大学生・社会人ドラフトは入札した長谷部を外して、非常に微妙な結果に終わりました。
高校生ドラフトと同様に全員が投手、中長期的には非常にまずい戦略だと思います。
大場の6球団はともかくとして、長谷部に5球団の入札があるとは思いもよりませんでした。
そして最後の最後に長谷部に切り替えた楽天にさらわれたわけですから、笑うに笑えません。
一方で私が推していた加藤はヤクルトが単独指名、非常に悔しい思いでいっぱいです。
この加藤、東京六大学で30勝をマークしながらの単独指名は意外で、いろいろと考えてしまいます。
在京志望が強いことで他球団が敬遠したとも思えず、やはりリーグのレベルの問題なのでしょうか。
秋のリーグ戦で三冠王を獲った田中幸長(早大)ですら指名漏れしたわけですから、30勝を額面通りに受け取ってはいけないのかもしれません。
いずれにせよロッテのスカウトが同じ左腕で長谷部を選択したわけですから、スカウトの眼力を信ずるしかありません。
そして抽選を外した後の再入札は服部泰卓(トヨタ自動車)という小柄な25歳の左腕、例年なら3巡目以下のレベルとも言われる投手に3球団が入札したわけですから今年の不作ぶりがうかがえます。
こちらは見事にバレンタイン監督が引き当て、2回外しという最悪の事態は免れました。
3巡目が秋口になって急速に評価の上がった根本朋久(横浜商大)という左腕、よほど左腕不足を懸念しているのでしょう。
4巡目が球に力があるものの制球力に課題があると言われている伊藤義弘(JR東海)、5巡目の下敷領悠太(日本生命)は俊介二世と言われています。
いずれもやや否定的なコメントを残しましたが、個々の指名を考えれば特徴のある投手を指名した良いドラフトであったと思います。
ゼロか100の可能性!
YFKの解体が現実的なものとなったことで、即戦力の投手を補強するという方針は間違っていないと思います。
服部は藤田の代わりになってもらわなければ困りますし、伊藤は藪田の後釜と考えているのかもしれません。
下敷領も渡辺俊のエキスを吸収して、先発要員としての期待を持てます。
見事にはまってくれれば、来季の最大の懸念であった投手陣の再構築に大きな力となってくれるメンバーです。
しかし逆に言えば、根本以外の3人は来季25~26歳で、荻野・手嶌・古谷・川崎・田中良らと同世代になるわけですから、来季に1軍でやっていける足がかりをつかめなければ2年程度で解雇になってもおかしくない立場にさっそく追い込まれることになりかねません。
現在の主力が30代前半、そして期待の若手が22歳以下にひしめいていることを考えれば、25歳前後の投手に新しい血を入れて活性化することは悪いことではありません。
この世代に先発や中継ぎの軸になってくれる投手がいないと、清水らが抜けるであろう3年後には悲惨なことになります。
荻野と川崎に加えて、服部や伊藤らが戦力になってくれれば、これは非常に心強い布陣となります。
しかし、しかしです。
高校生ドラフトの時にも書きましたが、とにかく投手が多すぎます。
藪田と小林雅が抜けたとしても、野手30人に対して投手は35人となります。
新外国人として投手を獲得することも確実ですから、事態はさらに悪化します。
ただでさえ2軍に投手がひしめき合って出番が少ないところに、即戦力として期待される中堅どころが大量に加入するわけですから、伸び盛りで実戦で鍛えなければならないはずの高卒1~4年目ぐらいの投手が割を食うことになるでしょう。
浅間、三島、林、木興らから来季オフに戦力外が出てもおかしくなくなりますし、相原や中郷らの大学生・社会人出身の選手もうかうかできません。
弱肉強食で勝ち抜いた者が生き残るのが当たり前の世界ではありますが、出番すら与えられずに消えていく選手たちを見るのは不憫でなりません。
浦和オリオンズでも立ち上げましょうか!
冗談抜きで、四国アイランドリーグへの選手派遣が他球団の嫌がらせで実現しないのであれば、それこそフューチャーズと同じようにロッテ単独で3軍チームを立ち上るべきです。
そして地方の独立リーグや社会人チームとの練習試合を年間50~70試合ぐらいこなすようにしないと、貴重な才能を無駄に潰してしまうことになりかねません。
育成枠でも5人を獲得したことからもフロントは何らかの対策を考えているとは思いますが、妥協することなく真剣にいい方法を模索して欲しいと思います。
そして中長期的には野手を獲得しなかったこと、これは空白の世代を生みかねませんし、また投手とは逆に競争が起きない事による弊害が心配です。
定岡が外野を守ったりしている状況で、野手の素質もある阿部あたりがチームの方針に翻弄されやしないか心配です。
藤井の悲劇は二度と起こしてはなりません。
育成枠で捕手、内野手、外野手を1人づつ獲ったのがその対策かもしれませんし、またトライアウトで1人ぐらい野手を補強するかもしれません。
しかしこれはあくまで二の手であり、中長期的展望に立てば年齢別選手構成を考えた補強を毎年やっていく必要があります。
慢性的な野手不足で2軍での試合もままならない状態が3年程度も続いていること、これは将来的にチームが一気に瓦解する可能性を秘めていることであると強く訴えたいです。
何にせよ、今日ロッテに指名された9人の選手たちが近い将来に1軍でプレーしてくれることを心から願っています。
服部と伊藤が荻野や川崎らと「Hi!OK!」カルテットを組み、角中に続いて若い白川や大谷が才能を開花してくれることを、来季に向けて夢想していますので頑張ってください!
【ドラフト指名選手の横顔】
1巡目 服部泰卓 投手 左 25歳 トヨタ自動車 174センチ・72キロ
横の変化で勝負する、ストライクゾーンを広く使える安定感のある左腕
3巡目 根本朋久 投手 左 21歳 横浜商大 178センチ・78キロ
スリークォーターからキレのいいボールを投げ、三振の取れる投手
4巡目 伊藤義弘 投手 右 25歳 JR東海 177センチ・75キロ
綺麗なフォームから140キロ台のストレートを武器とする右腕
5巡目 下敷領悠太 投手 右 24歳 日本生命 184センチ・75キロ
ストレートは120キロ台、まさに渡辺俊介二世
【育成枠指名選手の横顔】
1巡目 池田健 投手 右 17歳 青藍泰斗 175センチ・75キロ
140キロ前半のストレートを武器にする、一本背追い投法の独特なフォーム
2巡目 宮本裕司 捕手 左 24歳 高知ファイティングドッグス 182センチ・85キロ
今シーズン打撃8位で足もある捕手
3巡目 小林憲幸 投手 右 22歳 徳島インディゴソックス 181センチ・80キロ
ダイナミックなフォームから150キロ近いストレートを投げ込む
4巡目 白川大輔 内野手 右 19歳 高知ファイティングドッグス 171センチ・74キロ
外野から内野に転向し、伸長著しい若手
5巡目 大谷龍次 外野手 右 19歳 日立製作所厚木(軟式) 178センチ・77キロ
樟南高校出身で軟式チームに所属する変わり種、強肩が魅力