25~34歳女性の労働力化率が過去30年くらい増加傾向
・ここ5年以内では、24歳以下の男女とも労働力化率が減少
 (=24歳以下の非労働力人口が増加傾向)
・05年には非労働力人口からの労働市場流入も観察される
 (=自発的に働く意思は多くの若年層が持っている)


c 学卒者の変化

・大卒者の純増(90年より10万人以上増、進学率も上昇)
・中高卒者の就職率が半減(求人減少の影響?)
・短大や大卒者でも就職率は低下
 (大学院重点化や海外留学なども影響?)
・就学期間が昔よりも相対的に長い?
・大卒者の正規雇用の絶対数は概ね30万人以上確保されてきた
・就職内定率は低下が見られたが、景気回復と共に改善傾向


d 若年非正規労働者の増加

・企業側の正規雇用抑制策拡大
 (主に社会保障費等人件費の抑制策だろう)
・派遣・契約社員等の非正規労働市場拡大
・90年より300万人以上の増加
・労働市場の流動性の影響?
 (離職率は上昇傾向と推測、「辞め易い」?)
・ミスマッチの影響?
 (自分に合った仕事に出会わない・・・etc)


2)非正規若年労働者の問題点(派遣等を除く)

a 収入が少ない

・生活が自立できない(例:パラサイト・シングル)
・結婚にも影響する(少子化要因)
・社会保険料負担が過重(例:国民年金未納)


b 労働者の権利と保護

・雇用契約では一方的に不利(正規のように保護されない)
・雇用保険未加入の為、失業時の保障が全く得られない
・職業の能力向上が望みにくくなる
 (常にフリーターとして、転々と・・・)
・採用側にも拒否の姿勢が見られる
 (フリーターやニート歴をマイナスに評価する可能性)
・自己のキャリア形成には役立たない事が多い


c 高齢化

・フリーターの5年後滞留率が約6割
・フリーターから正規雇用への転換は少ない
 (正規からフリーターはそれよりも多い)
・年齢増加依存的に、正規への転換は困難となる
・ある程度の年齢に達すると非正規に固定化されうる


d 若年無業者

・実数は若年失業者よりも少ない
・非希望型は増加していない
・非求職型(非労働力人口)の一部が労働市場に流入か
・中卒、高校中退者達のフォローは?
・就業や求職未経験者が存在する


3)対策の一助として

・若年労働力人口は実質的に増加したが、雇用創出の問題があったのではないか?
・特に10万人以上増加した大卒者に対する雇用供給が追いつかなかった可能性があるのでは?
・自営業の大幅減少は、組織従属型の就業志向が優位であったのではないか?(安定志向?)
・自営業減少は起業とか新たな組織や雇用創出にもマイナスに作用したのではないか?
・25~34歳女性の就業割合の増加は、晩婚化や結婚減少と関連しているのではないか?
・職業や社会生活に関する情報提供に問題があったのではないか?(学校、家庭、地域、行政)
・employabilityの問題(教育制度上での)?
・即戦力を求める企業側と生徒を送り出す学校側とのギャップがあった?
・特に進路・就職相談など、学校での情報提供不足?
・求人側の「高卒・大卒」等の条件が時代に合わなくなってきているのでは?
・高卒の就職率が低下する中で、旧来の「高卒がする仕事」というような認識が間違いなのでは?
・キャリア形成に役立つ教育・研修システムが必要なのでは?(学校で?社会で?)
・就学期間が延長したが為に(=周囲の同級生や友人達が働いていない)、準備期間も延長してしまった?
・「フリーター」「非正規」などの呼称を改めるべき?
・失業補償はどう考えるか?
・厚生年金等の社会保障負担をどのように考えるか?


長々と羅列してしまいましたが、色々と思ったことを挙げました。幾つか対策が思い浮かぶ方々もおられるだろうと思います(或いは既に講じられているかもしれませんが)。論点整理を行って頂いて、どんどん若年者の雇用改善を図って欲しいと願っております。それが若者達の未来に繋がるし、少子化ということへの大きな対策になりうるだろうと思います。


ところで呼称問題ですけれども、例えば非正規→「契約労働者」とし、その中を細分化して「派遣・契約・嘱託労働者・・・」とし、「フリーター」や「パートタイマー」は「時間契約労働者」(「非常勤労働者」とかでもいいですし)のような呼称としてはどうでしょうか?何度も提案しておりますが、企業に社会保障負担をきちんとさせることが必要だろうと思います。雇用側は正規と非正規という区分を利用して人件費抑制策を講じてきています。それを無くす為には、労働者の区分自体を無くすことが一番ではないか、と思ったりします。正規雇用は単に「正社員」とか「常勤社員」とすればいいのではないでしょうか。

企業側が正規の社員に他企業との優遇の違いを是非とも出したい、ということであるならば(ヘッドハンティングとか、人材流出を防ぐという意味もあるかも)、福利厚生面での違いを設けておけばよいのではないのかな。例えば保育・学童補助、ストックオプションの権利や従来の「401k」的な独自の上乗せ企業年金とか、そういう別な部分での差別化は図れると思います。それらの権利を有する人達が今までの正社員であり、他の派遣社員や時間契約社員にはその権利はない、ということでよろしいのではないでしょうか。その代わり、正社員ですから会議とか社内行事とかモロモロに拘束されるけれど、他の契約労働者にはそうした拘束は発生しない、というような区分も出来てくるかもしれませんし。